- 2025年2月12日
- ニュース
空デ卒展 学長内覧と受賞者紹介その③🎈
こんにちは。
空間演出デザイン学科です。
会期半ばに差し掛かった、卒業制作展。
空間演出デザイン学科にて約半年〜1年かけてテーマ設定、リサーチ、制作をしてきた成果物をみなさんにお披露目です!
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どの作品もとってもクオリティが高い!というのは毎年の空デなのですが、
そんななかから今年も10名の学生さんが賞を受賞されました🎖️
空間演出デザイン学科では次の項目を意識して、卒業制作をおこないます。
1.これからの社会に必要なものは何かを考える。
2.多様な人々がともに生きる創造的な社会を前提とする。
3.社会の課題解決に取り組む。
4.新たな社会的価値を創造する。
自己表現としてではなく、各々が小さなものから広く大きなところまで
自分の視点で課題を見つけて、解決の糸口となる制作や企画提案で、表現をします。
たしかに些細なことであっても、それはたくさんの人にとって大事なことであれば、大きな影響を持ちます。
そうした自分なりにの視点を大事にする空デだからこそ、今回のテーマのように、さまざまな考えや価値観がごちゃ混ぜになりながらも、誰かのためになるデザインであることは一貫しています。
さて、今回は第3弾として、奨励賞、優秀賞、学長賞を受賞したみなさんをご紹介します。
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2/10(月)には学長内覧があり、吉川左紀子学長に空デの作品を限られたお時間のなかではありますが、たくさん見ていただくことができました。
また今年は多くの空デの学生さんが自分の作品を説明するために在廊し、作品を作るにあたっての想いや作る中での考えを自分の言葉でお話することが出来ました。
お越しいただいた入場者のみなさまにも、そのように在廊することで対応できているのが今年の空デでは昨年に比べて取り組めており、とても嬉しいです。
学長内覧で立ち合ってくれた学生さんは、おもに受賞者のみなさんです。
作品について今回のブログで紹介していきますね。
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■奨励賞■
空間デザインコース
松島 あみ(マツシマ アミ)さん | 基督教独立学園高等学校 卒業
『共感で繋がる 暮らしと生業』
彼女は、群馬県の酪農家の生まれであることから、生まれながらに育ってきた環境や、自身の尊敬する酪農という職業の衰退への危機をデザインを通じて解決するための取り組みを行いました。人を巻き込み、市を巻き込み、彼女の想いの強さは伝染し、多くの人が関わる大プロジェクトとなりました。
ホエイを使った石鹸づくりや酪農体験などから対価についさらに考え直してみることや、発展を続け、映画をともに鑑賞する会を実施するなかで、いかに酪農が我々の生活に必要不可欠かを初めて実感するひとも今回の彼女の活動を通じて多かったのではないでしょうか。
彼女は春から地元群馬に就職し、この活動を継続されるそう。提唱者としての彼女の活動に今後も期待大です!
■奨励賞■
ファッションデザインコース
山野 愛華(ヤマノ アイカ)さん | 大谷高等学校 卒業
『のぼりという素材にフォーカスをあて、ウェアに使える糸の研究 ~BATABATA~』
彼女は3回生から制作を続ける”のぼりの旗”を生まれ変わらせた衣装の制作を行いました。
店頭などでお知らせ広告としたの役割を担う、のぼりは、そのシーズンや役割を終えると廃棄されます。
そうしたのぼりの旗が持つ特徴的な配色や色とりどりさ生かして、生き生きとしたパワフルなドレス、サコッシュなど生み出しました。「編む」ことで新たに再構築されたそれらはまさにのぼりの目を引く力を持ちます。
ワークショップも行い、編むという技法からのぼり以外の生地でも応用の効く服飾の技法として身近に作れることも提案しました。ゲームセンターや薬局などで撮影されたレトロでエモーショナルな雰囲気を纏うビジュアルもとても素敵です。
■奨励賞■
空間デザインコース
若林 あかり(ワカバヤシ アカリ)さん | NPO法人京田辺シュタイナー学校 卒業
『生き抜く力を伝える』
彼女は現代社会における「生き抜く力」の不足をテーマに制作を行いました。
生き抜くというのはメンタル的なことだけではなく、震災の多い日本において、いざと言うときに「生き抜くこと」です。自然の力である、雨や風をエネルギーとして発電のしくみをつくり、自作のバイオエタノールづくりまでも成功させました。小屋のなかにはユニットがあり、寒さを凌げる工夫や、木のカトラリーなども。すでに用意されていなくても、用意されたものを買わなくても身の回りのものを駆使しながら暮らすということしました。彼女のような小柄な女性が生み出す制作物そのものからもエネルギーが伝わるとともに、生き抜くための行動がどんなに些細なことからでも、今後の生きるうえでいかに重要となってくるのか、知恵を繋ぐことの大切さが体現された大作となっています。
◆優秀賞◆
ファッションデザインコース
笠浪 萌愛(カサナミ モエ)さん | 京都文教高等学校 卒業
『たかが2本の棒を見直す』
彼女はお箸をデザインするというプロジェクトを行いました。彼女は4年間で伝統工芸に携わる活動をしており、職人さんへのリサーチはまさに集大成であるといえます。
お箸はたかが2本の棒でありながら、生活を彩る伝統的なアイテムであり、その定義を維持しながらさまざまな用途、役割を設定したお箸を数展デザインしました。
素材を活しながらも使い心地にも配慮し、お箸という存在を楽しむことができる制作には、新たな視点と何事も楽しく捉える=デザインすることの意義も感じられます。
◆優秀賞◆
空間デザインコース
浅野 こころ(アサノ ココロ)さん | 神奈川県立港北高等学校 卒業
『吹田の心、ものがたる〜未来に伝える10のはなし〜』
彼女は自分の暮らす、大阪吹田について制作を行いました。
彼女が地域デザインとして扱ったのは、「ものがたり」です。吹田はニュータウンの印象がありますが、吹田に伝わる吹田の伝説や小話を集め、もう一度言い伝える、残すということに取り組みました。
こういったものがたりは、伝承されるには記録されず噂話のようにしか伝わっていないものが多い中、彼女は10個のものがたりを集め、本やおもちゃにして誰もが触れやすい形にデザインを施しました。
彼女のものがたりで、再び吹田の物語が伝承される。空デから実直に学び得てきたことたちの証明のようでもあります。
◆◆学長賞◆◆
ファッションデザインコース
LI Zhengda(リ セイタツ)くん | 大阪文化国際学校 卒業
『中国少数民族の苗族ろうけつ染めの継承』
彼は、ミョウ族という部族地域へのフィールドワーク、インタビュー、リサーチを通して、その地域に伝わる染めと絞りの技術について探求していきまし。
自分自身がそういった素晴らしい技術を身につけ、新たなファッション・雑貨に落とし込むというプロジェクトです。
伝統的であり繊細な技術を再現することが出来る、彼自身の技術力が成せる技であることは当然に、ただ再現するだけでなく、伝統という部分では日本の着物と彼が制作したミョウ族由来の染め生地でコラボレーションをしてみるということも試みました。彼のように薄れゆく素晴らしい技術を継承しようとする試みは、”デザインをすること”そのものの醍醐味と言えます。また彼は大学院に進学し、このような活動を継続されるそうです。
こうした取り組みによって消えかけていた素晴らしい技術がまた芽を出し、発見され、続いてゆくことが出来たら…。彼の今後の活動、制作物にも期待したいです。
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大変駆け足にはなってしまいましたが、今回のブログで受賞者の紹介は以上となります!
のこり1週間を切った、空間演出デザイン学科の卒展。
賞を受賞できなかった方も、ほんとうに今回の卒展までの過程で成長しながら
ときに協力しあいながら、みんなでひとつの展示をつくることができたのを私も誇りに思います。
そんな4回生最後の集大成、今週お時間あるかたはぜひ直接ご覧になってくださると幸いです!
会期は2/16(日) 17:00までです!(受付終了は16:30)
また機会をみて、全体的なまとめをブログに掲載できればと思います!
それでは〜〜!