- 2025年6月16日
- ニュース
2025年度 優秀学生賞受賞者インタビュー vol.1
こんにちは!アートプロデュースコースです。
6月13日(金)、2025年度 優秀学生賞表彰式が行われました。
優秀学生賞とは…
研究・制作活動、課外活動等、学生生活において秀でた4年次生を表彰し奨励する制度です。
3年次までの成績や研究・活動実績をもとに厳正に審査を行い、2025年度は64名の受賞学生を選抜しました。
皆さま、おめでとうございます!
アートプロデュースからは以下2名が優秀学生に選ばれました✨
濱野 直生さん(4年生)
小塩 蕗香さん(4年生)
今回は受賞者インタビューvol.1として、濱野 直生さんにインタビューをしていきます!
濱野 直生さん
この度は受賞おめでとうございます。今のお気持ちを聞かせてください。
濱野:最初聞いた時、「そうなんだー」といった記憶があります。それくらい実感が湧いてこなかったです。ただこういう機会を通して、今は「自分てよく頑張ってきたんだな」と客観的に見れています。
受賞に輝いた濱野さんの大学での活動等が気になる方も多いと思います。
現在、卒業研究・制作に取り組まれていますが、どんなことを研究されていますか?
濱野:僕の地元である宮崎県についての研究をしています。少し前まで観光や交通を軸にして研究していましたが、今は少し変更して組み立て直している段階です。
どうしてその研究をしようと思ったのでしょうか。
濱野:自分自身でも測れないくらい地元に対する好奇心が大きいのだと思います。多分、大学生になってから急に関心を持ち始めてこの研究をしようとし始めた、というわけではないようで、2歳〜3歳ごろの幼少期からすでに宮崎に対しての好奇心が伺えるエピソードを身内から聞いたりしたので、今やっているのはその延長線上だと思っています。
濱野さんの地元に対する強い興味・関心は幼少期からのものだったのですね。
ところで、濱野さんの研究内容は「アート」からは少し離れているように思いますが、学科での学びとはどういったところに生きているのでしょうか。
濱野:アートプロデュースといい、「アート」のワードが直接入っている学科(コース)ですが、僕の研究内容を見た感じだとどのようにアートが関係しているのかわからないという人が大半だと思います。ただ、一見結びつきのないように見える分野でも、アートプロデュース学科(コース)で学ぶ内容を活用し研究することは大体可能だと思います。
研究内容がアートや芸術といったものと直接的な関係のないように見えるが、実は学科(コース)で学ぶプロセスやノウハウを応用した研究になっていた、ということは僕の例に限らず、よくあります。
作品を作る人がいて、その作品を鑑賞する人がいます。僕たちの所属するアートプロデュース学科(コース)では、その両者の架け橋となる展覧会や企画を実施するプロセスを学びます。この考えはアートの現場以外でも通用します。例えば、その土地でとれる特産品があって、もっとたくさんの人に知って購入してほしいという人たちがいるとします。その人たちと、商品を購入する人たちを繋げる為にはどのようなイベントをすると良いだろうかという考えるプロセスは、アートプロデュースで学ぶことをそのまま応用できます。
この例で言えば、特産品のところをアートに変えて、企画を進めるプロセスやノウハウを、アートを軸にして身につけていくのが僕たちの学んでいる学科の特徴かなと思います。僕の進めている研究も応用によって成り立っています。
23年度リサーチプロジェクト 報告会の様子
ありがとうございます。確かに、先日行われた中間発表会で他の皆さんの卒業研究についても拝見しましたが、「アート」を取り扱う研究ばかりではありませんでしたね。
そんな濱野さんがアートプロデュース学科を選んだきっかけを知りたいです。
濱野:何か大きくて明確な一つの理由があるわけではないと思います。誰かに対してこの学科(コース)を選んだきっかけを端的に説明しないといけない時は、その時々によって答える内容が違います。というのも、当時自分がどう思ってこの学科に入ったのかはっきりと分かっていないため、自分の行動から逆算して考えて説明しています。複数の小さな理由が重なってこの学科を選んだのかなと僕は僕自身を考察しています。
ただ、いまだに僕は明確に言葉にすることができていない軸が自分の中にあるような気がします。
大学生活ではずっと楽しい時だけでなく、大変な時もありますが、そういった挫折しそうなタイミングで多分自分に備わっている大きな考えの軸が折れなかったからこそ、今まで続けられているのかなと思うし、そこがこの学科を選んだ本当のきっかけなのかなと思います。
濱野さんが無意識のうちに大切にしてきた自分の中の「軸」が、今回の受賞にもつながったのかもしれません。濱野さんとお話をしていると、ご自身の中に何か揺るぎない大切なものを持っているんだなと感じることが多くあります。
宮崎への愛もその一つだと思うのですが、アートプロデュース学科で過ごした中で得られたものがあればぜひ教えてください。
濱野:もう少しで卒業と考えた時に「地元に帰れるのが嬉しい」という気持ちよりも「今大学で一緒に学んでいる友人たちと離れ離れになるのが寂しいな」と思う気持ちの方が強くなってきたなと、ごく最近感じました。特に、4回生になってゼミで勉強するようになってから、徐々にそう思うようになってきました。宮崎が好きなので、勿論自分の住み慣れた土地に帰って楽しく暮らしたいとも思っています。ただ、大学で勉強する友人たちというのは本当にめちゃくちゃ最高の人たちで、一人一人が替えのきかない存在だと心の底から思える今、卒業と同時に別の地方で就職するなど、割と皆散り散りになってしまうのは悲しいことだなと感じました。会えなくなるわけではないですが、各々志を持ったメンバーとお互い頑張るこの時間が大切に思えるようになってきたのは、先生方含めこの学科の皆さんのおかげだと思います。
24年度 高槻城公園芸術文化劇場でのイベント
宮崎を何よりも愛している濱野さんにとっても、アートプロデュース学科は「第二の故郷」とも感じられるような離れがたい場所になったのでしょうか。
それでは最後に、後輩や高校生にメッセージをお願いします。
濱野:何をするにしても最も重要なのは、「美味いもん食ってちゃんと寝る」ということだと思うのですが、それにプラスで大まかに三つ、もう少し具体的な例を挙げてお話しします。
まず最初に、不安は原動力になります。例えるなら「今日は雨が降りそうだから傘を持って外出しよう」みたいな感覚です。「今日は外出するが、雨が降りそう」ということで、雨が降ってきたら濡れるかもと「不安」になって、万が一雨が降ってきても濡れないよう傘を持って行こう、という行動する。この一連のプロセスが「不安は原動力になる」という感覚です。こう考えておけば、実際不安になった時も自分の状態を客観的に見れて、次の行動を考えやすくなると思います。
みんな就職するか進学するか悩んだり、研究どうしようとか、色々不安が出てくるタイミングがあると思います。ただ、もちろんそれを誰かに相談するのもありですが、自分自身が不安に思っていることは、勿論内容がセンシティブなこともあると思います。それを無理してまで誰かに相談する必要はないと僕は思います。限界まで悩み続けても良いです。悩み終わった後に出てくる自分の最初の一言だけが本心だと思います。
次に、対話することが重要です。「私は〜と思う・考えている」も重要ですが「〜と思う・考えている自分がいる」という一歩先の意識が重要だと僕は思います。誰かがやっている作業があるとして、それをその人の代わりに自分が替わって作業を進めてみた時「あの人は意外とこんなに簡単な作業をしているんだな」と思う人もいれば、「あの人はこんなに難しい作業をしているのか」と思う人もいます。ただ重要なのは、どちらにしてもその感覚はあくまで自分のものであって、全員が全員自分と同じ感覚を持っているわけではないというのをしっかり認識することです。分かったつもりでいても、常にその意識を持つのは難しいです。ですが意識できていると、チーム一丸となって行動していく時に役立つかもしれません。少し前の行で「無理してまで相談しなくても良い」旨の事を書きましたが、そのときは、対話することが重要だということを心に留めておけば大丈夫です。作品を通して自分や他者と対話するのも一つの手段です。
最後は、言葉を選ばなければ「非論理的で、訳のわからない心の奥のどこからか湧いてくる熱意」というのを大事にしてほしいです。どこからその熱意が湧いてくるんだというくらい、何かに対して超熱狂的な人というのは、他の人も惹き込む魅力があると僕は思います。研究する上では論理的な思考も大事ですが、それを継続していく上では熱意による行動力も同じくらい大事になってくると思います。そのバランスを保ちながら、研究という言葉の通りに堅苦しく考えなくても良いので、皆さんが日常の中で何かに対して熱狂的になれるよう願っています。
濱野さん、ありがとうございました。
改めてこの度は受賞おめでとうございます!
担当教員コメント
濱野直生は地元・宮崎県をこよなく愛する学生である。人も情報も多すぎる京都はちょっと苦手で困っている。それでも、濱野は学業に手を抜かない。授業もレポートも真正面から取り組み、少々体調が悪くても出席する。不調な友人を気遣い、プロジェクトの進行にどれだけ寄与できるか常に考えている。今回の優秀学生賞は、そんな濱野の真面目さが結実した当然の結果だ。濱野のもう一つの優秀さは、自身の不調さの語りだ。誰にも分かち合えない孤独の感覚を、言葉に置き換えていく時、濱野の誠実さが人の心に響いていく。数値に置き換えられない才能の持ち主である。
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