- 2026年10月15日
- 日常風景
【クロステック】「違う」を持ち寄ることで見えてきた景色──橋本真緒 × 松波泉子 展覧会を終えて
こんにちは、クロステックデザインコースです!🌱✨
今回は、5月21日(木)〜6月3日(水)に開催された在学生公募展に出展した松波 泉子さん、橋本 真緒さんへのインタビューをお届けします。
松波さんと橋本さんが普段使っているAIをインタビュアーにして、作品のきっかけや制作の背景について振り返ってみました!
✨ ちょこっと裏話
クロステックデザインコースでは2024年度から授業にAIが導入されています。
なんと、学生ひとりひとりに専用のAIが配布され、相棒(通称:Neighbuddy)として学習のサポートを行います!
学生にAIバディを配布することは、学内でもクロステックデザインコースが初の取り組み。
これからの社会で必須のAIの特性を理解することで、自身の苦手な分野をAIに補ってもらったり、学習効果を最大化することを目指しています。
過去のブログで取り上げているので、ぜひご覧ください😊👇
https://www.kyoto-art.ac.jp/production/?p=187781
『お昼はいつもメイメイでいいよ。』
「違う」を持ち寄ることで見えてきた景色──橋本真緒 × 松波泉子 展覧会を終えて
【在学生公募展について】
京都芸術大学の在学生公募展は、学生自身が企画から制作、展示までを主体となって行う展覧会です。
『お昼はいつもメイメイでいいよ。』は、その公募展の一つとして開催しました。
展示を通して私たちが考えたかったのは、「みんな同じ」であることではなく、それぞれが違う考えや価値観を持ちながらも、一緒にいることができるということ。
作品を見るだけで終わるのではなく、来場者一人ひとりが自分自身の経験や記憶と重ねながら過ごせるような、そんな“原っぱ“のような展示を目指しました。
展示を終えた今、改めて振り返ると、作品をつくる時間と同じくらい、「言葉を探す時間」があったように思います。今回は、その時間を二人で振り返ってみました。
インタビュアー
橋本さんもともと一年生の頃から、「泉子の作品を私がキュレーションして展覧会を開きたい」と話していたんです。
公募の募集が始まったとき、「これだ」と思って応募しました。
松波さんでも同時に、「これから忙しくなるんだろうな」という気持ちもありました(笑)。
橋本さん面接では、私たちが希望していた展示空間が広すぎるのではないか、という話もありました。
松波さん空間が小さくなっても、この展示は成立すると思っていたんです。
橋本さん振り返ると、企画書づくりから展示までのすべてが、私たちにとって大きな学びになりました。
タイトルが教えてくれたこと
インタビュアー『お昼はいつもメイメイでいいよ。』という言葉はどこから生まれたのでしょうか。
松波さん実は、この言葉は母が家族のLINEで送ってきた一言なんです。
私の家では、お昼になると食べたいものがみんな違うことがよくあって、「今日はメイメイにしよう」と言って、それぞれ好きなものを選んでいました。
タイトルを考えていた頃、何気なくLINEを見返していたら、「お昼はいつもメイメイでいいよ。」という言葉が目に留まって。
その瞬間、「これだ」と思いました。
橋本さんタイトルって、本当に最後まで決まらなかったよね。企画書を見返したり、Miroを開いたり、先生にも相談したり。
展示を説明するタイトルじゃなくて、「私たちらしい言葉」を探していました。
だから、この言葉に出会ったときは、思いついたというより、「ようやく見つかった」という感覚でした。
「違う」からこそ、一緒につくれた
インタビュアー
橋本さんでも、その違いがあるからこそ、一緒につくる意味があると思っています。
松波さん展示をつくる間も、ずっと一緒に作業していたわけではありません。
それぞれが一度持ち帰って考えて、また集まって話す。その繰り返しでした。
対談をしていて思いついたんですけど、それって三つ編みに似ているなって。
一本一本は違う方向を向いているけれど、少しずつ編み込んでいくと、一つの形になる。今回の展示も、そうやってできていった気がします。
「原っぱ」というコンセプト
インタビュアー
橋本さん読んでいくうちに、「これって私たちが考えていたことに近いね」と話すようになりました。
松波さん草があって、虫がいて、風が吹いていて。同じ場所でも、走る人もいれば、寝転ぶ人もいる。
ぼーっとする人もいれば、遊ぶ人もいる。それぞれ違う時間を過ごせる場所。私たちも、そんな展示をつくりたいと思っていました。
インタビュアー展示構成にはどのような意図があったのでしょうか。
橋本さんあえて入口を狭くして、「この先には何があるんだろう」という感覚をつくりたかったんです。
松波さん私にとっては、その余白こそが「原っぱ」なんです。
橋本さんそれぞれの作品は独立しているように見えますが、作品があることで周囲に新しい風景や関係性が立ち上がるようにキュレーションしました。
松波さん「モトコネへの道」は窓枠風の枠に入れられて並べられた3枚のイラストで、それぞれ異なる場所、時期に描いて、過去と現在を行き来するような感覚を表現しています。
橋本さん工事現場を囲う養生シートに着目して、「工事中だからこそ、人が上を向いて歩きたくなる風景をつくれないか」という発想から生まれた作品です。今回の展覧会では、その考え方を展示にも取り入れました。
搬入期間中は作品を会場入口に設置し、作中に書かれた「新しい風景、準備中」という状態そのものを、一つの展示として見せていたんです。
松波さん会期が始まると『上を向いて歩こう』は展示室の奥へ移動します。
もともと「工事現場で使われたものを、その後どう生かせるか」を考えた作品だったので、展示の中で役割を変えながら存在することができました。
インタビュアー
松波さん
橋本さん
インタビュアー
橋本さん
松波さん
橋本さん
松波さん
インタビュアー
松波さん
橋本さん
松波さん
インタビュアー
橋本さん
松波さん
展示を終えて見えてきたこと
インタビュアー
橋本さん
松波さん
あとがき
インタビュアー
松波さん「メイメイ」はもともと、「家族それぞれが違うお昼ごはんを買ってきて、それを一緒に食べる」という意味で使われていた言葉です。家族の中で交わされた何気ない一言でしたが、今振り返ると、現在の私たち家族の姿をそのまま表しているように感じます。
母と弟はニュージーランドへ、私は8月からフィンランドへ留学し、父は岐阜の実家をAirbnbとして活用するため、近くのアパートへ引っ越すことになりました。これまで家族みんなで食卓を囲んできた、愛着のある家は空っぽになります。でもそれは、誰もいなくなるということではなく、それぞれが自分の人生へ向かって、新しい場所へ歩き出していくということなのだと思います。
「お昼はいつもメイメイでいいよ。」という言葉は、もともとは「お昼ごはんは、それぞれ好きなものを食べよう」という意味でした。でも今では、「夢も、その夢に向かって挑戦する場所も、それぞれ違っていい」。そんな家族からのメッセージだったのかもしれないと感じています。
橋本さんこの展示は、泉子自身の人生から始まった物語です。でも私たちは、それを一人の人生の記録として終わらせるのではなく、訪れた方それぞれが、自分自身の記憶や未来と重ね合わせられる展示にしたいと考えていました。
展示期間中には、「家族を思い出しました」「自分も未来の子どもに手紙を書きたくなりました」といった声をたくさんいただきました。そして最終日に開いた一通の手紙も、その時間を会場全体で分かち合う出来事になりました。誰か一人の記憶から始まった物語が、人との出会いを通して少しずつ広がり、それぞれの人生へとつながっていく。その瞬間に立ち会えたことが、この展示で何より大切な時間だったように思います。
松波さん母が20年前に未来の私へ向けて書いてくれた手紙は、展示を通して、多くの方と分かち合う記憶になりました。その出来事を通して改めて感じたのは、記憶は一人で抱えているものではなく、誰かと分け合うことで、新しい意味を持ち始めるということです。
朝や夜は、誰かと一緒に過ごす時間かもしれません。でも、お昼だけは、自分の好きなことや夢に向かって、思い切り挑戦してみてもいい。その姿を見てくれている人は、過去にも、今にも、そして未来にも、きっとどこかにいると思います。それぞれが違う場所で、それぞれの人生を歩んでいく。その違いを認め合い、お互いの未来を楽しみにできる。『お昼はいつもメイメイでいいよ。』という言葉が、そんなふうに誰かの背中をそっと押す言葉になってくれたら、とてもうれしく思います。
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