- 2014年9月5日
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【日本画】佐竹龍蔵展「やまのこえ」
こんにちは。日本画コースです。
暑さのピークも過ぎ、朝夕がめっきり涼しくなり
展覧会巡りにうってつけの初秋がやってきました。
日本画コース卒業生・現非常勤講師をされている佐竹龍蔵先生の個展のご案内です。
5歳の春、雨が降るなか友人達と山を登っていた。麓の公園から山頂まで、歩いて30分程度の整備された山道の途中で、こどもの声を聞いた。
今年の春に岩倉に引越して、前に住んでいた家より少しだけ山に近づいた。山からの風に土や草の匂いが混ったのを嗅ぎ、時間や天候によって様子を変える山際を見ていると、山にまつわるいろんな記憶が蘇る。
小学生の頃から山を遊び場にしていたので、山でいろんなものを見てきた。おとな達からは山にまつわるいろんな話しを聞かされた。山にはいろんなものがあった。四季折々の樹木や草花、多種多様な虫、猿や鹿などの生き物に出会う事もあれば、それらのフンや死骸も見つけた。自然のものだけではない。農作物の貯蔵庫、切り倒された木材、神社、山のふもとに遺された防空壕、朽ちた家、倒れた墓石などから、人々の暮らしを想像した。
そして、人づてに聞いた山の話に胸を躍らせ、怪談を聞かされては怯えていた。誰に聞いたか定かではないが、山からの帰り道に後ろを振り返ってしまうと山姥に食べられてしまう、という話がこどもの頃はとくに恐ろしかった。古事記にある黄泉の国の話しと、牛方と山姥の昔話を混ぜた様な話しだった。今でも、一人で山に入ったときは後ろは振り返らないようにしている。
2012年のアートスペース虹での個展「どこでもない場所」では、どこにでもある普遍的な風景画としていくつか山の絵を描いたが、今回は違ったかたちで「やま」の絵を描く。僕個人の山での体験と、人々の暮らしの痕跡、そして昔話や怪談が交錯した「やま」の絵を。
冒頭の話しにもどるが、15歳のぼく達は聞こえるはずの無い山からの声に恐怖し、山頂に着いたあとは来た道を引き返さずに別の道を探しながら帰ることにした。そこから4時間以上も山のなかを彷徨い、夕闇という別の恐怖が迫っているとも知らずに。家に帰り着いた頃、雨上がりの雲の切れ間からは星空が見えていた。
(アートスペース虹ホームページより抜粋)
【略歴】
現在 京都市在住
京都造形芸術大学 日本画コース 非常勤講師
2012年 京都造形芸術大学大学院 芸術研究科 芸術表現専攻 修了
1987年 高知県四万十市生まれ
■9月9日(火)~21日(日)
月曜休廊 ※最終日18:00まで
■アートスペース虹 公式サイト
京都市東山区三条通神宮道東入ル東町247
Tel.&Fax. 075-761-9238
みなさまどうぞ、お越しください。