アートプロデュースコース

美術館調査報告会レポート

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先日、大阪府立江之子島文化創造芸術センター(以下:enoco)にて、2015年度美術館調査 報告会・フリーディスカッションが実施されました。

 

2006年度から授業がスタートし、今年で10年目を迎えた「美術館調査」。

10年の月日の中で、美術館調査の対象やテーマも時代の流れとともにさまざま変化してきました。

この報告会は、その生々しい変化を、芸術大学の学生ならではの視点と手法でとらえ、社会に発信し、共有と議論の場を設けることを目的に開催されました。

 

下に、学生のレポートの掲載しています。

美術館調査で見えてきたものは、単なる美術の世界に留まらない、自分たちに密接にかかわっている社会の姿だったようです。

 

日時:

2016年2月28日(日)

14時〜18時

 

会場:

大阪府立江之子島文化芸術創造センター(enoco)

 

ゲスト:

冨澤治子(熊本市現代美術館 主任学芸員)

高坂玲子(enoco企画部門プログラムディレクター)

若林朋子(プロジェクト・コーディネーター/プランナー)

 

報告者(学年):

穐吉七奈、新井優希、市下純子、一ノ瀬瞳、上野綾香、岸上千秋、小林航己、中原愛奈、中原桜子、野澤美希、三重野優希、山岸優

 

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美術館調査報告会レポート
3回生 三重野優希

 

報告会を終えて、改めて感じたことは、①美術館調査から社会の在り方がみえる、②社会と私たちは密接に関わっている、ということだ。

 

まず①に関しては、報告会の後、enocoの高坂さんとお話させて頂いた際に強く感じた。高坂さんは、美術館に未就学児を連れて行きにくいことは美術館だけの問題ではなく、社会的な問題だとおっしゃっていた。また、本報告会の来場者アンケートに「美術館を調査することで見える社会に深く興味を抱いた」とあった。このことからも美術館という枠組みを通して見えてきた課題は、決して美術館、またはそれを取り巻くアートだけの課題ではないことがわかる。だからこそ、美術館・アートという小さな世界でのみ在り続けるのではなく、時には美術館に無関心な層や、無関係な場所から得られるものを活用していく必要があるのだと思う。

 

(つづく)

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また②に関しては、報告会を行ったこと、そして一冊の本を出版することから感じることができた。美術館調査は、決して学生の自己満足な調査を行う授 業ではない。私たちが調査・分析してきたことは、報告会を通し、実際の「声」として美術館・アートに携わる方々へ届けることができる。それが何かしらの提 示になったり、意見として活きてくる可能性が多いにあるのだと、今回の報告会で実際の現場の方々と話し、感じた。さらに、本になり出版されるということ は、より広く一般の方々も手に取り、私たちの考えに触れてもらえる機会が増えるということだ。私は、「私がいる大学」と「大学を出たあとにいく社会という 場所」を切り離して考えがちだったが、そんなことはなかった。私はすでに社会の一員であり、だからこそ、私が行った調査・分析は社会の中で今後も活きてい く可能性がある。そういった、社会と私たちの関係を改めて考えさせられた授業だった。だからこそ、美術館調査は授業のひとつとして「大学」に在るのかもし れない。

 

 

今回、私の調査では、非日常空間で充足感を得る為に美術館へ行くような来館者が多いという結果が出た。一方で、美 術館を権威的・ステータスを得る場所だと話してくれた回答者もいた。こういった権威的な場所で充足感を「得た気分になる」ことに、私自身、少し恐怖感を抱 いているが、この恐怖感がどういったものかはまだよくわからない。しかし、この課題も美術館やアートだけを見るのではなく、広く、様々な物をみながら考え ていく必要があるのだと思う。美術館を調査しているようで、そこからみえる社会課題や、その課題に対する自分の考えを引き出されるような授業だった。

 

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