アートプロデュースコース

先生インタビュー 中脇先生

 

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アートプロデュース学科の非常勤講師として「プロジェクトの進め方」を教えて下さっている中脇先生。
住民参加の方法で各地の地域課題に取り組む経験を授業で教えていただいておりますが、インターン生から学生ボランティアの受け入れと、今まで何人もの学生たちが先生のところでお世話になっています。
そんな色んな学生の表情を知っている中脇先生からみたアートプロデュース学科や今までの授業のことを振り返って語っていただきました。

 

Q、中脇先生の担当授業を教えて下さい。

 

芸術論研究3「芸術の多様性と社会でのサバイバル術」を担当している中脇健児です。

多様なフィールドで活躍する4人の外部講師がリレー形式で、それぞれの専門領域の知識やノウハウを伝える内容なんですが、僕はまちづくりの専門家として4年間ここで授業をさせていただいています。

 

Q、“まちづくり”とは具体的にどんなお仕事なんですか?

 

はい、“まちづくり”と言っても色々あります。公園や施設・道路をつくる建築設計、商店街の空き店舗をどう使うか工夫する不動産業、5年後10年後の地域の未来像を計画する施策・政策、イベントやおまつりを実施する企画業。一人がそれら全てを手掛ける、というより、それぞれに専門家がいるのが、“まちづくり”の業界です。ただ、その最近の風潮としてどの過程でも避けて通れないやり方に「地域の色んな人と話し合うこと」があります。

 

僕はその「話し合い」を専門としながら、どう情報発信していくか、どう作り込んでいくか、という「イベントづくり」や「総合プロデュース」まで手掛けます。

 

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Q、「話し合い」からのアウトプットまで、ですか。

  それをどう授業で教えるんでしょう?

 

教える、というより「造形大だからできること、やってみたいことを全員で考え、話し合い、やってみる」という流れの中で体験してもらっています。その流れの中で時折、話し合いのコツや意見の整理方法、合意形成のポイントなどを解説しています。

 

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Q.具体的にはどんなことをしたんでしょうか?

 

見事に毎年違うのがオモシロいですね。

“場所の新しい活用方法を考える”ということで瓜生山をカフェに見立てて、コーヒー提供・ハンモックの設置・音楽と朗読会などの実施、“他学科とのコミュニケーションを活性化する”という視点で、お弁当を片手におかずの物々交換に歩き回ることや他学科探検ツアーの開催、“個人メディアの可能性を探る”ということで「zine」づくりをやるなどしています。

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Q.ユニークですね(笑)

 

ありがとうございます(笑)。あと心がけていることは、単に遊ぶだけではなく、造形大だからできること、アートプロデュース学科だからできること、もしくは大学や学科が抱えている悩みや課題にアプローチをする、ということに意識しています。“まちづくり”には、その地域ごとの課題や強みを的確に捉え、活かして仕掛けていく手腕も必要になりますので。

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Q.集団での話し合い、場所の個性を見極め、そして実践していく…やることがたくさんあって、混乱しそう。

 

そうなんですよ!

僕の授業はよく「楽しかったけど、結局何を学んだかわからない」と言われています(笑)

それは反省点として毎年少しでも伝わりやすく、と工夫するんですが、過去の受講生が「あれはなんだったんだ」と再び聴講してくれるケースが最近出てきて、それは嬉しいです。

 

Q.先生の授業は好評ですよ。

 毎年インターンでも中脇先生指名の学生がいますし。

 

インターン生には、本当、助けてもらっています。

僕は兵庫県伊丹市が拠点でもあるので、そこで取り組んでいるまちぐるみのイベントのアシスタントとして、弟子入りみたいに打合せからイベントの後片付けまで、ずっとそばにいてもらうようにしています。その距離感でしか伝わらないこともあるので。

あと、必ず受け入れる前にヒアリングを行い、問題意識を共有し、目標設定をします。そして毎回振り返りを行い、何を学んだか、どう感じたかを確認します。

 

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Q.それは贅沢! すごい丁寧ですね。

 

プロジェクトのキモは、まず共有すること。そして振り返り、気づいた点を活かしていくことなんです。そのことを1対1の関係でも踏まえている、ということを経験してほしい。

 

あとボランティアとして関わってくれる学生もたくさんいますね。

すでに2、3年、伊丹に通っている学生もいて、僕の知らないところで、伊丹の人と仲良くなって飲み会に参加したり、イベントの手伝いをしてたりしてます。

みんな口を揃えて「まちの人があったかいので、何度でも来たくなる!」と言ってくれるのが、本当に嬉しいです。

 

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Q.学生自身も地方出身者が多いので、最近は「故郷に帰ったら、地域の仕事につきたい」という声もありますから、色々学びたいんでしょう。

 

僕もそこを意識している学生には、なるべく地方や地域特有の視点や問題は伝えるようにしています。

ただ僕のプロジェクトの進め方や考え方は、本当に授業と変わらないので、ひたすら場数だと思いますけどね。

 

Q.場数、ですか。

 

はい、場数を踏むことが大切です。失敗してもいいんです。「失敗しても続ける」というモチベーションや行動力が大事ですね。4年アートプロデュース学科で教えさせてもらっていますが、伸びる学生は問題意識がハッキリしていたり、ずっと何かチャレンジしていますね。

 

Q.なるほど、ヒントは「場数と続けること」ですね。では最後にアートプロデュース学科の学生と、これから本学科を受験しようと思っている高校生に何か一言お願いできますか?

 

芸術大学にいると「技術を身につけたい」という想いにかられます。

僕も芸大出身でアートプランニングの学科にいたので、学生時代、技術や専門性に対するあこがれはありました。

でも間違いなく、これからは技術だけあってもだめなんです。

「社会に対して何をするか」という視点が問われます。

その視点をどこにおくか、どう人に説明するか、どう仲間に納得してもらって、どういう流れでやっていくか。

このコーディネート能力がもっとも大切になってきます。

 

アートプロデュース学科は多様な学生が集い、多様なプロジェクトがすすんでいます。だから、何でもどんどんチャレンジして、ちゃんとあとでふりかえってみてほしい。

 

何がうまくいって、何がうまくいかなかったか。

 

そんな行動と思考が培う経験は必ず、コーディネート力になり得るし、社会に出ても応用性や汎用性が高いものになります。ぜひ、それを学んでいただきたいと思います。

 

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