- 2017年7月8日
- 日常風景
【油画】一年次古典デッサン:ダ・ビンチやラファエロが使った描画材
もう7月。こちら京都は山の色が濃い緑に変わって、
街中では祇園祭のコンコンチキチンという鐘の音が聞こえてくる時期になりました。
油画1年次は、今、レオナルド・ダ・ビンチやミケランジェロが描いていた、ルネッサンスの時代のデッサン技法と描画材を勉強しています。
さあ、ここで問題です。
ルネッサンスの時代、今から約500年前にはまだ鉛筆は発明されていませんでした。
鉛筆に変わる描画材、一体、どんな描画材を使用していたでしょうか?
…答えは一番下に…笑。
まずはそのための紙の準備です。
ルネッサンス期のデッサンのスライドショーと講義を見たあと、デッサンの支持体をつくります。
紙をカルトンに固定します。
そして紙に塗る有色下地をジェッソと顔料ペーストでつくります。新任の品川美香先生とともに、画集と見比べながら色味の濃さを調整してゆきます。
有色下地の色味は、褐色系、ブルー系、赤系、イエロー系の4色。
希望の色でグループをつくり、刷毛塗りします。
これは普通の水張りではありません。神谷先生のとっておきの手法を伝授してもらいました。
この神谷メソッドを使えば、テープを剥がしても紙の端まできれいにしておくことが出来ます!
これがデッサンの支持体になります。大きさはF8号、あとの油彩画古典技法のサイズと揃えています。
そして、翌日は油彩画の支持体制作に取りかかります。綿布のカットをして1日目が終了。
2日目は、マルオカ工業製HD-2パネルを使用します。
F8号ですが、油彩画の大敵、ベニヤ板のアク止め処理をする必要がないスグレモノです!
なぜなら、絶縁シートがすでに貼ってある製品だからです。
絶縁の方法はまた別の機会に伝授するとして、今回はHD-2パネルの使用で一工程省きます。
このようなパネルがあるのを知っておくのも学生達の今後に役立ちます。
本学教授の青木芳昭先生とマルオカ工業が共同開発した製品で、値段も普通のパネルより30円程高いだけとリーズナブルです!!(本学ADストアにて)
綿布に鉛筆で印をつけたらいよいよパネルに貼り込んでいきます。
これまでに一体何百、何千??枚のパネルづくりをしてこられたのでしょう、ベテランの木村克朗教授から直々に、「手早く大胆に、かつ繊細に!」と手ほどきを受けています。
元卒業生で先輩、今は講師をしている岡田啓伸先生からも実際の張り方のコツをアドバイスしてもらっています。
ジェルメディウムを希釈してHD-2パネルに刷毛塗りします。
いい顔笑。
正面が済んだら側面の処理に移ります。ここが一つのヤマ場です。
綿布の貼り込みが済んだら、一日寝かせてからジェッソ塗りしていきます。
6層から7層重ね、紙やすりの研ぎも行います。
写真は木村先生のジェッソを重ねたときの見本と、岡田先生のきれいに整えられた支持体パネルの作品です。これを見ると1年次学生もやる気になったのではないでしょうか。
さて、さっきの答えです。
有色下地をほどこした紙作品には、
ルネッサンスの時代、鉛筆が発明されていなかった時代の描画材の一つ、
シルバーポイント(銀筆)というものでデッサンします。
文字通り、銀の芯を使っています。
他にも、木炭、サンギーヌなど天然の色チョーク、インクやペンも使用していますよ。
シルバーポイントによるデッサン描画のことは、また次の機会にもレポートできたらと思います。
(森本玄:油画教員)
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