文芸表現学科

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2019年2月14日  イベント

【卒業展】2018年度受賞作品と講評

垂れ幕 
本日も、文芸表現学科卒業作品展「BUNGEI BOOK FAIR 2018」を開催中です。
会場では、BUNGEI BOOK CAFE、卒業作品を書籍化したBUNGEI BOOKS、
卒業作品・作者プロフィール展示した本棚をお楽しみいただけます。
 
また、会場内を彩る垂れ幕には、2018年度の主要受賞作品から抜粋した一文を使用しています。
さて、どんな作品が受賞したのか。先生からの講評とともに詳しくBLOGでもお伝えしたいと思います◎
 
 
 
gakucho
 
学長賞
石川悟『伝播通信』


著者が2017年から翌年にかけ、タイ、カンボジア、ミャンマー、インド、ネパールをめぐった旅行記。筆舌に尽くしがたいヴァラナシの光景、インドの物乞いの少女、カンボジアのトゥクトゥクの運転手はじめさまざまな人々との出会い、姿を消したカトマンズで食堂を営んでいた家族──印象に残る場面は枚挙に暇がないが、本作を通読して驚かされるのは、旅の魅力を十二分に感じさせてくれるこれらのエピソードを、ひとつのテーマのもと作品としてまとめた筆者の力量である。そのテーマとは、「人はなぜ旅をするのか」。読者は旅の経験だけでなく、著者が問い続けるこの問いをも共有する。そして旅へと誘われるのだ。(教員コメント/河田学)
 
ishikawa
 
 
 
 
yushu
 
優秀賞
渡邉風子『家のカンガルー』


日本人の老夫婦に誘われタスマニアからはるばる日本へとやってきたカンガルー。人語を話すカンガルーは、老夫婦一家にまるで家族の一員のようにとけこんでいく。奇想天外にも思えるこの世界を、ことばという魔術で紙の上に再現してみせた著者の力量は特筆に値する。そんな不思議な物語を本作の縦糸だとすれば、横糸は作品の随所にみいだされる《家族》というテーマである。そしてそのテーマはかならずしも幸せに描かれているとはかぎらない。けっして不幸ではない、それでいてどこか切ない(疑似)家族のなかでかすかに揺れうごく人々(とカンガルー)の心を見事に描いている。(教員コメント/河田学)
 
watanabe
 
 
 
 
shorei
 
奨励賞
西村有美香『スイート・スイート・マリィ』


ネットの投稿サイトで書いていた小説が書籍化されることになったユウコ。喜びの絶頂と、失望、幻滅、落胆とのあいだで反復横跳びを繰りかえすユウコの悲喜こもごもを痛快に描きながら、「人はなぜ書くのか?」「上手い小説とは」を問い続けた作品。小説を書く主人公はやはりこの作品を書いている著者自身の分身だが、主人公に鋭いツッコミを入れるノンちゃん、そして語り手の存在によって、主人公が相対化されていて小気味よい。ずっと言及されながらも明かされない、主人公の作中作の一説を読むまでページを繰る手が止まらない。(教員コメント/河田学)
 
nishimura
 
 
 
 
shorei
 
奨励賞
牧野佐耶『あなたが左利きだとしても』


〈私〉のバイト先のコンビニでは、ある常連客が話題になっていた。毎回違う女の子を連れてきては、コンドームを買って帰るのだ。ある日突然告白されて、〈私〉はそんなカンちゃんとつきあうことに。カンちゃんが初めての彼氏の〈私〉は、恋愛経験の違いに〈私〉は戸惑い、苛だち、傷つくが、女たらしのカンちゃんはじつは悩みを抱えていた……。日常の些細なディテイルをつうじて活きいきと描かれる等身大の主人公たち。なんの変哲もない二人の「小さな愛」が、「恋愛とは?」という大きな問いを照らしだす。(教員コメント/河田学)
 
makino
 
 
 
 
shorei
 
奨励賞
小石川夕見『カラオケに行きたいという気持ちだけで生きてゆける』


まずタイトルが面白く、しかしながら、どこか切ない感覚を湛えている。そして冒頭の数行に、はっとさせられる。「捏造された日記にすべてほんとうのことが書かれている」というのだ。なんとも不思議なたくらみに満ちた小説で、鋭い観察眼と、ポップで感性豊かな語りも、とても魅力的だ。書きながら語り、語りながら考え、考えながら動き、動きながら書く、といったタイプの書き手なのかもしれない。いったいどうやってこのような作品が書かれえたのかと感心する反面、主人公をはじめとする登場人物たちのドラマには、もっともっと深めるべき余地が残されてもいる。とにかく、今後の作品群を待望している。(教員コメント/辻井南青紀)
 
koishikawa
 
 
 
 
shorei
 
奨励賞
大道康晴『罪のベクトル』


罪とはなんなのか、善悪とはなんなのか。中学二年生の主人公・堤宗一は、いじめを肯定する背徳的な転校生や、殺人による服役歴のある叔父との出会いによって、これまで当然に刷り込まれていた自らの倫理観や道徳観が激しく揺さぶられていく。著者が在学中にずっと苦悶しながら向き合ってきたテーマを本気で描いているからこそ、この小説には際立った強度と重み、パンクさながらのグルーヴ感があり、読む者を終始圧倒する。なお、本作にはいわゆる差別用語とされる言葉がいくつか使用されているが、それは決して被差別者を貶めるものではなく、むしろそういった問題に対する疑義と警鐘のあらわれである。(教員コメント/山田隆道)
 
daido
 
 
 
 
dousoukai
 
同窓会賞
工藤瑞妃『ゆめみること』


気持ちよく読める作品である。京都の芸術大学を舞台に、油画の制作に取り組む主人公・美和子の日常と成長が等身大で描かれている。モチーフは彼女の見る夢と、それを記録した夢日記。学内の変わり者たちが集まる「窓際会」に、主人公が加わったところから物語は動きだす。
創作にまつわる葛藤や不安、孤独感など、芸大生らしいエピソードがリアルに積み重ねられていくが、語り口はあくまで軽妙だ。数多い登場人物が巧みに描き分けられ、ストーリーもよく練ってあり、日常にひそむ「何か」を丹念にすくいあげている。ファンタジックで浮遊感ある小説空間は、本学での4年間を表現に昇華させた作者の現在地でもある。(教員コメント/村松美賀子)
 
kudo
 
 
 
 
今年度の作品は34名・34作品。それぞれに大学で学び、感じ、失い、得たものが作品なかで息づいています。
ご来場くださる皆さんには、皆さんの経験や感性で、その息吹を感じ取っていただければと願っております。
お気に入りの作品を見つけに、ぜひご来場ください◎
 
 
 
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卒展は今週末まで開催です!
2月16日(土)・17日(日)は、
卒業展/大学院修了展 OPEN CAMPUSも開催します!
oc
16日(土)は「文芸表現学科 作品講評会」も実施しているので、特にオススメです!
卒業生・在学生・教員の熱い講評を覗きに、ぜひ足をお運びください〜!
 
 
 
(スタッフ・大賀)
 
 
 
 
 

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