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(大学院)写真・映像領域 佐藤 泰輔【領域奨励賞】

『まなざしのトレース』

デジタル / インクジェットプリント


 僕は子供の頃に自分が住んでいた場所を訪ねていくことにした。2023年の12月のことだ。 
もう7年くらい、僕は自分がちぎれていた。生まれた時にさかのぼって、自分が何者なのかをひとつづつ、その断片を拾い集めていかなくてはならなかった。

 僕は自分が写っている母が撮った家族写真を持って「場所」に向かった。そこでその写真を現在の風景に重ね合わせるように写真を撮った。
⺟がいた場所、カメラを持った⾼さや向きを特定して現在の⾵景と重ね合わせる。それは想像以上に難しく、試⾏錯誤しているうちに、⺟はしゃがんで、うんと低い位置から私を撮っていたことがわかった。

 シャッターを切った瞬間、⼼地よい⾳と共にファインダーは暗転する。すると⼀瞬⿃肌が⽴つような感覚を得た。ファインダーに「当時の⺟のまなざし」が⾒えたのだ
「昔の母のまなざし」が僕の網膜に重なった。

僕はその衝撃的な出来事に驚いたのだけれど、そこで沸いた嬉しい気持ちは余韻として今も残っている。

 その「まなざし」の意味は、本質的な僕自身を表している。とても時間がかかったけれど、ようやくそれがわかった。

個人サイト
www.taisukesato.com

佐藤 泰輔【領域奨励賞】

(大学院)写真・映像領域

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