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人工の街に新たな接点を「きづく」

― ニュータウンの風向きを調整するような機能やビヘイビアの探求 ―

(大学院)空間デザイン分野 前田 基行

日本のニュータウンは、戦後の高度成長期における都市への急激な人口流入・増加に対応するため、郊外の大規模開発によって各地に「意図的につくられた人工の街」である。

このような急造の街であったが故、これまで様々な問題を抱えてきた。初期には、急激な人口増加(特に若年層世帯)の影響による医療や公共施設の不足が社会問題となり、時代が下るにつれ、商店街の老朽化や少子高齢化問題、さらには都市回帰による人口減少が街に歪みをうむ。なかでも、各地から寄せ集まった住人同士の関係性の希薄さが早くから問題視されてきた。
 
私自身、長らくニュータウンの住人である。その当事者として、「近からず遠からず」なニュータウンならではの距離感・関係性が、今後の街の方向性を決めうる重要な要素になるのではないかと考えている。
本研究では、その風向きを調整する機能、関係構築のためのビヘイビア(ふるまい)を助長する仕掛けを探求する。

ニュータウンの誕生から約60 年を経て、各世代が交ざり合う現在は、ある意味、街として成熟しているといえるだろう。ただ、前段の人工の街は依然として存在しているため、そのハード部分の改変はもとより、人の関係性に変化をもたらすことも容易ではない。他方、都会や農村にはない、干渉が少なく適度な距離感を保てる生活を求めている人々が一定数いることも事実である。押し並べて、何か大きく人為的な変化を加えることには疑念を抱かざるを得ない。

ゆえに、目に見える改善を求めるのではなく、ニュータウンらしさとは何か?ここにあるものは何か?まずはその良さを再確認することからはじめてみる。そして、誰もが適度な距離感を保てる、時にはひとり内省できるような「ほんの少しの関係性」の構築を図る。

計画は、手数を掛けないサステナブルな視点で、今あるものとないもの・既存との融合・各要素の均衡を保ち、「人工の街」から「人の手を経た町」へと移行するようなチューニング(調整作業)を行うようなことである。
そのための場の調査・抽出・選定を行い、日々のちょっとした接点を紡ぐことができる仕掛けを考案する。そこでの滞在や関わりを通じて、ニュータウンらしいインクルーシブな醸成を目指す施策の提案である。

ニュータウンの「図案」と「バス停」のヴィジョン

ニュータウンの「これまで」と「これから」

街の「接点の活用」と「場所性の構築」

ほんの少し風向きを変えるような「ひとつの解」

「待つ」から「寄る」へ

前田 基行

(大学院)空間デザイン分野

CONTACT

既存空間に対して「なにもしない」を構築、志向していきたいと考えています。

2015年末に独立し、COMMAGRAM.〈カンマグラム.〉という「空間を扱う」設計デザイン事務所を営んでいます。リノベや家具などを中心に「(物理的にも精神的にも)手の届く範囲」を基準に活動しています。

建築業界に身を投じた当初、ちょうど世間ではサステナブル(ユビキタスとか)の風潮が謳われだした頃で、学びと同時に新築や建設行為に疑問を感じはじめました。
もちろん必要な新築はある。でも、大多数は本当に必要なのか?と。(だからと言ってリノベがその解答だと、そんな安直なことではないとは思っている)

院では、そんな自分の考えを纏めたり飛躍させることを目的に、「なにもしない」ことが軸としてあって、そこに学びの指針であるコミュニケーションを少し取り込むような考察を心掛けました。

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