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忘角の子

文芸コース 飯野摩紀

 ものごとや人生に意味が、あるのか、ないのか。自分でも他人からも、良く投げかけられる問いでした。生か死か、夢か現実か、善か悪か……。そんな二項対立を脱するべく、このものがたりを書きました。


 命を終えるとすぐ赤ん坊となって蘇る、そのような人たちを、春になると落ちる鹿の枝角になぞらえ〈忘角(ぼうかく)の子〉と呼ぶ。忘角の子は一番目に命を落とした時と同じ歳になると、また命を落とし、蘇ることを繰り返す。

 輪(りん)は、十五歳の誕生日に命を落とし、赤ん坊となって蘇った。記憶もこれまでの経験もなく、輪は忘角の子として新たな人生を送ることになる。
 輪と幼馴染の晴(はる)は、一番目の輪と二番目の輪がたとえ生物学的に同じ人間だとしても、どことなく違和感を覚える。一緒に過ごした時間がある輪と、それがない輪。細胞、環境、経験、そして記憶……。何を持って第二の輪を輪と呼ぶのだろうか。
 ものがたりは、三十歳になった晴と二番目の生を生きる中学三年生の輪が、小さな村で静かに生きているところから始まる。二週間後にくる終わりを前にして……。

  これは、意味のある人生の反対にあって、
      無意味ではない人生のものがたり。 

飯野摩紀

文芸コース

 小説を書きます。書いたのはまだ二作。大学に入ってからです。

 ……私は声が小さく……風や……人混みではよく……かき消されています。小説も同じかもしれません。
音と囁きを、だれかの「声」として表出したいです。
 枕元に置いてもらえたり、棺桶に入れてもらえるような一冊を作る、それを死ぬまでに成し遂げたいと考えています。


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