嵯峨本『伊勢物語』第一段
文字の構成と表現について
歴史遺産コース 上野伸江
手書きからデジタル入力への移行が進む現代において、文字の造形や書くという行為そのものが日常から遠ざかりつつある。
そうしたなか、江戸時代に活字でありながら手書きのような美しさを備えた「嵯峨本」の存在を知り、その独自性に強い興味を覚えた。活字といえば一般的には一文字ずつ制作されるが、嵯峨本『伊勢物語』では二文字、三文字の連彫活字による印刷が行われており、筆致の揺らぎや余白の呼吸といった手書き特有の魅力が感じられる。その背景にはどのような工夫や美意識があったのか「嵯峨本」を手がかりに、印刷技術の変遷のなか文字の美しさや手書きのあり方を改めて考え直そうと考えた。
上野伸江
歴史遺産コース
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