きょうだい児が生きやすい社会を目指す
きょうだい児自身が「きょうだい児」という概念を知るコミュニケーションデザインを考察
(大学院)グラフィックデザイン分野 岩倉 久美
イラスト全て著者制作
キャラクター・マインドフルネスカラースライダー・記録帳について著者作画、以下を使用し出力・検証
Google AIモデル Gemini3 Flash 2025年12月時点
本研究は制度・倫理・ナラティブの複数領域が関わるため、研究のロジックと制作物はあえて分離した構造にしています。研究側では当事者性を含む言葉の整理を行い、制作側では情報の伝達形成と可視化の可能性を扱っています。
きょうだい児という概念は、その言葉を知る人には存在していても、社会ではまだ言葉として浸透していない領域です。
きょうだい児は、名前が与えられていない状態の時間が長くありました。名前が認知の入り口であることを考えると、知るきっかけとなるところに、コミュニケーションのデザインが介入できるのではと考えました。
本研究に取り組むにあたり、きょうだい児とその周囲との関係性について調査しました。その結果、きょうだい児自身においても、周囲においても問題として認識していない段階であることが圧倒的に多いことに気づきました。支援団体においては高い問題意識があることを確認できましたが、それが社会的議論として表面化するには至っていません。よって、きょうだい児と全く接点がなかった者との間に認識の温度差を強く感じています。きょうだい児は制度ではなく、認知の問題が大きいといえます。言葉や概念がないと問題は存在しないことになるからです。
本研究におけるコミュニケーションの対象はきょうだい児自身、それも「きょうだい児であることを自認していないきょうだい児」に絞りました。可視化されていない相手であり、語られにくい点に特徴があります。きょうだい児自身が「きょうだい児である」と自認することは、個人的経験を構造化し、自己責任性を軽減し、支援や権利へのアクセスを可能にする点で重要になってきます。それが作品タイトルでもある「きょうだい児が生きやすい社会を目指す」につながっていきます。
キービジュアルであるキャラクターを認知していく過程を通して、きょうだい児への理解を深めていきます。また、きょうだい児自身が自然な形で、自らをきょうだい児として認識し、その概念を知る機会となる可能性を示唆します。
本研究は、このような「気づき」を促すコミュニケーションのあり方を提示することを目的としています。
(註)
※「きょうだい児」とは慢性疾患の病気、精神や身体に障がいがある兄弟姉妹がいる者のことです。
※慢性疾患の病気、精神や身体に障がいがある方の兄弟姉妹を「同胞」と表現しています。
※成人した者に対しても「きょうだい児」と表現しています。
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岩倉 久美
(大学院)グラフィックデザイン分野
グラフィックデザイナー、ディレクターなどの職務に就き、ハウスエージェンシー案件に携わることが多いキャリアでした。取扱い媒体は商業印刷物が中心ですが、WEBサイトなど、幅広く関わっています。他にも大学広報や事務、制作進行管理の職務を経験しました。
2020年頃より知的好奇心が高まり、その熱量を学芸員などの資格取得という形に昇華させました。一念発起してMFA資格取得に挑戦しましたが、一筋縄にはいきませんでした。悪戦苦闘し、迷走。苦境に立ったとき、手を差し伸べてくださった方々に感謝。そんな切磋琢磨の日々を忘れることはないでしょう。
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