演者としての「私」
―オートエスノグラフィーによる講談へのアプローチ―
和の伝統文化コース 永冨美枝子
卒業論文を書くにあたり長年の趣味である「講談」をテーマにしたいと考えた。ところが漠然としていて何を書けばよいのか、また一体自分が何を書きたいのかがまったくわからなかった。伝統話芸ではあるものの講談関係の研究はとても少なく、先行研究としては、講談の歴史、講釈師の系譜と語り、速記本についてなどが主なものであった。それらは学術的で素晴らしい内容であるが、私は講談の演者として実際に高座を経験している自分自身を主体に書きたいと感じた。
それは、演者として高座で語ることが苦手で毎回失敗を繰り返しながらもなぜか続けている自分を書くことで、自分にとって演者とは、自分にとって講談という話芸とはという「問」を明らかにできるのではと感じたからである。
そんな思いに対し指導の先生方がオートエスノグラフィーという自分自身を観察対象とする新しい手法を教えて下さり、チャレンジしてみようと思った。しかし実際には高度な手法であり、論文としてなんとか提出することができたのは先生方のご指導に依るところが大きいのである。
本論文のポイントとしては、自分自身を観察対象とするオートエスノグラフィーという新しい手法を使って、講談の演者がその個人的な経験を自分を観察対象として論じたということである。そしてそのチャレンジは、意義ある大きな経験になったと感じている。
永冨美枝子
和の伝統文化コース
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