Photographic Cubism ―諸科学、諸芸術の下婢―
(大学院)写真・映像領域 鈴木 大斗
本シリーズは、レンチキュラーレンズとプリズムフィルターという二つの光学技術を用い、写真における多視点的表現と時間の積層を試みた作品群です。ポートレート、静物、風景の三つの主題で展開される本作は、100mm角の正方形に分割された100〜200枚の写真群を、木製パネル上でグリッド状に再構成することで成立しています。
本作の構造における最大の特徴は、鑑賞者の身体的な移動に連動してイメージそのものが物理的に揺らぎ続ける点にあります。表面を覆うレンチキュラーレンズの特性を利用し、一つのセルの中に「腐敗する前と後の果実」「昼と夜の都市風景」「被写体の過去と現在」といった、異なる時間や角度から捉えた二つの像を共存させました。
かつてキュビスムが絵画において単一の視点を解体したように、本作は「凍結された瞬間」という写真特有の性質への介入を試みています。プリズムフィルターによって光学的に生成された複視的なズレと、鑑賞者の歩みに合わせて変容する像は、固定化されたパースペクティブを無効化し、常に動き続ける動的な平面を提示します。
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