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芸術研究の世界#14「精神科患者の自己表現としての絵画」

2022年10月5日

アクティビティ

 2022年10月4(火)18:30より、文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界#14」をzoomにて開催いたしました。

 

 

芸術研究の世界#14

「精神科患者の自己表現としての絵画」

講演者:藤澤三佳(京都芸術大学・芸術教養センター教授)

日 時:2022年10月4日(火)18:30-20:00

参加者:61名(京都芸術大学教職員・学生)

*講演概要ほか詳細:https://www.kyoto-art.ac.jp/iphv/topics/5108/

 

 

【参加者感想(一部抜粋)】 

*「芸術とは何か?」「絵を描くとは何か?」と言う根本命題を突き詰められたように思います。

 

*とても胸がいっぱいになり涙が出ました。絵などの芸術は生きるために必要だと私も思います。ありがとうございました。

 

*貴重な資料をありがとうございました。作家さんの創作を見ていると差別や虐待の辛さの解放が絵の中に込められていると感じました。必ずしもそれだけではないかもしれませんが、私はそういった辛さを絵画に求めることなく絵画が生まれるような環境が作られることを切に願っています。

 

*全く知らない世界でした。芸術や表現とは何なのかを考え直す機会となりました。ありがとうございました。

 

*精神患者たちへの、絵画での治療という、そんな内容、その患者さんたちの結集されての絵に、驚きました。アート作品に芸術性を感じました! 

 

*自分が忘れかけていた絵画と自分の立場という関係について改めて真剣に自覚して向き合わなければならないと痛感しました。

 

 

【質問と回答】 (アンケートで寄せられた質問に 回答していただきました)

今回のご感想をお寄せいただきありがとうございました。刺激や励みにもなりましたし、当日も熱心にご質問をいただいたり、オンラインでも皆さんのお顔も拝見できてうれしかったです。当日に答えさせていただいたご質問の他に、二つのご質問をいただきました。

 

*芸術療法を京都芸術大学において学ぶことは可能なのでしょうか

 

→通学部では「芸術と心理」という授業で扱っています。通信教育や東京学舎でも私が担当していましたが、その講義企画が通信教育の方でなくなったので、現在は授業としてはないと思います。

 

*先生は、病を持たれた方との関わりを通じての活動の理想像や生涯を通しての最終目標(夢)はどのようなものなのでしょうか?ぜひお聞かせいただければうれしいです。

 

→施設の中での創作活動に関するご体験の貴重な内容、喜びや大変さも含めてお伝えいただき本当にありがとうございました。「その頃の悔しさが創作のやる気になることがあります」と書かれていましたが、そのようなことは創作に関しては(もっといえば創作でなくても)確かにあるであろうし、平川病院でも「つらいことも逆のバネとして」ということがよく聞かれますので、深く考えさせられました。私は創作の分野だけでなく、いろいろな分野のつらい思いをされている方々の活動に参加してきました。分野はさまざまでも、人が集いつらさも含めて表現し、語り合ったり共感したりすることの重要性はとても共通したものがあり驚くべきことだと思います。今回の<造形教室>にも同様の点からとても共感してきました。表現者を含めたそのような活動を紹介していき、そのような活動に共感したり参加してくれる人が少しでも増えることを願って書物や文章を書いたり展覧会やイベント、発進活動をささやかながらしていけたらと思っています。表現活動の理想像は何ですかという質問ですが、私にとってはまさに<造形教室>は理想に感じられます。描くことの背景にとても安彦先生やスタッフの細かい配慮がなされていて、ここまでのことは誰でもできることだとは思いませんが、そこから学びいろいろな場所で近いことがなされていったらいいと思っています。

 

 

ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。

今後もzoom等を活用しながらセミナーや研究会などを開催する予定です。一般公開セミナー開催の際はこのホームページにてお知らせいたしますので、ぜひ楽しみにお待ちください。

 

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【文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界」】

このセミナーの講師は、文部科学省科学研究費(通称:科研費)の研究代表者である、8名の本学教員です。科研費は、人文・社会科学から自然科学まで、あらゆる分野の優れた研究を発展させることを目的として国から支給される研究費で、厳正な審査を経て採択され、数年間、申請した研究計画に沿って研究に取り組み、その成果を公表します。オンラインセミナー「芸術研究の世界」では、本学の教員が現在取り組んでいる芸術研究について、その研究を発想した経緯や研究の面白さ、難しさなども含めて存分に語っていただきます。セミナーでの質疑を通して、参加者の皆さんとともに、芸術研究の奥行きと拡がりに触れる機会となることを願っています。

 

【今後の予定】 (タイトルは科研の採択課題です。講演内容は追ってご連絡します)

11月2日 戸坂明日香 「不気味の谷」を超える復顔法の研究

12月7日 前川志織 戦間期日本の嗜好品広告における間メディア性

1月11日 宇佐美智之 中央アジア・オアシス地帯における都市の成立と展開:ザラフシャン川流域を中心として

2月1日 大西宏志 オーラル・ヒストリー 芸術運動としての広島国際アニメーションフェスティバル研究

3月1日 牛田あや美 日本統治下の漫画家・北宏二/金龍煥の懸隔

※日程は講師の都合等で変更の可能性があります

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