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2020年5月2日 ニュース
こんにちは。
前回に引き続き、歴史遺産学科新入生・在校生の皆さんはじめこの分野に興味を持つ方々に向けて、
専任教員からのお薦め作品をご紹介いたします。
(その1は是非↓をご覧ください!)
今回は歴史文化領域の教員からのお薦め作品のご紹介です。
考古学・歴史まちづくりご専門の杉本宏先生からは、漫画を紹介していただきます。
『ブッダ』全12巻(潮ビジュアル文庫)は、手塚治虫作品の中で『火の鳥』とともに傑作のひとつだと思います。
ブッダの生涯を史料に即して丁寧に感動的に描きあげています。仏教の創始者釈迦のエピソードを理解
しておくことは、歴史や文化財を取り扱ううえで基本的な知識でしょう。
これを知っておくと、寺院巡りも一味違うこと受けあいます。
星野之宣『宗像教授シリーズ』には幾種類かありますが、『宗像教授伝奇考』全6巻(潮出版)とか
『宗像教授異考録』全15巻(小学館)などが面白いと思います。
宗像伝奇(むなかた ただくす)は東亜文化大学の民俗学教授で、専門は鉄。黒い山高帽と黒マント姿で、
歴史学・民俗学では奇想と思われる大胆な仮説を立てて歴史の謎に挑みます。
ストーリー自体は奇想天外ですが、ベースになっている歴史・民俗学の雑学を知るにはもってこい。
野田サトル『ゴールデンカムイ』(現在20巻まで、連載中。集英社)は、明治日本の軍と隠黄金の争奪戦の話です。
ストーリーは病的に変ですが、背景となっているアイヌ文化、主人公のアイヌ少女アシリパの服装や持ち物などは、
きわめてよく学術的監修がされています。アイヌ文化に興味がある人は是非一読を。
私の友人の一人もこの取材協力をしています。TVアニメ化されます。
次に日本庭園史、文化財庭園保存修復ご専門の仲隆裕先生からのご紹介です。
エッセイあるいは自伝を読むと、人間の一生は実に色とりどりであり、
私たちの前には可能性の大地が広がっているのだ!とワクワクしてきます。
『アシモフ自伝』I上下、II上下(早川書房、1985年)は、科学者でありSF作家のアイザック・アシモフの
膨大な自伝です。手に入りにくいかも知れませんが、べらぼうに長く、べらぼうに面白い!
どうぞ探してみてください(アシモフが続きますね、、)。
大学での研究とは?がイメージできる小説としては、『すべてがFになる』などミステリイ作家として
知られる森博嗣『木嶋先生の静かな世界』(講談社文庫、2013年)があります。
特に理科系、と呼ばれる研究者の思考や志向が的確に描写されています。
漫画では、源氏物語を漫画化した大和和紀『あさきゆめみし』(講談社文庫)や、
茶人・古田織部が主人公の山田芳裕『へうげもの』(講談社文庫)もお薦めですが、
やはりここはピーナッツ』シリーズでしょうか!
現在、全集が刊行中ですが、手頃なところでは、
チャールズ・M・シュルツ作/谷川俊太郎訳『気持ちが楽になるスヌーピー』(祥伝社新書、2011)から
読むと良いでしょう。「だれにでも未解決の問題はあるもんだよ!」とはスヌーピーの名言です。
最後に、高畑勲監督のドキュメンタリー「柳川堀割物語」(ジブリがいっぱいCOLLECTIONスペシャル)。
北原白秋が過ごした福岡県柳川は水郷の美しさで知られますが、「掘割」と呼ばれる水路網は一時期、
ひどく荒廃していました。水辺に生きる暮らしの知恵と工夫が、掘割の再生とともに甦っていくプロセスが
丹念に記録・紹介されています。歴史まちづくりを目指す皆さんにはぜひご覧いただきたい映画です。
2回にわたってお薦め作品紹介を行いましたが、いかがでしたか?
どれも興味深い作品ですね。
時には教科書を離れ、先人の知恵の宝庫・書籍や映像作品に向き合ってみましょう。
気になるものから是非、じっくりと鑑賞なさってください。
2020年5月1日 ニュース
こんにちは。歴史遺産学科学科長の仲です。
いよいよゴールデンウィークが始まりました。
しかし、新型コロナウィルス感染拡大防止のために非常事態宣言が全都道府県に出されている現在、
皆さんは外出を控え、いわゆる「巣籠もり」の状態だと思います。
そこで、前回に引き続き、歴史遺産学科新入生・在校生の皆さんはじめこの分野に興味を持つ方々に向けて、
専任教員からのお薦め作品を2回にわたってご紹介いたします。
今回は文化財保存修復領域の教員からのお薦め作品のご紹介です。
まずは、民俗文化財の保存修復ご専門の伊達仁美先生からの推薦です。
私がみなさんにお勧めする図書は、法政大学出版局の「ものと人間の文化史」シリーズです。
現在、184巻(実際には、複数にわたるものがあるため、211点)まで出版されています。
みなさんが興味をもつ分野も、きっとあるはずです。
私が初めてこの本を手にしたのは、『ものと人間の文化史12』「絵馬」岩井宏美實著(1974)でした。
1975年に購入してから、45年、ずっと側にあります。
それ以降、「ものと人間の文化史」シリーズは、何かを調べるときに、まず手に取る書籍となっています。
それぞれの分野で活躍する研究者が執筆されていて、入門書として読みやすく、参考文献も充実しています。
小説では、私の大好きな北森 鴻の著作を紹介します。
まず、『狐罠 』(講談社文庫)、『狐闇』(同)をお勧めします。
これらは私が初めて北森作品と出会い、それ以降彼の作品にのめり込むきっかけとなったものです。
古美術ミステリーの傑作長編と紹介されていますが、贋作の制作方法が専門的に描かれ、とても興味深い作品でした。
同じく、北森 鴻著『深淵のガランス』(文春文庫)絵画修復に必要なX線分析や絵具の分析などの
説明も分かりやすく描かれています。
北森は、民俗学の分野でもたくさん作品を残しています。こちらも面白い作品がいっぱいです。
次に、装こう文化財の保存修復ご専門の大林賢太郎先生からのお薦めです。
私が歴史学に関して影響を受けたのは手塚治虫の「火の鳥」シリーズと、
アイザックアシモフの「ファウンデーションシリーズ」シリーズ&「ロボット」シリーズでした。
アイザック・アシモフ(前のブログの図書推薦で増渕先生が挙げられていました)は、
化学だけでなく歴史でも学位を取った理系と文系にまたがる天才で、多数の本を執筆しました。
学術書もある一方で、SFの作家としても著名です。「ファウンデーション」シリーズ(ハヤカワ文庫)は、
銀河帝国興亡史という副題がついているものですが、「心理歴史学」という学問で未来予測するというストーリーです。1人1人がどう判断して何をするかは予測がつかないが、社会全体としての傾向は数学的な計算が可能だ
という学問と言う設定です。面白い設定で、有り得る話だと思っていましたが、近年では、
それがAIによって達成されつつあります。
ちなみに「ロボット」シリーズは、ウイル・スミス主演の映画「アイ,ロボット」のベースになっていたり、
鉄腕アトムにも影響を与えたと言われています。
最近、「文房具百年」というサイトにはまっています。
私は近現代の資料を研究していますが、それらには様々な筆記用具が使われています。
それらがどう劣化していくのかを調べているのですが、それについての歴史的な蘊蓄がいっぱいです。
マンガで面白いと思ったのは蛇蔵&海野凪子『日本人の知らない日本語』シリーズです。
日本語学校の教師が主人公で、留学生の間違った日本語のエピソードを面白おかしく取り上げていますが、
私達日本人から見ても、日本語って独特(変?)な言語なんだと改めて思えるところが結構あります。
あと、日刊工業新聞社のB&Tブックスの『きょうからモノ知りシリーズ トコトンやさしい○○○○の本』シリーズ(○○○○には、紙と印刷、染料・顔料、段ボール、色彩工学乙等があります)や
同じ出版者の『おもしろサイエンス ○○○○の科学』シリーズ
(○○○○には、塩と砂糖と食品保存、接着、五重塔等々があります)がお気に入りです。
最後に、文化財科学ご専門の増渕麻里耶先生からのお薦めです。
漫画はあまり読まない方なのですが、歴史への傾倒のきっかけとなったのは何か思い返してみると、
幼少のころ母の本棚で見つけてこっそり読んだ手塚治虫作『火の鳥』だったように思います。
人間の惨さ、生命の尊さ、そして何世代も形を変えながら繰り返される人々の業というものを、
この漫画を通してある種の衝撃とともに知りました。
特に「ヤマト編」と「鳳凰編」は今でも強烈に覚えており、これが日本の古代史へ興味を抱く最初の
きっかけになったのだと思います。その後小学校高学年のころに読んだ同じく
手塚治虫作『三つ目がとおる』の短編「酒船石奇談」をきっかけに飛鳥奇石群にどハマりし、
関連する本を図書館で読みあさっていました。
関連しつつも少々話は逸れますが、私の通っていた中学校では、
3年生の京都・奈良修学旅行のメインイベントとして、
飛鳥の甘樫丘の頂で代々「万葉歌碑のうた」という混声合唱曲を歌っていました。
この楽曲は「采女の 袖吹きかへす 明日香風 都を遠み いたづらに吹く」という
志貴皇子(天智天皇の第7皇子)の短歌をもとに、昭和の作曲家黛敏郎氏が編曲を手掛けたものですが、
晴天の丘の上で、穏やかな風を受けながらみんなで歌ったあの感覚は、楽曲共々一生忘れられません。
甘樫丘の頂で明日香風を感じる
最後に、小説については前回のブログで松本清張の『火の路』をあげてしまったので、
その代わりに西岡常一・小原二郎著『法隆寺を支えた木』(NHKブックス)という書籍を推薦します。
同一の対象を職人と科学者それぞれの立場から見た場合にどのような違いがあるのか。
結果的に職人の勘を科学が裏付ける形で融合する展開が多々あり、自分のこれまでの経験と
照らし合わせても面白い本だなあと思います(ちなみにこれは上記の修学旅行の事前学習図書の一つでした)。
いかがでしたでしょうか。
興味深い作品ばかりで、じっくりと触れてみたいですね。
次回は歴史文化領域の教員からのお薦めをご紹介いたします。
お楽しみに!
2020年2月7日 ニュース
みなさん、こんにちは。歴史遺産学科の副手です。
2月に入り、まだまだ寒い日が続きますね。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
大学は8日(土)から始まる卒業展の準備で賑わいをみせています。
さて、今回は2/8(土)、2/9(日)におこなわれる歴史遺産学科の卒業論文発表会と
2/8(土)~16(日)に開催される卒業展のお知らせです!
2/8(土)、2/9(日)に歴史遺産学科の卒業論文発表会を開催いたします。
8日は歴史文化領域、
9日は文化財保存修復領域の学生たちがそれぞれ専門領域の卒業論文を発表します。
1、2年生で学んだこと、身につけたことから研究テーマを見つけ出し、
3、4年生でそれぞれの個人研究を深めていきます。
一人ひとりの大学生活、学んできた成果の集大成が、この発表会となります。
当日のプログラムは下記をご覧ください。
どなたでも聴講いただけますので、みなさまぜひお越しください!
【プログラム】
2月8日(土)から開催される卒業展では卒業論文を展示いたします。
論文本体のほか、研究で用いた資料などもあわせてて展示されます。
学生たちは自分達の学びの集大成を表現すべく、日々展示の準備を進めています。
搬入の様子
歴史遺産学科の会場は人間館4階 NA401教室です。
卒業論文発表会と併せてみなさまのご来場をお待ちしております!!
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京都造形芸術大学
卒業展/大学院修了展
【期間】2020/2/8(土)~2020/2/16(日)
【時間】10:00~18:00(入退場自由) ※入場無料
【会場】京都造形芸術大学
詳しい情報はこちら!
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2020年1月27日 ニュース
こんにちは。歴史遺産学科の副手です。
今回は、2月に開催される講演会を2つご案内いたします!
「松殿山荘 講演会 平安後期の藤原氏と宇治木幡」
2月23日(日)松殿山荘にて歴史遺産学科教授の杉本宏先生がお話されます。
宇治木幡の地は、藤原氏一族の菩提寺浄妙寺が建てられたところです。
平安時代後期には関白藤原師実が別業を構え、その後の藤原基房も別業を構えました。
その地に現在の松殿山荘があります。
講演は平安時代の藤原氏についてのお話しで、講演後には解説を交えながら当時の遺構を実地に見学します。
講演会の詳細は下記をご覧ください!
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「松殿山荘 講演会 平安後期の藤原氏と宇治木幡」
主催:公益財団法人 松殿山荘茶道会
日時:2020年2月23日(日) 14:00~15:30
場所:松殿山荘 大書院
受付:13:30~
講師:杉本 宏(京都造形芸術大学 歴史遺産学科教授)
定員:50名
参加費:1000円
申込方法:聴講ご希望の方はメール、FAX、往復はがきでお申込みください(2月20日までに必着)。
※先着50名さま、定員オーバーのときは抽選となります。
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「西アジア考古学 トップランナーズセミナー」
2月24日(月祝)古代オリエント博物館にて歴史遺産学科専任講師の増渕麻里耶先生がお話しされます。
「西アジア考古学 トップランナーズセミナー」第4回目となる今回は、
「ヒッタイトの鉄」研究などで知られる増渕麻里耶先生が、長年、古代エジプトの葬制を研究されている
和田浩一郎先生とともに、ご自身の研究また研究の歩みに関して、お話しされます。
講演後には、参加者を対象に講師のお二人を囲んだ茶話会が予定されています。
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「西アジア考古学 トップランナーズセミナー」
増渕麻里耶先生『出土製品からみるヒッタイト 帝国崩壊後のアナトリアの姿』
和田浩一郎先生『結びの護符と葦の棺-知られざる古代エジプトの世界-』
主催:西アジア考古学会、古代オリエント博物館
(平成31年度 文化庁博物館クラスター形成支援事業)
日時:2020年2月24日(月・祝日)
講演(途中休憩あり):10:00~12:00
学生対象の茶話会(学校教育関係者も出席可):12:00~13:00頃
場所:池袋サンシャインシティ文化会館ビル 古代オリエント博物館
定員:先着130名
参加費:無料
申込先・お問合せ:日本西アジア考古学会事務局
Mail:office@jswaa.org
Fax:029-853-4432
申込方法:お申込みの際には、氏名・連絡先(メールアドレスかFax)・学年(学生の場合のみ)
・茶話会出欠(学生・学校教育機関関係者のみ出席可)をお知らせください。
※お電話でのお申込み・お問い合わせは受け付けていません。
※詳しくは日本西アジア考古学会ウェブサイトhttp://jswaa.orgをご覧ください。
2019年12月18日 ニュース
こんにちは。歴史遺産学科の副手です。
師走も半ばを過ぎ、寒い日が続きますね。ついつい暖かい部屋でまったりとしてしまいます。
さて、今回は、本学教授の五島邦治先生がお話される公開講座のご案内です。
五島先生は日本文化史、特に京都という地域における古代から近代を通じた町の歴史と文化の研究がご専門です。
今回は「京都 町と人の歴史~王朝文化ということ~」という大きなテーマのもとで、
現代の京都の美意識に連なる「王朝文化」について3回にわたりそれぞれのお題に沿ってお話されます。
公開講座の詳細は下記をご覧ください。
各回ごとの受講も可能となっております。ご興味のある方ぜひお申込みください!!
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【京都 町と人の歴史~王朝文化ということ~】
「王朝文化」は「平安貴族の文化」と同じではありません。後世の人々が平安時代の美意識を慕って作った、
「貴族風の文化」とでもいうべきものです。けれども、そうした美意識は、どのようにして成立したのでしょうか。
現代の京都の美意識に連なる「王朝文化」について考えます。
講師:五島 邦治先生
日時:2020年1月23日(木)「花見の文化とさくら」 10:00~12:00
2020年2月27日(木)「年中行事と四季観」 10:00~12:00
2020年3月26日(木)「浄土への憧れと大寺院」10:00~12:00
会場・申込先:京都市生涯学習総合センター(京都アスニー)
参加費:1回840円(京都まなびすと会員は640円)
申込方法:ご来館・電話・FAXにて前日まで受付中。
TEL:075-812-7222 FAX:075-803-3017
・休館日はFAXのみ受付
・事前申込みにご協力をお願いします。
ご予約されていない場合、定員に余裕があれば当日申込み(開講10分前から)も受け付けいたします。
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