- 2021年2月25日
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【卒展】受賞作品紹介 ー 優秀賞 ー
こんにちは、空間演出デザイン学科です!
卒展終了から早くも2週間が経ってしまいました。
時の流れの速さを痛感するこの頃です。。。
さて、今回は2020年度卒業展の【 優秀賞 】を受賞した2作品について紹介です!
空間デザインコースから紹介します。少し長めの記事となります★
■ 優秀賞 ■
「井戸端会議」ができる家に
空間デザインコース | 水野 綾乃 (みずの あやの) | 鹿島朝日高等学校
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高齢者の孤独死や空き家問題を背景に、暮らしやすさだけでなく、
家主のおばあちゃんの「人を呼んで楽しくお喋りやお茶をしたい」という思いを最優先に、
明るい空間で人や地域との繋がりを持ち続けられるよう、築97年の古民家をセルフリノベーションした。
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(図録掲載キャプションより引用)
彼女の作品は、地元で親しくしている”おばあちゃん”の土間をリノベーションした作品。
DIYなどの言葉はよく耳にするようになり、”自分で”何かをつくりあげる人たちが増えてきたように感じますが、
「 セルフリノベーション 」
こちらは、そのままの意味にはなりますが「設計」「施工」「仕上げ」を「自分の手で行うこと」を言います。
古い家具なんかを良さを生かしたまま、、なんてことは容易かもしれませんが、
彼女の場合は一つの空間まるまるになります。
しかもとても素敵で、1人で行ったようには思えないほど美しい空間に。
▼こちらが実際のおばあちゃんのお家です。(ぜひ画像をクリックしてご覧いただきたい)
何度も何度も地元 愛媛に足を運び、家主のおばあちゃんへの聞き取りや現場確認。
おばあちゃんが大勢でのお喋りや、友人たちと集まってわいわいするのが好きだということを鍵に、
これからも楽しく我が家で暮らせるよう想いを込めての制作となりました。
審査の過程で、施工前のご自宅を見ていますが、
本当に昔ながらの土間で、段差もあり、古びた木材がいかにも古民家という雰囲気でした。
▼展示では施工過程の記録も展示
▼実際の自宅に制作した棚や障子の骨組みを展示用にアレンジ。
いつもハイヒールを履いて、クールな雰囲気が印象的な彼女ですが、これまでにも家具などを制作していたそうです。
日頃の経験が活かされた、おばあちゃんへの愛を感じる卒業制作となったと言えます。
長年親しんだ我が家も、このように生まれ変わればさらに愛着が沸き、友人も誘って楽しい毎日になりそうですよね。
あまり親しくないご近所さんも、「素敵になったねえ」なんて、新しいコミュニケーションが生まれるきっかけにもなりそうです。
新型コロナウイルスが蔓延したことにより、お年寄りの方々の孤独死がさらに心配される中、
このような大掛かりなことはできずとも、何かをきっかけに解決の一つになれたりするかもしれませんね。
★「 OLD FORK HOUSE 」 こちら、「 FOLK 」が正しいそう。笑
最初は合っていたのに、 心配性の彼女は不安になったのかわざわざ修正。(仮設壁に直書きのため修正も容易じゃありませんでしたが、、)
少しおっちょこちょいな彼女ですが、クールで熱い集大成となりました。
/////////////////// お次はファッションコースの優秀賞 ///////
外に出ることを助ける服
ファッションデザインコース | 松崎 雛乃 (まつざき ひなの) |
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私は元々ひきこもりで、当時は外出時が一番不安でした。
誰もが身につけている服というツールで不安を軽減できたら。
私と、たくさんのひきこもり当事者さん、支援者さんとで作ったお洋服です。
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(図録掲載キャプションより引用)
昔、引きこもりを経験したという彼女。
当事者だからこそ分かる絶妙な苦労や、支えとなる癒しや存在。
3回生からこちらの ” ぬいぐるみと手を繋いで出かけられる ” お洋服の制作は始まっていました。
▼前ポケットの中でぬいぐるみと手がつなげる
(わかりやすいようにポケットの前生地を開いてあります)
「 引きこもり 」と聞くと、皆さんはどんなイメージがあるでしょうか?
いろんな人間がいるように、引きこもりと言えど、度合いやしんどさなどは様々で
彼女の作品は「外にでたいけれど勇気がでない」などの人を後押しするような作品になります。
アンケート調査によって、洋服の色や生地も選択し、彼女のいうようにたくさんの当事者さん支援者さんで完成した洋服です。
制作の過程ではラジオ出演やテレビ取材にも取り組んでいた彼女。
とても引きこもりだったとは思えないような印象でしたが、苦労を知っているからこその行動力なのかもしれません。
▼卒制では、ポケットの中だけでなく外にも動物のポイントが!
▼ワンピースタイプも
実際にこの洋服をお買い求めいただいた方もいて、気に入ってくださっているそう。
彼女の作品に対する想いも、背中を押す糧になるのではないでしょうか。
このように、今年度の優秀賞は対象者への想いを強く感じる作品たちとなりました。
空間演出デザイン学科では、自分のための制作でなく、誰かのため、何かのための制作がメインになります。
学んでいることは同じでも、
学生の生きてきたこれまでや、感じ方・見え方、重きをおいていることなどによって、
完成されてくる形態は本当に様々です。
学生なりに頭を悩ませ、対象者やもののため駆け抜けたこの4年間での学びを、これからの社会の光にしていってくれるといいです。
優秀賞、おめでとうございます。
___________ 次回は「奨励賞」作品のご紹介★ コース別に、2記事に分ける予定です!