基礎美術コース

持ち味は「自発的な遊び心」 書道の授業・テスト勉強の風景 【文芸表現 学科学生によるレポート】

違うジャンルを学んでいても、芸術大学でものづくりを楽しむ気持ちは同じ。このシリーズでは、美術工芸学科の授業に文芸表現学科の学生たちが潜入し、その魅力や「つくることのおもしろさ」に触れていきます。
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こんにちは、文芸表現学科2年生の下平さゆりです。
今回お邪魔した基礎美術コース2年生の書道の授業では、なんとテスト間近で勉強中!
いつも和やかな雰囲気のみなさんも、さすがに修羅場なのでは…?と突入した先では、予想外の時間の流れに出会いました。

 

 

●芸大生の「テスト勉強」の様子を覗いてみよう

 

書道の授業では、草書という崩し字を学んで、最終的に読めるようになることを目標としています。1年生のときに「かな」をマスターしたみなさんは、2年生となった現在は漢字を勉強中。

来週には読み書きのテストが控えているとのことで、もくもくと勉強しているのだろうな……と想像しながら教室を覗いてみると、そこにはじっと机に向かう真剣な姿が。学生らしいというか、芸大生にもこんな時間があったりするんだなあ、と少し意外でした。

 

 

 

●2000年も使われている『千字文』(せんじもん)が教科書

 

楽しげに手を動かしているイメージが多い基礎美術コースのみなさんが今回にらめっこしていたのが、このテキスト。

 

 

『千字文(せんじもん)』という、書のお手本。

その名の通り、1000字の漢字で作られた文が記された本で、これを使って草書で漢字を覚えていきます。

中国から伝わったというこの本、なんと2000年も使われていて、そのうえ寺子屋での読み書きの教科書だったという説も。そんな歴史を感じる教科書ですが、実はアプリにもなっているそうです。柔軟に時代に対応していますね……。学生のみなさんも、アプリで検索したりしながら、なかには実際に、半紙に筆で書いて覚えている方もいます。

 

●手で書き、知識を体になじませ吸収していく

 

みなさん迷わずサラサラと当たり前のように草書を書いていて、なんだか不思議です。

背筋を正してまっすぐ筆を滑らせていくその姿、だんだんと誰もかれもが師範に見えてきました。

 

見学していておもしろいのが、それぞれの「勉強」のしかた。

機械的に書いて覚える形式的な勉強ではなく、作品として一筆書いて自分のなかに落とし込んでいる。それは、いちばん自分になじみやすい知識の取り込み方のように思います。日々行っている「表現」がそのまま、勉強につながってしまっていた、というような自然さで物事を吸収していく力は、とてもかっこいい。

 

 

●未知なものを学ぶ中でも大切にするのは「どう遊べるのか」

 

そんな勉強のしかたを盗み見ていると、いろいろな作品に出会えました。

 

 

こちらは、学生の方がクイズも出してくれました。

Q.みなさんはこの5字、読めますか?

 

正解は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「前方後円墳」!!

もう一度、草書体をよく見てみてください。言われてみれば……そう読めるかも、と思いませんか?どれほど字が崩されていても、原型がなんとなく分かるような気がします。

 

 

「なんか良い感じだから」と語ってくれた学生の方の言葉のチョイスといい、文字の強弱のつけ方や払いのキレの良さがなんともいえない味わい深さを感じさせてくれます。

 

基礎美術コースに感じるこの「まじめな遊び心」。こうやって、未知のものを自分のものとして取り込んでいるのだなあと思いました。知らないことを消化して楽しむために、「知らない」でどう遊ぶか考えるのが抜群に上手なのかもしれません。

 

 

こちらでは、絵を描いている方も。

 

 

川をイメージして描いた絵に、草書体でオリジナルの漢詩を添えるのだそうです。

あくまで遊びとして自発的にやっているという、その意欲が素晴らしい!

基礎美術コースでは漢詩の授業も行われているのですが、そこで得た知識と結びつけて発展させているこの遊びには、まさに学んだことが活かされているのだなと思いました。

 

●自己を伸ばす「自由さ」は、ホワイトボードにも出ていて

 

学生全員が同じような勉強のしかたをするのではなく、それぞれが考えて好きに行動する。そうした授業進行からは、「誰もが自由に伸びていける、柔軟なものづくりの環境」があることを実感しました。

授業外にもその自由っぷりがイキイキと表れているのが、ホワイトボード。

 

 

こうした落書きも消さずにいてくれるという先生。

そんな先生も太鼓判を押す出来の、画像左下の先生方の似顔絵。あまりに似すぎているので、ぜひご本人との比較も撮りたかったものです。それにしても、ペンでここまで書けてしまう画力……さすがです。

 

 

●表現という飛躍の前にある「溜めの時間」

 

今回、テスト勉強中と聞き、ひとやすみの期間かなと考えていましたが、見当違いでした。表現をしたい人たちに、ひとやすみはありません。意識していなくても、さきほどの「前方後円墳」だったり漢詩とリンクした絵だったり、常に表現はなされています。

ひとやすみ、ではなく、表現という飛躍の前の溜めの時間。

日々積み重ねていくその時間こそが、みなさんの表現の根底になっている。

表現を学ぶなかで、そうした本質を見つけてハッとさせられる瞬間が得られる――基礎美術コースには、そんなかけがえのない瞬間が潜んでいました。

 

 

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取材記事の執筆者

文芸表現学科2年生

下平さゆり(しもだいら・さゆり)

湘南工科大学附属高校出身

 

1年生のときには、取材記事(前期)や小説・脚本(後期)のワークショップで記した原稿が、それぞれの演習を代表する作品として全学年参加で行われる合評会に選ばれた。

取材に関しては、知らない世界を通過することによってわかったことを「ぶちまけるようにして書く」性質がある。

物語に関しては、ドラマやゲームなどを通して声や演技によって具体的にかたちにされていくことも含めた、広い意味でのシナリオづくりに興味がある。コメディが好き。

 

 

●オープンキャンパスのご案内

基礎美術コースではこの夏に高校生に向けて、様々な体験をしていただけるイベントをご用意しています。

オンラインイベント対面イベントもありますので、みなさんそれぞれのご都合に合わせて参加してみてください。お待ちしております!

 

①ブース型 オープンキャンパス8月!

対面&オンライン

8/1(日)開催のブース型のオープンキャンパスです。9月の体験選抜型1期入試に向けて最後のブース型のオープンキャンパスとなります。高校3年生でまだコースを迷っている方はできるだけご参加ください。

基礎美術コースは「植物を使ってキラキラのカードを作ろう!」というワークショップです。このワークショップは基礎美術コースでも初めて行うワークショップなのでスタッフも楽しみにしているものです。ぜひ立ち寄って楽しんでください。

↓お申し込み・詳細はこちら↓

https://www.kyoto-art.ac.jp/opencampus/oc06-06_08-01/

 

 

②オンライン芸大Week 30分だけの日替わりWEB説明会 ー入試対策編ー

7/26(月)〜8/6(金)18:00~18:30 オンライン

おうちで30分気軽に説明会を見るだけで、各コースの入試対策になるイベントです。高校3年生、受験生はもちろん高校1,2年生にもおすすめです!

チャットでのご質問でその場で入試やコースに詳細についてもお答えする予定です。基礎美術コースの受験で迷っている方は必見です!!
基礎美術コースは8/5(木)に開催します。

↓お申し込み・詳細はこちら↓

https://hs-lp.kyoto-art.ac.jp/online/lp/online_geidai_202107

 

 

③体験入学型 オープンキャンパス 8月!

8月28日(土)・29日(日)開催。対面

基礎美術コースでは「あの名作に勝手に新しいタイトルをつけてみよう!」と題して、古い作品のリサーチの方法を学びます。

すでに申し込みが始まっています。7月の体験入学型のオープンキャンパスも基礎美術は多くの方が参加してくださいました。8月も楽しいプログラムになっていますのでぜひ参加してください。

↓お申し込み・詳細はこちら↓

https://www.kyoto-art.ac.jp/opencampus/oc07-04_08-28_29/

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