- 2021年10月20日
- 日常風景
【メディア表現演習Ⅱ】アートギャラリーの仕事って?
こんにちは。
クロステックデザインコースです。
今回は、白石先生・中山先生の「メディア表現演習Ⅱ」の授業にて、LEESAYA ディレクターの李 沙耶さんをゲスト講師としてお迎えしました。
LEESAYAとは、李さんが2019年10月に東京・下目黒に開廊したコマーシャルギャラリーです。
授業としてお話しされた日が、開廊してからちょうど2年目だったようです!おめでとうございます!
LEESAYAでは、同世代の様々なジャンルのクリエイターと共闘し、「唯一無二の価値を残していく」という若手作家を紹介しているギャラリーです。
李さんは本学の美術工芸学科を卒業された方で、在学時はどうだったかというと、ほとんど所属学部にはおらず、ウルトラファクトリーによく通っていたようです。
卒業前にギャラリーへインターンにいき、その後正社員として勤務し、2019年に独立。
今回は、「そもそもギャラリーってどんな仕事をしているのか?」「アート作品の価値づけ」などについてお話しいただきました。
聞いている学生も3年生が中心のため、つい先月、学生作品展を終えたばかりです。展示において、それぞれグループに分かれ役割をもち、担当していました。
そういった最近の経験は、今回のお話のなかでも関係してくるものがありました。
はじめに、「ギャラリーって何をしている仕事か」について。
・展示
・販売
・マネージメント
・企画、キュレーション
・制作補助
・予算管理
・編集
とても忙しいそうです。
また見て分かるように、業務内容は多岐にわたり、マルチタスクが必要となります。
前職に勤めていた時は、担当作家を数人同時並行でサポートしていたようです。ギャラリーで働くということはなかなかパワーがいる仕事ですね。
展示の際は、「記録を残す」ことも重要です。
このように毎回リーフレットを作成し、レビューを様々な専門家に依頼します。
その作品が客観的にどのように価値づけられていくか、この積み重ねが非常に重要です。
ここで、一人の作家についてご紹介。
こちらは髙橋 銑さんの「香油」を使用した作品。
支持体に対して、正方形に香油が塗ってあり、展示空間では匂いを感じることが出来ます。
またこの香油を塗っている箇所は時間が経つにつれ、黄変していきます。
匂いは徐々に無くなりますが、物質があった事実は残る、という作品です。
そして、こちらの何が作品として取り引きされていたかというと、「この香油を塗る権利」を作品として売っていました。
作家は指示書を作成し、購入者は自分がどのような支持体に香油を塗りたいかを決めます。作家はその支持体に一回限り塗るという工程をして、作品を提供するそうです。
こういったことも作品として扱われることがあるんですね!
こういったアート作品とは、いくらの値段がつけられ、どのような「価値」を持っているとされているのでしょうか。
アート作品の価値づけ(pricing)をするとは、「正解はない」と李さんは言います。
消費者が商品を買う場合、信用できる人・会社・団体などから、適正価格で買いたいという考えは当然だと思います。
アートも例外ではなく、信頼関係の上に成り立った取引を心がけているそうです。
そしてアートの「価値」とは、つくまでに時間がかかることもしばしば。
作家がコンセプトとしている内容は、時代が追い付いていないということもあり得るからです。
アート関連の仕事というと、「アーティスト」や「ギャラリー」と分かりやすいものしか存在しないのかというと、そうでもありません。
購入者も含め、アーティスト(作品)の周りには様々な役割を持った人が関わっています。
展示の企画を考えるキュレーター、展示空間を考える人、作品の撮影や展示について発信し広報する人、販売する人、作品制作を補助する人など、直接ではなくても間接的にでもアートに関わるマネージメントや職業をしている方はたくさんいます。
ギャラリーを運営していく中で、「みんなで仲間を作りながら、アートの価値を上げていく」ような感覚だと李さんは言います。
他にも作品を購入したあとの受け渡し方法って、どのように行なわれているか分からないですよね。
映像作品や写真作品が売れた際の、作品の受け渡し方法などについてもお話しいただきました。
在学時、就職活動中に「向いていることを仕事にしよう」と考え、マネージメントの道を探し始めた時に、ギャラリーとの出会いがありました。
「アートに関わることがしたい」と口にしたことで、ギャラリーのインターンを紹介されたようです。
「ビジョンはないにしても、“やりたいこと”は口に出すことが大事。」と李さん。
やりたいことを口に出していないと、なかなか気付いてもらうことは難しいのです。
そうした話から白石先生も、「言い続けていくことで人に“思い出してもらえる”確率が上がる。」というお話にもなりました。
なにか仕事を別の人にお願いしたい時に、そういえばあの人こんなこと言っていたなと“思い出してもらえる”人は、様々なチャンスを手にすることができると言います。
そうしたことが当時大した事でなかったとしても、それが自身のターニングポイントだったと後に気付くこともあります。
最後に、李さんから学生へ質問。
今の学生がどんなことを考えているか、聞いてみました。
白石先生が事前に用意していた「miro」を使って、学生はそれぞれの質問に答えていきました。
学生の生の声が聞こえてきますね。
今回授業では、なかなか聞くことができないアートギャラリーについて貴重なお話を聞くことができたのではないでしょうか。
クロステックデザインコースでは様々なアイディアを元に、たくさんのプロジェクトや製品、サービスを考えていきます。
そういった際に、「これはどれくらいの価値がつくのか?」という壁にいずれ直面します。
アート作品は、基本的に世界に一つしかありません。その「価値」とは0にも100にもなる可能性を秘めています。
学生が作り出そうとしているサービスや製品も近いものがあるでしょう。
ギャラリーが作品を「売る」ということは、その作品の「価値」を残していくこと、と李さんのお話にありました。
その「価値」も時代とともに変化していきます。
学生たちは常にアンテナを張り、時代を読む力も必要だということを、今回学ぶ時間となりました。
李さん、ありがとうございました!
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クロステックデザインコース 在学生へのインタビュー
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