- 2025年6月27日
- ニュース
合同授業学外展示の公開講評会に参加したクロステックデザインコース学生にインタビュー!
こんにちは、クロステックデザインコースです!
少し前になりますが、3/25(火)〜4/5(土)にプロダクトデザインコース/クロステックデザインコースの2コース合同授業学外展示が開催されました。展示と公開講評会を終えた学生にインタビューを行いました!
プロダクトデザインコース/クロステックデザインコースの2コース合同授業「アドバンスドデザインⅡC / 領域横断演習Ⅱ」では、小説家・平野啓一郎さんが提唱する「分人主義」という概念をもとに、カルチュラルプローブスという調査技法を利用して「ちょっと未来の分人的生活を道具・場・出来事・仕組みを用いて肯定(否定)してみる」という課題にチームで取り組みました。
その成果を学外のFabCafe Kyotoにて展示・発表し、来場した企業関係者や教育関係者などさまざまな方からアドバイスやコメントをいただけた機会となりました。
授業の内容や成果物は過去のブログで紹介しているため、ぜひご覧ください!
今回は講評会で発表を行った学生の瀬永さんと建木さんにインタビューを行いました!難しいテーマにどう向き合い、どのようなアイデアが生まれたのか、そして今後の発展について、詳しくお話を伺います。
「分人主義」を利用して課題に取り組む
まず、「ちょっと未来の分人的生活を道具・場・出来事・仕組みを用いて肯定(否定)してみる」という課題を進めるための補助の考え方として提示された「分人主義」について教えてもらいたいです!
分人主義を説明した動画を視聴しましたが、一度聞いただけで理解するには少し難しい概念でした…。
近年、SNSのアカウントを複数持っていたり、ネット上の自分と現実の自分というように、たくさんの「自分」がいますよね。個人主義だと、中心に「本当の自分」がひとりいて、ほかは状況に合わせて演じている「偽りの自分」と捉えがちです。でも分人主義では、そのどれもが「本当の自分」だと考えます。
バイト先での物静かな自分も、友人といるときのおしゃべりな自分も、それぞれが独立した「分人」であり、その集合体が自分自身である、という考え方です!
コロナ禍を経て、遠くにいてもオンラインで授業を受けることができたり、働くことができるスタイルが増えましたよね。「存在」のあり方も多様になったいまの時代と分人主義は相性がいいのではないかということで、関係性について考察するカルチュラルプローブスを提案するという課題が実施されました。
そうなんです!それに「好きな分人」という感覚もあるそうです。例えば、「建木さんと話しているときの自分は好きだな」というように、特定の相手といることで生まれる心地よい自分がいることを認識したりとか。
平野さんが執筆した『本心』という小説も参考になりました。2040年代を舞台に、亡き母の情報を学習したそのVF(ヴァーチャル・フィギュア)と対話することで「自由死」を望んだ母の、本心を探ろうとする物語で、分人主義の考え方が反映されています。
授業成果の発表
まず、2人1組になります。お互いのLINEのトーク履歴をシステムに読み込ませると、客観的な分析データが出力されます。そのデータを見ながら、「あなたって、こういうところがあるよね」と対話し、相手の印象を専用のカードに書き込んでいくんです。
会話に困ったときのために、相手への理解を深めるための「質問カード」も用意しました。最終的に、書き込まれたテキストと、AIが生成したビジュアルが組み合わさったオリジナルの「分人カード」が完成します。このカードを通して、他者から見た自分という新たな「分人」に出会うことができるんです。
私たちのチームは「怒り」の感情に着目しました。怒りを「分人」の視点で分析し、怒りの原因や発散方法、また、怒った後に自分を鎮める場所を発見する「心のハザードマップ」を提案しました。日常で感じる怒りを記録し、どこで怒り、どこでその感情が収まったのかを可視化することで、自分だけの「心の避難場所」を見つけることができるんです。
来場者や企業の方々からのフィードバック
私たちのカードゲームに対して、IT企業のオプテージさんから「これを名刺代わりに社内で使ってみたい」という提案をいただきました!1ヶ月に1回カードを更新する仕組みにすれば、相手に良い印象のカードを書いてもらうために、普段の言葉遣いが丁寧になるかもしれない、といった行動変容に繋がるかもというコメントもいただき、とても参考になりました。
私たちの「心のハザードマップ」には、風間先生より「空間デザイン的な視点で、家の中のどこで怒りが生まれ、どこで収まるのかを詳しく分析すると、より良い住空間の設計に繋がるかもしれない」という提案をいただきました。
今後の展開
やはり、オプテージさんから提案いただいた会社の名刺として利用するアイデアは、ぜひ実現に向けて進めたいです。また、チームメンバーのひとりが分人主義をテーマに卒業制作を行う予定なので、何らかの形でこのプロジェクトも進展していけば嬉しいです。
私たちのチームも、プロジェクトを継続したいとメンバーと話しています。今後はフィールドを広げ、怒りの原因など、より深い情報を集めたいです。今はアナログの紙マップとスタンプで記録していますが、GPSと連携したアプリケーションにすれば、移動履歴と感情を結びつけて記録できるかもしれません。授業内では技術的に難しかった部分も、企業と連携できれば実現の可能性が広がると思っています。また、多くの人に私たちの作ったカルチュラルプローブを体験してもらうために、Fabcafe KyotoでのWSを企画しています!
合同授業の感想
最終的なアウトプットの見た目を整える場面で、プロダクトデザインコースのメンバーの製品として仕上げるスキルに驚きました。
私は印刷時に切り落とししなくて済むようにとカードのデザインを白地にしていたのですが、メンバーのひとりが「分人カードは黒のイメージがあるからデザインさせてほしい」と、全体の雰囲気やロゴを含めて一気に洗練させてくれました。これはまさにプロダクトデザインの力だと感じましたね。
難しいテーマへの挑戦から始まり、学外での発表、そして企業を巻き込んでの展望を目標としており、素晴らしいですね!
今後の皆さんの活躍を心から応援しています!また、今後も活動の様子を追って行きたいと思います。本日はありがとうございました!
さいごまでお読みいただきありがとうございました!
発表の具体的な内容については、公開講評会のアーカイブ動画がございます。
学生のみなさんが成果物について詳しく説明をしていますので、ぜひご視聴ください✨
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7/27(日)に総合型選抜(探究プロセス型)対策講座「探究ワークショッププログラム」が開催されます!ぜひご参加ください🌼
※今年度受験生対象
- ※高校1,2年生・留学生は受講不可
プロダクトデザイン学科(プロダクトデザイン/クロステックデザインコース)
【ねらい】
このプログラムでは、プロダクトデザイン学科2コースの学びと社会とのつながりを、実際の事例を通して感じてもらいます。普段何気なく見ている自分の身の回りのモノやコト、場所や課題に着目して、新しいアイデアを考えるきっかけを作り、人や社会を幸せにする未来のデザイナーとしての実践の一歩を踏み出してください。
【内容・当日の流れ】
前半2コマで、デザインが社会に果たす役割やプロダクトデザインの基礎知識を学びます。これまでの世の中が求めてきた価値観を知り、「プロダクト」や「デザイン」がどのように暮らしを変えてきたかをインプットします。
後半2コマでは、自分の暮らしや今の社会環境を観察し、気になることや課題を探ります。その過程で、オリジナルの探究テーマを設定し、最後にワークシートを完成させ、自身の実践への道筋を明らかにします。
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クロステックデザインコース 在学生へのインタビュー
京都芸術大学クロステックデザインコース公式ページに、授業内容の詳細を掲載中!
ぜひそちらも覗いてみてくださいね!
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