クロステックデザインコース

合同授業学外展示の公開講評会に参加したクロステックデザインコース学生にインタビュー!

こんにちは、クロステックデザインコースです!

少し前になりますが、3/25(火)〜4/5(土)にプロダクトデザインコース/クロステックデザインコースの2コース合同授業学外展示が開催されました。展示と公開講評会を終えた学生にインタビューを行いました!

 

 

プロダクトデザインコース/クロステックデザインコースの2コース合同授業「アドバンスドデザインⅡC / 領域横断演習Ⅱ」では、小説家・平野啓一郎さんが提唱する「分人主義」という概念をもとに、カルチュラルプローブスという調査技法を利用して「ちょっと未来の分人的生活を道具・場・出来事・仕組みを用いて肯定(否定)してみる」という課題にチームで取り組みました。

 

 

 

その成果を学外のFabCafe Kyotoにて展示・発表し、来場した企業関係者や教育関係者などさまざまな方からアドバイスやコメントをいただけた機会となりました。

授業の内容や成果物は過去のブログで紹介しているため、ぜひご覧ください!

『2コース合同授業学外展示と公開講評会が行われました!』

 

今回は講評会で発表を行った学生の瀬永さんと建木さんにインタビューを行いました!難しいテーマにどう向き合い、どのようなアイデアが生まれたのか、そして今後の発展について、詳しくお話を伺います。

 

 

「分人主義」を利用して課題に取り組む

 

 


研究室副手

まず、「ちょっと未来の分人的生活を道具・場・出来事・仕組みを用いて肯定(否定)してみる」という課題を進めるための補助の考え方として提示された「分人主義」について教えてもらいたいです!

 

分人主義を説明した動画を視聴しましたが、一度聞いただけで理解するには少し難しい概念でした…。

建木さん

そうですね、「分人主義」は「個人主義」とは対になる考え方として定義されています。

瀬永さん

近年、SNSのアカウントを複数持っていたり、ネット上の自分と現実の自分というように、たくさんの「自分」がいますよね。個人主義だと、中心に「本当の自分」がひとりいて、ほかは状況に合わせて演じている「偽りの自分」と捉えがちです。でも分人主義では、そのどれもが「本当の自分」だと考えます。

 

バイト先での物静かな自分も、友人といるときのおしゃべりな自分も、それぞれが独立した「分人」であり、その集合体が自分自身である、という考え方です!

 

コロナ禍を経て、遠くにいてもオンラインで授業を受けることができたり、働くことができるスタイルが増えましたよね。「存在」のあり方も多様になったいまの時代と分人主義は相性がいいのではないかということで、関係性について考察するカルチュラルプローブスを提案するという課題が実施されました。


研究室副手

なるほど、「本当の自分はこうなのに!」というギャップに苦しむのではなく、場面ごとに違う自分がいることを受け入れるような感覚なんですね。

瀬永さん

そうなんです!それに「好きな分人」という感覚もあるそうです。例えば、「建木さんと話しているときの自分は好きだな」というように、特定の相手といることで生まれる心地よい自分がいることを認識したりとか。


研究室副手

自分のなかの好き・嫌いな一面があるというのは普段生活してても感じることがありそうですね!ふたりは分人主義を深く理解できたと感じますか?

瀬永さん

うーん。分人主義を体感しましたか?って言われるとちょっと怪しいですね。そういう考え方なのかなとフワッとした掴みではあります。

建木さん

提唱者である平野啓一郎さんの本を読んだメンバーは、すごく納得していましたね。

瀬永さん

平野さんが執筆した『本心』という小説も参考になりました。2040年代を舞台に、亡き母の情報を学習したそのVF(ヴァーチャル・フィギュア)と対話することで「自由死」を望んだ母の、本心を探ろうとする物語で、分人主義の考え方が反映されています。

授業成果の発表

 

 


研究室副手

分人主義についてなんとなく掴めたところで、その考え方を利用してふたりのチームはどのような成果を発表したのでしょうか?

建木さん

私たちのチームは、LINEのトーク履歴をテキストマイニングで分析し、相手によって変わる言葉遣いや話題を調査し、結果を元にペアで互いの「分人」を表すカードゲームを提案しました。

 

 


研究室副手

自分の分人を表現するカードが作れるんですか!分人主義を理解する導入にぴったりですね。どのように行うのですか?

建木さん

まず、2人1組になります。お互いのLINEのトーク履歴をシステムに読み込ませると、客観的な分析データが出力されます。そのデータを見ながら、「あなたって、こういうところがあるよね」と対話し、相手の印象を専用のカードに書き込んでいくんです。

 

会話に困ったときのために、相手への理解を深めるための「質問カード」も用意しました。最終的に、書き込まれたテキストと、AIが生成したビジュアルが組み合わさったオリジナルの「分人カード」が完成します。このカードを通して、他者から見た自分という新たな「分人」に出会うことができるんです。


研究室副手

ペアを組む相手によって内容が全く変わりそうですね!相性が良くないかもと感じている相手と行うと、結果になにか大きな変化がありそうで少し怖い気がしますね…(笑)瀬永さんのチームはいかがでしたか?

瀬永さん

私たちのチームは「怒り」の感情に着目しました。怒りを「分人」の視点で分析し、怒りの原因や発散方法、また、怒った後に自分を鎮める場所を発見する「心のハザードマップ」を提案しました。日常で感じる怒りを記録し、どこで怒り、どこでその感情が収まったのかを可視化することで、自分だけの「心の避難場所」を見つけることができるんです。

 

 

 

建木さん

瀬永さんのチームは心の避難”場所”以外に、避難”行動”も考えていたりしてとても興味深かったです!

来場者や企業の方々からのフィードバック

 

 

研究室副手

どちらも自己理解が深まりそうで体験してみたくなる内容ですね!来場者や企業の方々からは、なにかフィードバックがありましたか?

 

建木さん

私たちのカードゲームに対して、IT企業のオプテージさんから「これを名刺代わりに社内で使ってみたい」という提案をいただきました!1ヶ月に1回カードを更新する仕組みにすれば、相手に良い印象のカードを書いてもらうために、普段の言葉遣いが丁寧になるかもしれない、といった行動変容に繋がるかもというコメントもいただき、とても参考になりました。

瀬永さん

私たちの「心のハザードマップ」には、風間先生より「空間デザイン的な視点で、家の中のどこで怒りが生まれ、どこで収まるのかを詳しく分析すると、より良い住空間の設計に繋がるかもしれない」という提案をいただきました。

建木さん

他にも、「街のハザードマップのように、街の中で多くの人が怒りを感じる場所を可視化しても面白い」というアイデアも出ていたね。

瀬永さん

また、「今は1日1回の記録だが、一人の人に繰り返し使ってもらうことで、怒りが頻発する場所など、より精度の高いデータが取れるのでは」というアドバイスもいただきました。

今後の展開

 


研究室副手

社内や学校で活用してみたいという実践的な声は嬉しいですね!授業は終了していますが、今後このプロジェクトをどのように発展させたいですか?

建木さん

やはり、オプテージさんから提案いただいた会社の名刺として利用するアイデアは、ぜひ実現に向けて進めたいです。また、チームメンバーのひとりが分人主義をテーマに卒業制作を行う予定なので、何らかの形でこのプロジェクトも進展していけば嬉しいです。

瀬永さん

私たちのチームも、プロジェクトを継続したいとメンバーと話しています。今後はフィールドを広げ、怒りの原因など、より深い情報を集めたいです。今はアナログの紙マップとスタンプで記録していますが、GPSと連携したアプリケーションにすれば、移動履歴と感情を結びつけて記録できるかもしれません。授業内では技術的に難しかった部分も、企業と連携できれば実現の可能性が広がると思っています。また、多くの人に私たちの作ったカルチュラルプローブを体験してもらうために、Fabcafe KyotoでのWSを企画しています!

合同授業の感想

 


研究室副手

最後に、プロダクトデザイン/クロステックデザインの2コース合同授業について、他コースの学生とチーム作業をしてみていかがでしたか?

建木さん

最終的なアウトプットの見た目を整える場面で、プロダクトデザインコースのメンバーの製品として仕上げるスキルに驚きました。

 

私は印刷時に切り落とししなくて済むようにとカードのデザインを白地にしていたのですが、メンバーのひとりが「分人カードは黒のイメージがあるからデザインさせてほしい」と、全体の雰囲気やロゴを含めて一気に洗練させてくれました。これはまさにプロダクトデザインの力だと感じましたね。

瀬永さん

異なる専門性を持つ学生が協力することで、生まれる相乗効果はたくさんあると実感しました。


研究室副手

難しいテーマへの挑戦から始まり、学外での発表、そして企業を巻き込んでの展望を目標としており、素晴らしいですね!

 

今後の皆さんの活躍を心から応援しています!また、今後も活動の様子を追って行きたいと思います。本日はありがとうございました!

 

さいごまでお読みいただきありがとうございました!

発表の具体的な内容については、公開講評会のアーカイブ動画がございます。

学生のみなさんが成果物について詳しく説明をしていますので、ぜひご視聴ください✨

 

 

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※今年度受験生対象

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プロダクトデザイン学科(プロダクトデザイン/クロステックデザインコース)

【ねらい】

このプログラムでは、プロダクトデザイン学科2コースの学びと社会とのつながりを、実際の事例を通して感じてもらいます。普段何気なく見ている自分の身の回りのモノやコト、場所や課題に着目して、新しいアイデアを考えるきっかけを作り、人や社会を幸せにする未来のデザイナーとしての実践の一歩を踏み出してください。

【内容・当日の流れ】

前半2コマで、デザインが社会に果たす役割やプロダクトデザインの基礎知識を学びます。これまでの世の中が求めてきた価値観を知り、「プロダクト」や「デザイン」がどのように暮らしを変えてきたかをインプットします。
後半2コマでは、自分の暮らしや今の社会環境を観察し、気になることや課題を探ります。その過程で、オリジナルの探究テーマを設定し、最後にワークシートを完成させ、自身の実践への道筋を明らかにします。

 

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クロステックデザインコースの最新カリキュラムや進路について紹介|先生によるコース紹介動画2023

クロステックデザインコース 在学生へのインタビュー

 


京都芸術大学クロステックデザインコース公式ページに、授業内容の詳細を掲載中!

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