- 2022年5月13日
- 日常風景
何枚も描き集中する時間を重ね、みつける デッサンと写生の違いから日本画を考えよう【文芸表現 学科学生によるレポート】
違うジャンルを学んでいても、芸術大学でものづくりを楽しむ気持ちは同じ。このシリーズでは、美術工芸学科の授業に文芸表現学科の学生たちが潜入し、その魅力や「つくることのおもしろさ」に触れていきます。
文芸表現学科・3年生の出射優希です。今回は、日本画コースの2、3年生が人物を描く様子を見せていただきました。デッサンの経験が少ない学生も、たくさん描いてきた学生も、それぞれが授業で出された問いに、改めて向き合って描くことで、たくさんの発見があるようです。
西洋的な「デッサン」と日本における「写生」の違いを考える
今回まず初めに見せていただいたのは、日本画コース2年生の授業です。
人物を描きながら、西洋画のなかでの「デッサン」、日本画のなかでの「写生」はどのような違いがあるのかを考えるというもの。
最終的に、デッサンと写生を一枚ずつ提出するという課題が設定されています。
1、2年生では基礎を作っていくことが中心になるので、デッサンや写生はもちろん、クロッキー、技法や画材の基本など、入学してからじっくりと基礎を蓄えていく時間が設けられているそうです。
まずは学生がモデルをする5分クロッキーで、体の構造をとらえる練習を行います。体育でいう準備運動のようなものでしょうか。
短時間だからこそより集中して、細部の描き込みよりも大きく「形」を描き出すことに専念できそうですね。
実際に自分がモデルをすることも、体重のかかり方などを理解するための勉強になるのだとか。
クロッキー帳に向かう横顔は、すでに真剣です。
プロのモデルさんをお呼びする、2年ぶりの授業
この授業では、プロのモデルさんをお呼びするのが特徴です。コロナ禍もあり、2年ぶりの実施なのだそうです。
20分1セットを、休憩も挟みながら数回繰り返します。
人物を描くとき、服の下にある体はどんな構造になっているのかを意識して描くため、ヌード(裸)、セミヌード(薄い衣服を着用)、コスチューム(普段と同様の衣服を着用)の順で課題に取り組みます。
今回はセミヌードの女性を描く授業でした。
自問自答しながら手で考えていく
使う画材は人それぞれ違っています。
デッサンは鉛筆か木炭、写生では鉛筆でも水彩絵具でも自由です。
例えば、面で人物の形を捉える練習が行いたい人は木炭を使い、色彩の練習がしたい人は絵の具や色鉛筆を使っていました。
実際に学生さんにお話を聞くと、デッサンでは「構図の狙いやどこを見せたいかを伝えるように」、写生は「その人物はどんな感情でそこにいるのかを考えながら描いている」とお話ししてくださいました。
とはいえ、写生を描きながら「これはデッサンと何が違うのかな」と迷うこともあるのだとか。
この課題に取り組んだことで、自分はどんなモチーフを描きたいのか考えるきっかけにもなったのだそうです。
何よりも大切なのは、迷いながらも描き進めること、実際に手を使って考えてみることなのかもしれません。
卒業制作に向けて3年生で一度基礎をかき混ぜる
別の教室で行っていた、3年生の「モノタイプ」を用いた授業も見せていただきました。
モノタイプとは一度だけ刷ることのできる版画です。
日本画コースの授業でこうしてさまざまな画材に触れるのは、1、2年生で作った基礎を3年生でかき混ぜることで、自分なりの表現方法を見つけていくためなのだそうです。
他のコースとも距離が近いことで、さまざまな画材技法が混ざっていくのは美術工芸学科の特徴なのかもしれません。
自分の絵を地道に見つけていく時間のうれしさ
2年生の授業を担当されていた出口先生は、「デッサンには王道もないし近道もない」だからこそ考えながら何枚も描いていくしかないのだ、とおっしゃっていました。
何度も紙から視線を離し、目の前に存在しているモデルの方をよく観察をして、紙のなかで人物に触れるように描いてた学生の皆さん。
写真を見ながら、「写真のように正確な絵を描く」だけではない、それぞれの絵やモチーフとあらためて向き合う時間、距離を探る時間は、ほんとうに贅沢に感じます。
休憩時間に、それぞれの描いた絵について話している姿を見て、他者と芸術を学ぶ場所と時間があるうれしさを、感じることができました。
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