日本画コース

色を考え抜く、化学実験のような授業?  絵は「素材の質感」からも深まるもの 【文芸表現 学科学生によるレポート】

違うジャンルを学んでいても、芸術大学でものづくりを楽しむ気持ちは同じ。このシリーズでは、美術工芸学科の授業に文芸表現学科の学生たちが潜入し、その魅力や「つくることのおもしろさ」に触れていきます。

 

文芸表現学科2年生の下平さゆりです。
今回お邪魔したのは、主に日本画コースのみなさんが使用している「技法・材料研究室」。
美術室と理科の実験室のどちらの機能も備えた感じの教室からは、創作に対する熱量と可能性が感じられました。

 

表現するための道具を、素材から考える授業がある?

 

創作をする人には、自分の表現を形にするための道具が要ります。

たとえば文芸表現学科なら、それは紙とペンかもしれません。

 

では、美術工芸学科では? 日本画コースでは?

彼らの「相棒」ともいえる道具といえば……画材。

その中でも今回は、絵の具と、その素材について、美術家で色彩研究家でもあり、「マテリアルリサーチ」という授業を担当されている日本画コースの岩泉慧先生に、お話をうかがいました。

 

↑モノがたくさん溢れていて、人が「ものづくり」をしている感じがにじみ出ている、工房のような教室。わくわくしてきます。

↑色を、紙などにくっつけるための素材の数々。料理番組のように、混ぜるための材料があらかじめ用意されているのも、おもしろいです。

 

 

色をつくる素材を「料理」や「ゲーム」のようにとらえる

 

絵の具は、顔料とメディウムとを混ぜる、その組み合わせによって、さまざまな色として成り立ちます。メディウムには、卵白や食用油など、生活の中の素材が転用されているのだとか。

 

 

「素材はそれ単体としての強さもあるけれど、組み合わされることで強さを発揮する。料理だったり、ゲームと一緒です」

 

絵の具やその素材を知ることは感触を知ること、表現の幅を知ること。

筆致の違いや、素材そのものの色や性質など、アナログ……生の質感を知っている人には、多様な可能性が開かれていて、どこでも、その場に応じた勝負ができる。自分の表現をより豊かにできるのかもしれません。

 

 

↑水性か半油性か油性かなどで、作品の風合いは変わっていく。そのことを、知識としても教えてくれる授業です。

 

作品に応じて、素材について相談できる、実験室のような場が大学にあるということ

 

しかし、絵の具って、難しそうな世界だ。

全然わからないぞ…と思っていると、実は、岩泉先生にも「わけがわからないからこそ、調べて調べて、詳しくなった」学生時代があるそう。

 

「かつては、感覚や口伝でやりとりされてつくられる世界だった」という絵の具やその素材について、文献からの学びや経験を重ねる。

そして、今は学生たちに伝える立場となったのが、岩泉先生なのです。

 

そんな先生だからこそ、美術工芸学科の「マテリアルリサーチ」(学科内のさまざまなコースの授業内容を体験していく授業のうちのひとつ。油画や総合造形など、日本画以外の美術に携わる学生たちも、岩泉先生から素材について学べるのです)に対する姿勢には、とくに熱量を感じました。

 

授業「マテリアルリサーチ」の成果を学生ひとりひとりがまとめたものに、「マテリアルブック」というものがあります。

これは、ただの課題・成果物としてだけでなく、今後、学生を助けるもののひとつにもなり得る、と語ってくれました。

 

「こういうことがしたい」と学生が自身の制作について相談するきっかけになるわけです。

 

学生と先生とをつなぐものとして存在するマテリアルブックはもちろん、技法・材料研究室は、学生がやりたいことの相談だったり、発展のためのものなのです。

 

 

 

「描きたいもので描けばいい。おさえるべき点をおさえておけば、素材に「こうしなきゃ」はないです。自分たちでカスタマイズすること。工夫したら、なんでもできます」

 

↑右のボウルに乗せられている素材は、他学科から出た、本来ならば使わず捨てられていくもの。それを砕いて、色として使っていきます。

↑他学科から出たモノを粉にしたあと、メディウム(糊としてくっつける素材)を変えて混ぜれば、右の例も左の例も、色として、かなりちがうものになっていきます。

 

道具を考え抜く素材室でおこなわれることは、論理と自由を共存させた錬金術のようでもあって

 

絵の具をつくるために用いる素材のことや、その組み合わせ、そこから生まれた絵の具で描かれる作品のことを聞いていると、現代に残る錬金術なのかもしれない、と思わされます。

論理的に組み合わされた素材から生まれた色で、かなり多様な表現をつくり出すことができる。

 

創作をする人の相棒である道具には、今回ご紹介いただいた絵の具やその素材の世界のように、論理と自由が共存して、どんなものでも生み出せる深さがあるのかもしれません。

 

道具のことをよく知ると、道具はわたしたちをどこにでも連れていってくれる可能性があり、そこからどんな作品だって生み出せる自由さを教えてくれる存在なのだとわかります。

 

技法・材料研究室は、そうした可能性を広げていく場として、いつでも開かれているのだと思います。

 

 

 

 

▶岩泉 慧先生(美術家、色彩研究家|日本画コース  専任講師)

https://www.kyoto-art.ac.jp/info/teacher/detail.php?memberId=10453

 

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取材記事の執筆者

文芸表現学科2年生

下平さゆり(しもだいら・さゆり)

湘南工科大学附属高校出身

 

1年生のときには、取材記事(前期)や小説・脚本(後期)のワークショップで記した原稿が、それぞれの演習を代表する作品として全学年参加で行われる合評会に選ばれた。

取材に関しては、知らない世界を通過することによってわかったことを「ぶちまけるようにして書く」性質がある。

物語に関しては、ドラマやゲームなどを通して声や演技によって具体的にかたちにされていくことも含めた、広い意味でのシナリオづくりに興味がある。コメディが好き。

 

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