日本画コース

日本画の基礎を学ぶ 1年生・膠(にかわ)の授業【文芸表現 学科学生によるレポート】

違うジャンルを学んでいても、芸術大学でものづくりを楽しむ気持ちは同じ。このシリーズでは、美術工芸学科の授業に文芸表現学科の学生たちが潜入し、その魅力や「つくることのおもしろさ」に触れていきます。

 

文芸表現学科3年生の下平さゆりです。

新年度がはじまって1か月、ものや人との出会いに新鮮さを感じながら、あたらしい生活環境にも慣れてくる時期ですね。潜入した日本画コース1年生の授業からも、なにか「はじまり」を感じました。

 


 

 

日本画コース1年生の、日本画の基礎を学ぶ授業「日本画基礎Ⅰ」。

今回お邪魔したのは、岩泉慧先生による「膠(にかわ)」の講義でした。

 

 

画材には大学に入ってはじめて触れるものも多く、膠もそのうちのひとつだといいます。

膠とは、動物などの骨や皮を煮出した際に抽出される、コラーゲン性のタンパク質。接着剤の一種で、画面と絵の具をくっつけるために使われます。授業ではスライドを使って、丁寧に説明がおこなわれていました。

 

 

膠を使うことで活きる、素材の持ち味や質感からは、作品にさらなるオリジナリティを出せるのだそう。

そうした知識を入れていくことも表現のうち。少しずつ自分の表現の血肉にしていくんだなと思いました。

 

いろいろなコースの授業に潜入するたび思うのですが、ほんとうにコースによって学生の雰囲気も、教室の雰囲気もちがいます。今回も、普段から絵を描いたりすることに触れていないわたしには、教室内の見慣れない机の配置や、道具に目を奪われてばかりでした。

知らないことに触れられる機会は、純粋に楽しい――それは授業を受ける1年生の様子を見ていても思います。

 

 

この場には、なにかが新しくはじまろうとしている、エンジンをふかしているような空気感がありました。

 

 

 

実演も交えながら、いよいよ実践的な膠の使い方の説明がはじまります。

↑膠は水などと一緒に溶かして煮詰めていきます。その過程は手間もかかり、きっと見ているよりはるかに扱いが難しいのだろうと想像します…。

 

 

膠は、慣れないうちは使いこなすのが難しいといいます。チューブ絵の具を使えばいい…たしかにそんな方法もありますが、それでも膠を使うのは、膠でしか表現できないものがあるから。

 

そんな膠や、これから出会っていくであろう画材との付き合い方について、

「最初は思い通りいかないけど、まず1年付き合ってみる」

と、岩泉先生は言います。

膠も、それ以外の画材でも、実際に使ってみてその特性や感触を知り、自身の表現の引き出しを増やすこと。この引き出しは学生のうちに増やすべきで、大学を出たらなにかを教えてもらうことも、実験をする時間もない、と先生がお話されていたのが印象的でした。

 

 

失敗も成功も、なにもかも一緒くたに味わってみる。

うまくいかなさを乗り越えて得られるものもきっと多く、失敗がなければ見つけられなかった表現の仕方もあるのだと思います。

苦いこともたのしみながら、少しずつ表現の幅を増やしていく。この授業は、入学してきたばかりの1年生にとって、そんな4年間の最初の一歩目なのだな、と感じました。

 

 

取材記事の執筆者

文芸表現学科3年生

下平さゆり(しもだいら・さゆり)

湘南工科大学附属高校出身

 

1年生のときには、取材記事(前期)や小説・脚本(後期)のワークショップで記した原稿が、それぞれの演習を代表する作品として全学年参加で行われる合評会に選ばれた。

取材に関しては、知らない世界を通過することによってわかったことを「ぶちまけるようにして書く」性質がある。

物語に関しては、ドラマやゲームなどを通して声や演技によって具体的にかたちにされていくことも含めた、広い意味でのシナリオづくりに興味がある。コメディが好き。

 

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