- 2022年6月7日
- イベント
どう生きたいかを生きる 美工教員展に寄せた、染テキ・河野愛さんの「声」【文芸表現 学科学生によるレポート】
違うジャンルを学んでいても、芸術大学でものづくりを楽しむ気持ちは同じ。このシリーズでは、美術工芸学科の授業に文芸表現学科の学生たちが潜入し、その魅力や「つくることのおもしろさ」に触れていきます。
文芸表現学科・3年生の出射優希です。
GWもいつの間にか終わり、気がつけば6月。1年も半分が終わろうとしていますね……。少しずつ暑くなるなか、大学全体がひとつの大きな船になったように、少しずつ速度をあげて活動が行われているのを感じてます。
今回は、そのなかでも特に重要な展覧会『逸脱する声』についてです。
(なお、美工教員展にまつわる一連のレポートでは、一人ずつの教員のみなさんの「つくる人」としての姿をおもに捉えたいので、あえて「〇〇さん」と伝えさせてもらっています)
美術工芸学科専任教員展、ギャルリ・オーブにて開催
京都芸術大学・美術工芸学科の専任教員による展覧会『逸脱する声』が、人間館1Fギャルリ・オーブにて開催されます。
会期は2022年6月9日(木)〜16日(金)、22日(水)〜28日(火)。
学科長である竹内万里子先生キュレーション(企画・構成)のもと、22名の「作家」が集う、大規模な展覧会です。
学生である私たちはどうしても、「先生」として日々芸術を伝える人の姿を見ています。
ですが今回の展覧会は、特に「作家」としての教員の在り方を、それぞれの作品を通して示していくという試みです。
大学史に残るような、貴重な展覧会になるのではないでしょうか。
「声」が描く、芸術へ向き合う姿
この記事から数回にわたり、参加作家のみなさんの「声」の一部をご紹介していきます。
文芸表現学科に所属する学生が、一人ずつにインタビューを行いました。
展覧会に寄せて語っていただいた「声」は、会場内「言葉の森」にてご覧いただくことができます。
「声」そのものが鉛筆であるかのように、それぞれの視点で見る過去や現在、そして芸術へのひたむきな姿勢が、語りによって描き出されています。
今回ご紹介するのは、参加作家のお一人である、染織テキスタイルコース・河野愛さんの「声」です。
ものごとをじっと見つめる、社会のなかで生きる自分を考える
河野さんは、染織というジャンルに制作のルーツを持ちながら、現在はインスタレーション作家として活動されています。
布に限らず、陶器やガラス、写真などを用いた作品を制作されてきた河野さんですが、今回の展覧会には、乳児と真珠のシリーズ《こともの foreign object》より、「呼吸をするライトボックス」が展示される予定です。
暮らしも、何もかもが、全部制作につながっているように思うんです”
コロナ禍での育児を経験し考えたことについては、以前に滋賀県立美術館で作品が展示されたさいに、お話ししてくださいました。
https://www.kyoto-art.ac.jp/production/?p=130254
挑戦をつづける領域横断的な生き方
大学卒業後、会社員をしながら作家活動を続け、現在は大学教員と作家活動、そして育児も行い、「領域横断」が生き方のキーワードになってるのだといいます。
環境の変化も乗り越え、挑戦をし続けられるのはどうしてなのでしょうか……?
“性格としては、とっても慎重なんですよ。慎重がゆえに、置かれている状況に対して「これでいいのかな?」と疑いつつやっているところがあるんです。今ジャンプしなきゃいけないっていうような時期を、すごく慎重に考えているんだと思います。
自分が自分の足枷にならないっていうのは、すごく大事なことのように感じます。日常的に何かをつづけていくと、小さいことだけにこだわってしまうこともありますけど、私ってこうだからってずっと思い続けると、同じことしかできないように思うんです”
作品だけでなく、人の手に触れるプロダクト(製品)の制作も行い、現在進行形であらたなことに挑まれているのだそうです。
「でも自分が本当に作家として生きていきたいのなら、つづけていけばどうにかなるんです」という言葉に、チャレンジを重ねてきた河野さんだからこその重みを感じました。
生き方をつくる姿に勇気づけられる
河野さんのお話を改めて思い出しながら、「自分にとって必要なチャレンジができているだろうか?」と考えます。
デザインと美術、会社員と作家活動、大学教員と作家活動、さらに育児。
河野さんの、世の中の分断されたように見える領域を結びつけ、生き方を選択肢から選ぶのではなく、自分でつくろうとされている姿勢に勇気づけられます。
あらゆる立場にいる人の「声」が、自分自身のまだ音にならない「声」をすくいとるきっかけになるかもしれません。
教員展会場の河野さんの「声」、そして今回参加される作家のみなさんの「声」も、ぜひ、こちらの記事と合わせてお読みください。
▼ 河野愛先生(美術作家・アートディレクター)
https://www.kyoto-art.ac.jp/info/teacher/detail.php?memberId=17001
▶京都芸術大学の資料請求はこちらから
▶高校生・受験生向け:近日開催のイベント
①5/21(土)~6/26(日)|全国13地域で開催👍美大・芸大進路講座
好評につき全国13地域で開催!高校生や保護者の方からよく寄せられる進路に関する疑問にお答えする講座です。
②7/3(日)|ブース型オープンキャンパス
京都芸術大学の全12学科22コースの学びがわかる!体験型ワークショップを開催。お申込みはこちらから