文芸表現学科

「進々堂百年史」編集部座談会1 優等生の企画書

 

 
新元ゼミでは、2012年春~2013年初夏にかけて、
株式会社進々堂の100周年社史づくりに携わってきました。
進々堂は京都の老舗パン屋さんです。
 
過去の社史や、社内に残る膨大な資料を研究し、
構成を考え、取材やインタビューを行ない、
原稿を執筆し、プロのカメラマンやデザイナーとやりとりをして、
印刷にも立会い、無事に出来上がったのがギャラリーでも紹介している
『進々堂百年史』です。
 
傍で見ていても、とてもハードな仕事でしたが、
学生たちの成長は著しいものがありました。
 
進々堂社史づくりを終えたばかりの学生たちに、
この一年を振り返ってもらいました。
 
 

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takeuchi  
- 社史に取り組み始めたのはいつ頃でしょうか?
   
   
adachi 昨年の4月ですね。
初回の授業で資料を渡されて、最初の頃は、50年史とか80年史とか、
進々堂のむかしの社史を読んでいました。
進々堂の資料室へ通い始めたのが夏休みからなので、
それまではわりと無駄な動きをしていたかも。
   
   
naniwa 夏休み中に他の会社の社史を見ようという話になって、
いろんな会社の社史を見て、良いと思う要素をどんどん抜き出しながら、
構成を考えていきました。
社史って、あまり社外に出ていないので、
京都府立図書館と大阪の中之島図書館で探して読んだよね。

   
   
adachi 中之島図書館は、社史をけっこう専門的に集めてる図書館なんですよ。
『月刊島民』(※1)で、
中之島図書館から良い社史をピックアップして
組んだ特集記事を読んだことがあります。
   
   
takeuchi  
- 最初の企画はどのように考えたの?
   
   
adachi  
いちばん最初は、すごくスタンダードなものを出したんですよ。
単なる企業史だけのようなものを。
 
   
   
naniwa  
ボツになったんだよね。
   
   
adachi  
そうそうそう。
   
   
naniwa  
たしか社長に、小見出しだけ書いたものを見せて。
   
   
adachi 「これだけだと優等生的だね・・・」って言われました。
そういう社史が多いんですよ。企業史だけの、スタンダードなものが。
   
   
takeuchi  
- 社長はどういうものを求めてたんだろう?
   
   
adachi 最初は私たちも普通の企業史で良いと思ってたんです。
創業者についても、取り上げて欲しいとは言われていたけど、
ああそうなんや、くらいの感じでした。
社長の思いとか、熱意とかはあまりこちらに伝わってなかったので。
   
   
naniwa 社長が社史をプロジェクトとして、
学生と一緒にやることをどう思っているのか
ぜんぜん分からないまま、
社史だけ先に進んでいて、
私たちも会社のことがあんまり分からないから、
いついつどういう事があったんですか? 
と出来事ばかりを聞いていたかんじです。
 
 
それで、夏休みが明ける頃に、
一度社長の思いとか、プロジェクトのことなどを話す機会があって、
「京都造形芸術大学に頼んだのは、
僕が考えるものを僕がつくろうとしてしまうと、
どういうものが出来るか想定できちゃって面白くないから、
期待を裏切ってほしい」
みたいなことを言われて。
   
   
adachi  
それを聞いてから、なんとなく優等生の意味が分かったんですよね。
  tuzuku

 
 
※1 大阪市中之島をテーマとして発行されている月刊のフリーペーパー。
 発行人は江弘毅(編集集団140B)。社史の特集はvol.49(2012年8月1日発行)に掲載されている。
 http://nakanoshima-univ.com/about/tomin.html

 
 
 
 
 

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