プロダクトデザインコース

学生による自主展覧会『おさまる おさめる展:白銀比』

こんにちは、プロダクトデザイン学科です。

 

今回は、学内で行われたプロダクトデザイン学科の学生グループによる自主展示企画『おさまるおさめる展:白銀比』の様子を紹介します。

 

 

この展示を企画するのは、3年生の有志6名による「おさまるおさめる研究会」の皆さん。

2021年9月に研究会を発足させ、2022年4月には、烏丸御池にあるGALLERY35(ギャラリー・みーこ)でグループ展『おさまるおさめる展』を開催するなど、精力的に活動しています。

 

 

こちらが、研究会メンバーの皆さん

左から

柴田雄大さん 京都府立北嵯峨高校出身

福田諒さん  大谷高校出身

宇野淑乃さん 雲雀丘学園高校出身

都路裕亮さん 福井工業大学付属福井高校出身

梶原みゆさん 滋賀県立東大津高校出身

濱口夏実さん 大阪府立豊島高校出身

 

日頃、私たちが使っている「おさまる」とか「おさめる」という言葉。

プロダクトデザインにおいても、しっくりきて、馴染んでいる様を「おさまりがいい」というような表現をします。

 

なんかいいプロダクトの良さを表現するときに便利な言葉ですが、代表の宇野さんによると、「何かがひっかかる」と感じたことがこの研究会を発足させたきっかけだそうです。

「普段、わたしたちがなんとなく使っている”おさまる”という言葉ですが、漢字にすると”収まる””治まる””修まる”“納まる”と4種類あります。ですが、使い方があまり分けられてなくて、なんとなく平仮名の”おさまる”を使っている機会が多いような気がすると感じていました。また、それぞれが抱く”おさまり”の基準が”なんとなく”の感覚で共有しづらいものだと感じて研究をはじめました。」

と宇野さんは言います。

 

たしかに、「おさまり」という言葉はプロダクトデザインの世界でよく使われる言葉ですが、とても感覚的であいまいです。「おさまり」の正体を明らかにすることは、よいプロダクトデザインに直結しそうですね。

 

今回は「白銀比」をテーマにした作品を制作し、学内で展示を行いました。

 

もともとは、11/3~6に行われた関西在住の若手プロダクトデザイナーたちによる展示会COMPOSITION4に参加したことが、今回の学内展示のきっかけとなったそうです。

COMPOSITION4で出展した食べ物を納めるお皿をはじめ、そこに至るまでの過程で出てきたアイデアを6人のメンバーがブラッシュアップして、作品として仕上げ、展示しました。

 

 

食べ物を納めるお皿 http://composition.design/tabemonowoosameruosara-page.html

 

 

では、展示の様子をちょこっとご紹介します!

 

 

白銀比がテーマとなっていることから、なんだかしゅっとして、心がすーんとなるような空間です。

まさに、「心がおさまる」ような感じを覚えます。

 

■今回のテーマ:白銀比

白銀比とは「1:√2(およそ1:1.414)」となっている比率のことで、古くから大工さんたちの間では「神の比率」とされ、日本人にはなじみの深い比率です。

美しさや安定感を感じる比率といわれており、歴史的な建造物からキャラクターのデザインなどにも取り入れられています。

 

今回の展示では、この白銀比をテーマにメンバーがそれぞれの「おさまる おさめる」を表現しました。

 

展示されていた作品をいくつかピックアップ。いろんな「おさまる」が表現されています。

 

 

まず、こちらはCOMPOSITION4に出展した「食べ物を収めるお皿」。

辺の長さが白銀比になっていることで、食べ物とお皿の余白が、心地よい緊張感を醸し出し、食べ物を折り目正しく、丁寧にいただけそうなお皿です。

 

http://composition.design/tabemonowoosameruosara-page.html

 

比率から、乗せた食べ物が「収まる」のはもちろん、余白を考えて配置を試行錯誤しながら、自分自身が「治まる」過程も生まれるそう。

 

わかります。「あーでもない、こーでもない」と試行錯誤して、ちょうどしっくりぴったりくるところを見つけたときのスッとする気持ちよさ。食べ物をお皿に収めて、食べることで、体に納めて、心も治まる、そんなお皿です。

 

 

 

 

こちらの何やらカッコいい照明は、照明のシェードに白銀比をおさめた作品。

A版の紙に白銀比の比率のパターンを折り、連なる折り目が美しい陰影を浮かび上がらせています。

連続する美しいパターンをぼんやり見てると、心が落ち着いてきます。

 

 

 

こちらのふたつの四角が重なったオブジェクト、実は時計で、短針・長針とも白銀比の四角形の中に収めてしまったもの。

時間が経つことで、微妙に四角の位置が変わっていくのが面白いです。

普段、分刻みで時計を見るようなせわしない生活でも、この時計と一緒なら、もっとおおらかに時間と付き合えそうな気がします。

 

このほかにも、食品のパッケージやお菓子を敷く紙など、白銀比をモチーフにした様々なプロダクトが提案されていました。

 

 

作品以外にも展示会場では、随所に工夫が凝らされていましたよ。

 

 

ふと上を見上げると、何やら白いヒラヒラしたものが…

 

 

 

こちらは我々の身近にある白銀比であるA4の紙をくるっと巻いて加工したもの。

ただの白い紙なのに、なんだかカッコいいのは白銀比だからでしょうか。

 

白銀比の底知れぬ美しさのようなものを感じました。

 

宇野さんが「地味に力を入れた」という作品解説のキャプション。

 

 

自分たちで訳したという英文解説もついていました。

「おさまる」という日本語でもあいまいな言葉を別の言語で表すって、難しそうですが、果敢にチャレンジしています!

 

「おさまるおさめる展」というだけあって、とてもシンプルで静謐。見たあとは心がスンとおさまったような感覚を覚えた展示でした。

 

 

この展示は、企画も搬出・搬入も全部、研究会のみんなが自主的に行ったものです。

大学では、このように自主的に研究会や勉強会を立ち上げて活動することがよく行われています。

学校の授業以外で、もっと突き詰めてみたいことや、チャレンジしてみたいことがあったら、仲間を募って活動してみるというのも、大学の楽しみの一つです。

学内に展示スペースも多くあり、今回の「おさまるおさめる研究会」の皆さんのように日頃の活動の成果を見てもらう機会がたくさんありますよ。

興味のあることはどんどん掘り下げていきましょう!

 


 

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