キャラクターデザインコース

ゼミ通ヒーローズVol.55 浅井美空、内田響己、高田千夏、俵迫かなめと脱出ゲームについて語るの巻 Part2

※「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。

 

 

ゼミ通ヒーローズVol.55 浅井美空、内田響己、高田千夏、俵迫かなめと脱出ゲームについて語るの巻 Part1

の続き

 

村上

今度は広報関連について聞いていこうかな。今回は例年に比べて会期が長くて、その分大勢の来場者を集めるミッションが課せられたわけだけど。

 

高田

当日の広報班は本編に大きく関われる訳ではありませんが、お客さんとファーストコンタクトを取る唯一の役です。 受付の段階からお客さんを「私達はゲームをしに来たんだ!」とワクワクさせる為に待機所で作成した広報動画を流すなどの工夫を行いました。 また脱出ゲームは全員で協力して頂くことが大切なので、待機所として使用していた教室の机を1つにまとめて、参加者に一体感を感じて貰えるようにもしてみました。実際、ゲーム終了後のアンケートの中には、受付や待機所についてのお褒めの言葉があり嬉しかったです。

 

 

高田

今回は4日間の開催で一日4回公演、合計16回の実施。一度のプレイが10人なので、最大160名となって、この枠を埋めるために色々工夫しましたね。本学の学生だけではなくて一般のお客様にもPRする上で、実際の脱出ゲームを運営している会社のwebサイトを参考にしたり動画をたくさん見て研究しました。あとはSNSを活用して、何をどういう順番で情報開示したらワクワクするかを考えていきました。

 

村上

デジタルゲームや映画の場合はトレーラーを作れるから、登場人物やあらすじやキラーショットを紹介することでお客さんのハートを掴みやすいのに対して、脱出ゲームはネタバレまみれなので、中のものを何一つ見せることができずトレーラーが作りにくい。ていうか作れない。

 

高田

今回は架空の旅行会社が開催する深海ツアーの想定なので、最初は脱出ゲームのニュアンスは一切出さずに深海ツアーの告知だけを流していって、「なんだこの会社は!?」と思わせるところから始めました。そこから徐々に情報を小出しにしていって、実はこれは脱出ゲームで、実際に閉じ込められてゲームを体験するんですよと伝えていくようにしました。それでも肝心な部分を伏せたままにしているので、分かりそうで分からないというか、好奇心だけを引っ張るような展開を心掛けました。

 

俵迫

開催日が4日間で、最初の二日と後半の二日の間が空いていたので、その間に口コミで広がったんだと思うんですけど、後半の二日間はあっという間に予約の枠が埋まりましたね。

 

内田

他大学の脱出ゲームサークルとか一般のガチ勢も多く参加してくれましたね。

 

村上

一般のお客様から「このクォリティのものを本当に無料で開催するんですか?」って言われたのは嬉しかったね。数年前から恒例行事になっていて徐々に認知されてきたところで、コロナの関係で学内のみの公開になったりしたから、今年はそのリミット解除の関係もあって大勢来てくれたのかも知れないね。

 

 

高田

今回Googleフォームで申し込みをしていただいたんですけど、誰がどの時間帯に予約をしたのかをリアルタイムでExcel上で確認できるようにしていて、定員を満たした枠から自動的に閉じていくマクロを組みました。漏れはないつもりだったんですけど、それでもミスがないように管理をしていく中で、色んな問い合わせに対応してたのでもう大変でした(笑)

 

村上

ゼミ生全員、技術よりも総じて意識が高かったね。プロ技術についてはYouTubeか何かで勝手に覚えて、好きが高じていつのまにかプロになるのであえて教えるようなものでもないと思ってるんだけど、「面白い」を再現するために必要な拘りとか、テーマを追求する姿勢とか、そういうことが自然にできているようになって、皆で高め合う空気が出来てたのはとても良かったと思う。

 

高田

生身の人間にリアルタイムで楽しんでいただく経験って大きいと思いますね。デジタルゲームを作って、「ゲーム置いとくからみんな楽しんでね」っていうのとはまた違って、リアルタイムでどう動くか分からない相手を、ワクワクさせ続けるっていうのが本当に大変だなって思いました。

 

村上

そこが今回の狙いというか、感情を誘導するのがどれだけ大変なのかを理解することができた点でプロジェクトとしては成功。

 

浅井

楽しんでるお客様の顔を見るのが楽しいなって感じられたのが大きいですね。

 

村上

キャストの場合は特にね。目の前で人が遊んでるわけだしね。

 

俵迫

お客様のことを考えながら制作するのは、何かを提供する立場である以上ゲームに限らずどのメディアでも同じだと思うんですけど、前期はシリアスゲームを作って、後期は脱出ゲームを作ってみて、提供する行為は同じなのに媒体が変わるだけで手段も考え方も全く変わってくるっていうのが改めて分かったっていうか、新しい経験値を得られて良かったです。

 

内田

デジタルゲームの場合だと、画面に対してやれることは限られてくるけど、脱出ゲームになるとプレイヤーが何をするか予想がつかないので、それを制御するためにあらゆることを想定して動かなきゃいけないのが大きかったです。

 

村上

というわけで、春休みの間に色々見て触れて、新しい遊びの研究に繋げていって下さいね。

ではここから先は脱出ゲームのギミック関係のメンバーにバトンタッチして中身の話を進めていきたいと思います。

 

 

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