- 2023年10月5日
- イベント
ゼミ通ヒーローズVol.60 俵迫かなめ・パクイニョン・山室美菜子と学科展作品「Candaor(キャンドール)」について語るの巻 Part1
※「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。
「Candaor」を制作したパク・イニョンさん(左)、山室美菜子さん(中)、俵迫かなめさん(右)
村上
今回制作した「candaor(キャンドール)」は3人チームでの制作だったので、まずはそれぞれの自己紹介からお願いします。
俵迫かなめ(以下俵迫)
俵迫かなめです。私が担当したのはプランナーと2Dデザインです。あとはエフェクトデザインもやりました。
パク・イニョン(以下イニョン)
パクイニョンです。私は3DCGとアニメーションを担当しました。ステージデザインとかキャラクターのモーションも作りました。
山室美菜子(以下山室)
山室美菜子です。プログラミングを全て担当して、ゲームの難易度調整も行いました。
村上
という面々での制作で、主には企画とビジュアルとプログラミングの三つの担当に分かれた感じだね。企画自体はどうなの?もう三人で意見を出し合いながら?
俵迫
序盤はみんなで企画を詰めていって、ある程度固まって作業が分担できるようになってからは主に私が企画を担当してましたね。
村上
なるほど、じゃあゲームの中身の紹介をお願いします。
俵迫
単純に言うと、ろうそくのキャラクターを操作してパズル的な3Dマップ上を移動するアクションアドベンチャーゲームで、遠足をモチーフにしたゲームになってます。多分誰もが人生で一度は聞いたことがあると思うんですけど、「無事に家に帰るまでが遠足だよ」っていうフレーズからアイデアを得ました。
で、モチーフとして選んだのがキャンドルです。蝋が熱で溶けていくところと遠足の要素を組み合わせるとどうなるのかというところから、企画が進んでいきました。最終的には、主人公が歩いた地面がどんどん溶けていくというメインシステムにたどり着きました。
山室
マップ上のギミックを解いてる中で時々道に迷うことがあるんです。迷っているうちに地面が溶けてどんどん道が凸凹になっていくような、その様子も遠足に似たものがあるなと思いました。
俵迫
遠足に行った時の心情としては行きとか目的地に着いたときはすごい楽しくてテンションも上がってるんですけど、家に帰る時ってちょっと空しさとか、また現実に戻るんだなみたいな、そういう意識の違いがあるところに着目して、今回のゲームでもそういう行きと帰りで違う体験が得られるものにしたいと思ってました。
村上
要するに行きの部分で適当に遊んだ人は、帰り道で痛い目に遭うよっていうイメージね。
俵迫
そういうことですね。このゲームには敵キャラは登場しなくて、でも行きで地面を溶かしすぎると帰り道がなくなって危険性が増していくので、自分自身が敵っていう形でシステムを作りましたね。実際の遠足でも自分の浮ついた気持ちで危険にさらされる可能性があるし、どう自制するか、そんな自分自身の意識の持ち方をゲームデザインとして取り込めたんじゃないかなって思います。
村上
行きと帰りで遊び方が違う点とか、行きの行動が帰りに影響を与えるとか、まさにゲームでしか味わえない面白さがちゃんと表現されてるよね。そこを体験してもらった人は帰り道の途中でゲームオーバーになったとしても「なるほど、そういう仕掛けだったのか!」っていろいろ腑に落ちるところもあってゲームオーバーになったのが理不尽ではなく自業自得として納得できる。そこはすごく良かったんじゃないかな。
山室
プレイヤーは子供が多くて、単に動かしてるのが楽しいとかキャラクターが可愛いと言ってくれて嬉しかったですけど、それ以上に、行きでめちゃくちゃな遊び方をしてる子が帰り道でゲームオーバーになって「面白い!」と言ってくれたのがすごく印象に残ってます。
村上
作品のテーマが明確なのと、そこから練られたゲームのコンセプトとも整合性が取れていて、そこにストーリーとキャラクターを乗せてちゃんとゲームとして落とし込めてると思う。それにビジュアル的にもクオリティが高かったし、ゲーム業界の方からも概ね高い評価をいただいてたね。
Part2に続く