キャラクターデザインコース

Tencent社との連携授業~ゲームデザインの設計思想~

キャラクターデザイン学科の村上です。

12月02日、中国にある世界最大のゲーム会社(ゲーム会社という言葉では括れないほど巨大なエンタテインメントビジネスの企業)であるTencent社との連携企画として、Tencent Japanのシニアディレクターである今泉健一郎様と、テクニカルディレクターの森田智紀様、また関連企業の方にも来学いただき、ゲームプランニングのワークショップを行いました。

Tencent Japanの今泉様(右)と森田様(左)

 

今泉様は、過去に「メタルギアソリッド」シリーズや「デス・ストランディング」といった世界で高い評価を得たゲームのプロデューサー。もう一人、森田様は「メタルギアソリッド」や「人喰いの大鷲トリコ」のプログラマー。

これらのタイトルを聞いて学生そっちのけで担当教員の私が一番興奮していたわけですが、これらはゲームに関わった者なら誰もが教科書代わりに崇めてきた至極のラインナップなのです。

 

このイベント、当初はキャリア支援の一環として企業説明会を行うという話からスタートしたのですが、せっかく凄い人に来てもらうのに説明だけして終わるのも勿体ないなと感じ、ゲームの設計思想に基づいたテーマの掘り下げとコンセプトの練り込みに重点を置いたワークショップとして実施しました。

 

まず最初はTencent社の企業説明。

「どんなゲームを作っているか」ではなく、「今、実際に島を作ってます」という異次元の規模の話から始まったので学生たちの頭上には「?」マークが飛び出していました。それくらい大きな規模で成長している企業であり、小さな悩みが吹き飛びそうなスケールを目の当たりにしました。

 

続いて今泉様と森田様と村上の対談。

「世界に通用するモノづくり」ということで、Tencent内で開発されたゲームだけではなく、お二方が過去に開発した日本製のゲームタイトルを例に、その企画や開発に関わる貴重なお話を聞かせていただきました。

個人的に大好きな「メタルギアソリッド」「デス・ストランディング」「人喰いの大鷲トリコ」を中心に話していたので、興奮と勢いで80%は脱線(笑)しましたが、ゲームを企画する上で重要なポイントはしっかり押さえて話が広がっていきました。

 

そしてワークショップの時間。

ゲームデザインのワークショップといっても、実際にゲームの企画書をつくるのではなく、今回は「設計思想」、いわゆるコンセプトの練り込みに重点を置いた授業にしたかったので、キーワードを学生に与え、そこからテーマの深堀とコンセプトの練り込み、そして簡単なゲームシステムについて考えてもらいました。

グループディスカッションの様子

 

学生に与えたお題は「共存」。この言葉からテーマを深掘りしていきます。

参加学生は、学部生と大学院生、学年もバラバラ、国籍も日本6:中国3:韓国1とこれもバラバラ。この垣根を横断することもひとつの共存です。身近な問題から社会問題、どこに注目するかは自由として、その意味合いや価値を自分たちなりに見出していきます。

あるチームは共存に必要なものとして「距離感」を挙げました。相手を理解するには近づかなければいけないけど、近づきすぎるとネガティブな一面が見えてしまいます。そこからゲームのコンセプトを練り込む上で、焼マシュマロというメタファーに行き着きます。火に近づけなければマシュマロは焼けず、近づきすぎたら燃えてしまう、という発想でした。

 

与えられたお題が「共存」だからといって、何かと共存するゲームを考えるのではなく、その言葉を多角的に見つめ直して新たな価値を与え、それが面白いと感じられるような仕組みとして再現していくことがゲーム企画では重要になってきます。

今回のワークショップでは、ゲームのディテールは一旦隅に置いておいて、設計思想の部分だけに言及した形で発想力と思考力の重要性を学んでいきました。

 

学生によるゲームコンセプトの発表

Tencent社から優秀チームへの記念品贈呈

 

Tencent及びTencent Japanの皆様、そしてこの機会を作っていただき運営の準備をしていただいた企業様のお陰で今回の特別授業が実現しました。

関係者様全員に心より感謝いたします!

 

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