キャラクターデザインコース

ゼミ通ヒーローズVol.65 市花裕大と卒制作品『WAR MACHINE』について語るの巻 Part2

 

 

※「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。

 

ゼミ通ヒーローズVol.65

市花裕大と卒制作品『WAR MACHINE』について語るの巻 Part1の続き。

 

 

 

市花裕大(以下市花)

今回のゲームには大きく2つの見どころがあります。

まずはコントローラーですね。ここには最終的にマイコンを5個使ってるんです。ロボットを操作するための左右の入力用に2つ、人間操作の時の左右の入力用に2つ、最後に、座席を振動させるための1つです。その制御が今回の技術面では見どころというか大変なところでした。もう一つの見どころとしては、筐体そのものですね。組み立てるために自分で色々調べて、設計方法を考えて作りました。

 

村上

座席にも仕掛けを施したのは驚いたね。4DXの映画と同じことをやりたかったと。

 

市花

はい。椅子を動かしたいなと思って色々調べて、バイク用のモーターとかも試しました。最終的にはシンプルな答えに辿り着いて、介護ベッドに使う電動のアクチュエーター、つまり伸縮する足を制御すれば簡単に振動を作り出すことができるので実装しました。

 

村上

良い意味で気が触れてるな(笑)

 

市花

そうっすね(笑)

 

村上

授業でもこんなこと一切教えてないし。全て独学で本当にコックピットを作ってしまったっていう。振動の仕様も「ロボットに乗った」体験をよりリアルにするための工夫だったってことだよね。

 

市花

そうです。車もバイクも、運転してたら僅かに振動するじゃないですか。てことは、あのサイズのロボットに乗ったら物凄く大きく振動するだろうなって思ったので、これは実装したかったですね。見た目にもカッコいいですしね(笑)

 

 

村上

君は好きなものを見つけるととことん追求して暴走するタチだね。協調性もないし(笑)。ゼミ教員として苦労する部分も多々あるわけだけど、それでも何か突き抜けたものを作るってことは、そういう性格じゃないとできないなって思ったね。

 

市花

稜斗(同ゼミ内で優秀賞を受賞した藤江稜斗)に言われましたよ。「お前がエンジンかかったときは勝たれへん」って。

 

村上

ほほう。

 

市花

「ただ、お前はエンジンのかけ方が分かってない」って(笑)

 

村上

わかる(笑)拘りどころが明確なんだけども、たまにズレるからね。合評のときに、どれだけ頑張ったかをアピールせずに、「ただ楽しんでくれ」っていうタイプ。これだけのものを作ったのにセールスポイントに全く触れることもなくて、本当にアピールするのが下手なヤツだなって思ったね。その分作品が語ってるから、まあいいか、みたいな。

 

市花

なんか過去の合評とか聞いてて、ゲームを紹介してるのに「これやるために僕はこんなに頑張りました」って言うのは何か違う気がしてたんですよね。ていうのも、僕らが作るのって所詮ゲームであって、それは世の中に出たらもうこっちからの声は基本的には届かなくて、プレイヤーがどう感じるかの一本勝負だと思うので、実際にリリースされたゲームがどうなのかってところに焦点を置いてますね。身内とかに自慢するのは別にいいと思うんですけど。

 

村上

確かにね。余程の有名人であれば双方向のやり取りがあるかもしれないけど、普通に働いてる分には制作者の声は聞こえないわけだから作品で語るしかないってことね。

 

市花

仮に僕の作品に深いテーマみたいなものがあるとすれば、「自分のやりたいことを突き詰める」ってことだけですね。

 

村上

今のゲームゼミのトレンドって、ゲームの枠を飛び越えるっていうのが数年前から起き始めてるよね。外部デバイスや変わったセンサーを使って体験そのものをデザインするっていう。

 

市花

去年、先輩の制作を手伝うためにUnreal Engineを覚えたり色んなデバイスをつなげてゲームを作ってみて、実際にこんなデータのやり取りをしてるからゲームにこのデータを活用すれば何でもできる、っていう理解が生まれたから今回外部デバイスを実際に作ることに踏み切れたわけです。で、実際に僕がそれをやり始めて、他のチームでもアルディーノやM5Stackをゲームと連携させようってなって、結果的に今年のゲームゼミにはそういう作品が増えたのかなって思います。増えてくるとノウハウも蓄積されて開発のハードル自体も下がってくるんじゃないかなって思います。どのみち、ひたすら勉強するしかないですけどね。

 

村上

これから先は、どうゲームを越えていくかが問われるよね。若いうちは売れるゲームとか王道のゲームを作りたいと思うんだろうけど、これだけ色んなコンテンツで溢れているゲームの世界を見てると、ゲームの中に閉じこもるんじゃなくて、他の領域とコラボしたらどうなるか、とか、そういう風に横に広げていく必要性を感じる。

 

市花

そうですね。今回こんなコックピットを作りましたけど、自宅に持って帰って、これで『アーマード・コア』をプレイしたいなって(笑)。実際にこんなの作って、その中でロボット動かしましたって会社の人に言ったら、何か仕事の幅も広がるんじゃないかなって思いますね。

 

村上

確かに。『アーマード・コア』を楽しみたいからコックピット作りました、なんてやつ普通いないもんね(笑)

 

市花

作ってて楽しかったですし、それで賞もいただけたから万々歳かなって感じですね。評価していただいた先生方やプレイしていただいた方に感謝です。あと、支えて下さった先生方、特にプログラミングを教えていただいた奥出先生に感謝を伝えたいです。

 

村上

はい、ではこれからも社会に出たらぜひ

 

市花

あ、そうだ。村上先生も

 

村上

俺おまけか(笑)

 

市花

4年間、たくさんご迷惑をおかけしたので。

 

村上

いや、そういう生き物を観察してるみたいで面白かったからいいよ(笑)。なぜかゲームゼミには荒くれ者が多いので、こちらとしてもやり甲斐がある。

後輩にも伝えたいことだけど「ポートフォリオに載せるための作品作り」っていう狭い考えをまず捨ててほしいよね。「好き」をとことん追求して、研究施設で研究者として活躍している自覚と野心を持って新しい面白さを表現できるように、これから社会に出てからもぜひ頑張って下さい。

 

市花

はい、ありがとうございました。

 

 

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