こども芸術学科

メリークリスマス | 社会福祉 小出亨一先生

 

こども芸術学科では、保育と芸術を合わせて学びますが、保育とは児童福祉法に規定された福祉のひとつです。

今回は、こども芸術学科で「社会福祉」の非常勤講師をされている小出先生からのメッセージです。

小出先生は独立型社会福祉士として多方面でご活躍中です。こども芸術学科では社会福祉関係の資格として、

保育士のほかに社会福祉主事任用資格が取得できます。(浦田)

 

 

 

小出サンタ先生

 

こども芸術学科で「社会福祉」を担当している非常勤講師の小出享一です。

さて皆さんは、社会福祉士という資格を知っていますか?聞いたことがない、知らないと言われる方が世間一般では多いと思います。そこで社会福祉士とは、どんな資格でどのような仕事をしているのか、ご紹介したいと思います。

まず社会福祉士とは「社会福祉士及び介護福祉士法」で位置づけられた社会福祉業務に従事する者の国家資格です。高齢者や障がい者、ひとり親家庭及び子どもなどの福祉サービスを求める人やその家族に対して適切な相談援助を行い、その人たちが社会や地域のなかで暮らしやすくなるように仕事をします。

社会福祉士になるためには、厚生労働大臣の指定した指定試験機関である社会福祉振興・試験センターが実施する「社会福祉士国家試験」に合格しなければなりません。またこの試験を受験するためには、法律に定められた受験資格が必要になります。平成25年1月に行われた第25回目の国家試験は、合格率が17.2%と前年に比べかなり難化しました。前年度は26.3%でした。

社会福祉士としての主な就職先や活躍している場所には、高齢者、身体及び知的障がい者・児、こどものための福祉施設や相談機関、社会福祉行政機関、社会福祉協議会、福祉サービスの提供や福祉機器を扱う一般民間企業、大学や専門学校などの教育機関、医療機関などがあります。

ちなみに社会福祉士の資格を持っていないと福祉の仕事が出来ないのかというと、原則として、福祉の仕事をすることは出来ますが、資格を持っていなければ、「社会福祉士」と名乗ることは出来ません。これを名称独占資格といいます。医師や弁護士のように資格を持っていなければ、仕事が出来ない「業務独占」とは異なりますが、社会福祉士資格を持っていることは、福祉専門職としての一定水準を担保することにもなり、就職や就職後のキャリア形成などに有利に働きます。また近年では、診療報酬や介護報酬の関係で社会福祉士資格が必置要件である医療及び社会福祉の機関や施設があり、資格を持っていないと、就職が出来ないところも出てきています。

社会福祉士が誕生して20年以上経ちますが、これまでその資格取得者の殆どは、福祉施設などの組織や機関に所属する「勤務型社会福祉士」でした。しかし近年の少子高齢化をはじめとする社会の急速な変容は、虐待や孤独死といった多くの新しい福祉的ニーズを生み出し、ニーズが複合化・複雑化する中で従来の福祉制度やサービスだけでは対応できないケースや制度から漏れてしまうケースを数多く生み出しました。従来型の福祉や「勤務型社会福祉士」の業務では追い付かず、その限界を露呈させる場面も多くなっています。そこで誕生し、その数も徐々に増加しつつあるのが、また制度が出来て日も浅いですが、地域を基盤とし、独立した立場で社会福祉を実践する「独立型社会福祉士」です。独立型社会福祉士の業務形態は置かれている立場により様々ですが、相談援助にウェートを置くもの、成年後見制度にウェートを置くもの、介護保険法や障害者総合支援法の介護給付サービス提供にウェートを置くもの、講師などの教育にウェートを置くもの、またはこれらいくつかの組合せによるものなどがあります。これまでの日本の福祉のあり方からすれば、「独立型社会福祉士」は、未知の、新しい試みであるといえると思います。

私も「独立型社会福祉士」のひとりです。私の現在の仕事・活動についてですが、社会福祉士として、精神保健福祉士として、介護支援専門員として、大学及び専門学校などでの福祉教育関係の講師、居宅介護支援事業所の介護支援専門員として主に活動しています。行政や施設の運営にも関わっています。

現在、私が取り組もうとしているのは、私の障害当事者体験をもとにした障害者・高齢者の「居場所」づくりの活動です。高齢になっても障害等があっても地域のなかで「居場所」を確保できるような活動がしたいと思っています。「人は誰でも居場所が必要である」ということで思いを込めて独立社会福祉士事務所の名称も「居場所」としました。新しい制度やサービスを時代に合わせて作っていくのも社会福祉士の役割です。これからも頑張っていきます。

(小出亨一:社会福祉士 非常勤講師/「社会福祉」担当)

<437438439440441>