アートプロデュースコース

ココルームへインターンに行ってきました!

3回生の中山咲子さんがココルームへインターンに行ってきました。
中山さんのインターンレポートを紹介します。

 

 

 

 

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アートプロデュース学科3回生 中山咲子

実習先:NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)

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 私は、大阪・西成区山王にあるココルームへインターンに行きました。ココルームとは、NPO法人こえとことばとこころの部屋が運営するカフェです。カフェと言っても、アートに関するトークショーや健康相談会、パソコン教室などさまざまなイベントを開催しており、あらゆる人の交流・表現の場づくりも行っているユニークな場所です。

 

 インターンを始める前の見学で初めて足を運んでみると、古い商店街はシャッターの閉まったお店が多く、行きかうのは中年から高齢の男性ばかり。野宿をしている人も多く「今まで見たことが無い光景だ…」と足がすくんでしまいました。その中にあるココルームも衝撃的でした。一見何をしているお店なのか分からない派手な外観で、中に入ってみても壁中に張り紙がされていて混沌としています。スタッフもお客様もごちゃまぜになっており「この空間で何が起きているのか…」とただただ呆然とするしかなく、代表の上田假奈代さんからのお話も良く飲み込めないまま初日の顔合わせを終了しました。見学のお礼のメールで「噂ではあまりよくないイメージしか聞きませんでしたが、にぎやかで意外でした」というようなざっくりとした感想を書いて送ったと思います。すると上田さんから「そのようなさらっとことばを使わずに、考えを重ねてじぶんのことばで語りかけてほしかった」と返信をいただきました。よく考えもしないままに適当なところで分かったふりをする自分をたった数時間のやりとりでずばり指摘されて驚いたのに加えて、失礼なことをしてしまった申し訳なさでいっぱいになりました。同時に、「インターンを通してしっかり見て接して考えて言葉にしたい!」とやる気も掻き立てられインターンを開始しました。

 

 前置きがとても長くなってしまいましたが、ココルームではカフェの調理や接客、スタッフの食事作り、領収書整理などの事務作業、向かえにあるカマン!メディアセンターでの中古品のバザーなど多くの仕事があります。それらを誰がするのかという明確な役割分担はありません。少ないスタッフの間で気が付いた人が率先して動き、ときにはお客様にも手伝っていただきながら運営しています。そこでまず始めは、スタッフの方の動きを見て逐一わからないことは聞きつつ、掃除やお皿洗いなどできる仕事をするようにしました。少し回数を重ねた時に、スタッフの夕食を作ってみないかと言われて「特別に得意でもないし普段は一人分しか作らないからできないです」と遠慮しましたが、周りのスタッフは個々の作業で忙しく、夕食を作るような余裕はなさそうでした。「遠慮していたって何の役にも立たないし、やってみないとわからない!」と気持ちを切り換えて引き受けることにしました。手探りで作ってみていると、途中で手の空いたスタッフの方がアドバイスを下さって無事に完成することができました。他にも横浜トリエンナーレに出品する作品の選定や町内のお祭りでベビーカステラ作りなど…日によって任せられる仕事はさまざまでしたが「失敗したらどうしよう…」という不安よりも、スタッフの皆さんをはじめ周りに支えてくださる人がいる安心感があって「どんなふうにすればより良く、楽しくなるか」というふうに取り組む姿勢が変わって行ったように思います。

 

 また、ココルームにはオフィスがなく、事務作業もお客様と同じ席でやります。距離が近いため自然と会話が始まるのですが、私は人見知りのせいで上手く話せず、初めの頃は愛想笑いでしのいでばかりでした。常連のお客様の中には高齢の人や障がいのある人も来られるのですが、私は彼らに対して何をするか分からなくて怖いという先入観がありました。また、何を言っているのか分からないことが多く、話しかけられても戸惑って適当にやり過ごしがちでした。反面、スタッフの皆さんを見てみると誰に対しても気軽にお話していて、尚且つ伝えたいことは遠慮せずにはっきりとおっしゃっていました。「自分も肩ひじをはって構えなくていいんだ」と思い至ってからは、分からないことは聞き素直に反応していると、会話の内容やお客様のことも徐々につかめて楽しくなっていきました。当初持っていた先入観も間違いだったと気が付きましたし、お客様が私の名前を憶えて下さって「もうすぐ帰る時間?」とか「また来てね」と声をかけてくださるようになったのは本当に嬉しかったです。

 

 ココルームでのインターンを通して、怖がらずに行動に移すことや言葉にしてみることでつながりや気づきが増えていくと身を以て知りました。そして、言葉を受け止めて反応を返してもらえるということの嬉しさを改めて感じました。経験や感情を自分のことばにするというのは、やはり難しくインターン期間中に達成できたとは言い切れません。上田さんから最後に「ことばに表すのは本当にむつかしくずっと勉強ですよね」と仰っていただきました。今後も経験しっぱなしではなく、それらを自分のことばにすることを心がけて、丁寧にこれからの課題に取り組んで行きたいです。

  

 

 

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