- 2011年5月25日
- 日常風景
「少女たちの羅針盤」
ほとんど話題になっておらず、あまり多くの映画館で上映されていない映画です。
でも、わたしはいい映画だと思います。
特筆すべきは、大胆に省略を使った物語運びの妙(脚本)と、
ヒロインである4人の女子高生像のいきいきとした造形(演出)です。
原作ミステリーを踏襲している殺人のトリックや謎解きには、たいして深みはありません。
ありきたりの原作を、どう面白い映画に仕上げるか。
場面が変わる度に話が飛んでどんどん進んでいく展開のテンポ良さは実に快適です。
また、少女4人がそれぞれ魅力的に描かれていて楽しめます。
ちょっとした仕草やまなざしの動きを追う細やかな演出が、少女たちの個性を際立たせるのです。
殺人事件自体の動機や犯行方法は後味の悪いものなのですが、映画自体には清々しい青春の匂いがたちこめます。
原作を料理する映画作家の力を感じさせる一作ですね。