- 2014年11月14日
- 日常風景
福武財団 国吉康雄プロジェクトへインターンに行ってきました!
3回生の中尾めぐみさんがインターンに行ってきました。
中尾さんのレポートを掲載します。
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アートプロデュース学科3回生 中尾めぐみ
実習先:福武財団 国吉康雄プロジェクト(香川県)
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今回私は、福武財団 国吉康雄プロジェクトさんにインターンに行かせていただいた。国吉康雄とは、20世紀前半にアメリカで活躍した岡山県出身の画家である。今回のインターンの大きな目的は、10月25日~11月16日に開催される「国吉祭2014」でのワークショップスタッフ、国吉の作品を使ってのACOP(Art Communication Project)実践であった。
私たちは、ワークショップの内容を決めるところから関わらせてもらったのだが、それを考えるにあたって、香川県・直島にあるベネッセハウス・地中美術館で様々な業務を体験することができた。ベネッセハウスでは書棚の蔵書リストの作成、地中美術館ではアートスペース(展示室)のスタッフを担当させていただいた。外国人のお客さんがとても多かった。直島という場所が日本のみならず、外国から非常に注目されていることを肌で感じた。
蔵書リストの作成を通して一番痛感したのは、英語ができることの重要さである。というのも、外国語の本が非常に多かった。最初は、ほしい情報がどれなのかを読みとるのも苦労した。英語はできたほうが確実に良い。
地中美術館で業務にあたった9月13~15日は、ちょうどシルバーウィークであったため、とにかく来場者の数が凄まじかった。こう言ってはなんだが、私は今までに美術館にあれほどたくさんの人がいるのを見たことがない。作品を保護する立場になってみて、まず、監視というのがこれほど難しいものだとは思わなかった。作品を守り、かつお客さんの気持ちを想像しながら声のかけ方を工夫することの大切さを知った。また、スタッフの方々のお客さんに対する気遣い・意識の高さに驚き、それについていくのだけでも必死だった。思うようにいかないことばかりだったし、立ちっぱなしで足がつりそうになった。しかし、そんな私の足と心を支えてくれたのもお客さんであった。色んな人に話しかけられた。作品の情報に聞かれ、展示の仕方について聞かれた。私自身の作品に対する意見を求められたこともあった。「すみません、私では分かりかねます」と言ってがっかりさせてしまうことが次第に辛くなり、次に聞かれた時は絶対に答えられるようにしたいと思うようになっていった。ちゃんと伝えることができた時の相手の嬉しそうな顔をよく覚えている。
次に、ワークショップを実践したことについて。私たちは、国吉の作品の中からそれぞれひとつ選び、会場にある本物の作品の前でACOPを行った。
一般のお客さんの他に、ボランティアの小学生の子たちやその親御さんにも参加してもらった。私が個人的に少しびっくりしたのは、こどもたちよりは大人のほうが積極的に発言をしてくれたことだ。国吉の作品に強い思い入れがありそうな人もいれば、「よく分からないけど面白いね」といった感じの人もいた。
しかし、私が印象的だったのはどちらかと言うとこどもたちの意見である。彼らの意見は、私が今までに聞いたことのないものが多く、面白い視点のものが多かったからだ。私たちでは気づかないようなところを捉えていた。
自分のナビゲイションについては、かなり課題が残ったと思う。「お客さんが言わんとしていること」を、もっとプッシュしていけたらよかったし、そうすればより鑑賞を深いものにすることができたのではないかと思う。とは言うものの、最初は少し身構えていたお客さんが、人の意見を聞いて驚いたり面白がっている内に、だんだんと発言してくれるようになったのは嬉しかった。ナビが終わったあとも、作品をじっくり見ていたり色々と話しこんでいるお客さんを、私は少し離れたところからひそかに見ていた。
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中尾さんはこのインターンで、対話型鑑賞(ACOP)のワークショップを企画し、ナビゲイターも勤めました。