- 2014年12月10日
- イベント
「漆サミット2014 in 京都」に参加しました!
みなさん、こんにちは。
歴史遺産学科の事務担当Jです。
師走も半ばになりつつあります。時の流れはあっという間ですね。
さて、今日のブログは本学科の岡田先生と岡田先生ゼミ3回生達が参加した学会について、
岡田先生ゼミ生である小川沙織さんが書いてくれました!ぜひご一読を。
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歴史遺産学科、文化財保存修復コース3回生の小川です。
今回私は、京都府立大学で開催された「漆サミット in 京都」に参加してきました。
さて、皆さんは「漆(うるし)」と聞いて何を思い浮かべますか?
漆とは、ウルシの木から採取した樹液を加工したもので、
古くは縄文時代から塗料や接着剤として使われています。
身近なところでは、皆さんの家の食器棚にも漆塗りの器があるかもしれません。
現在日本の漆の生産量は年間およそ1トン。
国内消費量の97パーセントを、海外からの輸入漆に頼っている状態です。
生産量の少なさは、国産漆の価格高騰にも繋がり、文化財の修理にも大いに影響します。
日本の文化財を修理する場合、当然その材料には国産の漆を用いると考えがちですが、
実は文化財の修理にも多くの輸入漆が使われているのです。
この問題を憂えた方々の働きかけにより、
来年度から文化財建造物修理の仕上げ部分には、100%国産の漆を使うことが決定したそうです。
これを受けて、午前の講演では(株)さわの道玄の澤野道玄さんと、
(株)小西美術工藝社のデービッド・アトキンソンさんがお話をして下さいました。
午後のポスター展では、漆に関する研究発表がズラリ!
私達、歴史遺産学科の学生が漆を使って制作した伎楽面も会場に並びました。
また今回は、京都市内の4社の精漆会社からそれぞれ代表の方がお見えになり、
パネリストとして発表をして下さいました。
精漆とは、ウルシの木から採取した樹液を塗料として使える状態に精製することをさします。
技術の進歩した現在は、より耐久性の高い漆や、かぶれにくい漆の開発も進み、
食洗機で洗える漆器の制作や、自動車や自転車のフレームの塗装も可能だそうです。
その後のディスカッションでは、今後文化財の修理だけでなく、
一般市場での国産漆の需要を高め、安定供給するシステムを作るには何が必要なのか、
文化庁、林野庁、精漆業者、研究者、漆掻き職人、漆工芸家の方々による、活発な意見交換が行われました。
まだまだ漆文化の入り口に立ったばかりの私は、専門家の皆さんの熱意に圧倒され通しでしたが、
もっと詳しく漆のことを知りたい!という思いを強くする貴重な機会となりました。
古代から今日まで連綿と続く漆の世界、みなさんも是非触れてみてください!