情報デザイン学科

【教員紹介】第2弾:都築潤 先生(後編)

 

今回は都築潤先生インタビューの後編をお送りします!!

( 前回の様子はこちらからどうぞ)

前編では、イラストレーターとしてご活躍されるまでの経緯や

子供の頃のイタズラについてお聞きしました。

後編ではどんなお話が飛び出るのでしょうか?

 

引き続き、 ”つづじゅんイズム” と それに興味津々の学生の様子をご覧ください!

 

(過去のインタビュー記事はこちらから)

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話し手|情報デザイン学科 教授 都築 潤

インタビュアー|イラストコース 3年生 右松 理 さん(写真 右)

        イラストコース 3年生 正木 ゆうひ さん(写真 中央) 

 

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右松(以下、み):先生はこれからどんな大人になりたいですか?

 

都築(以下、つ):世の中の仕組みを知りたいですね。漠然としてますけど。

 

:仕組みというのは政治的な仕組みとか、何か構造を知りたいということですか?

 

:ああ、そう、構造的なものを知りたい。今当たり前だと思っていることについて掘り下げてみたい。絵についてもそうです。なんでこれは「絵」って言うんだろう、とか。もう世の中、謎が多すぎて。

 

:絵って壁画とか、めちゃくちゃ昔からありますよね。

 

:ありますね。ラスコーの壁画とかがイラストレーションの始まりだという人がよくいるけど、僕は反対で。ことば上の問題でもあるし、絵を描くという意味では一緒なんだけど、そこを簡単に繋げちゃうとつまんないと思ってるんですよ。だから美術とデザイン(イラストレーション)も分けたい。でも分けるために両方をよく知らなきゃ分けられないから、わざわざ全部知ろうとしていますね。

 

正木(以下、ま)それってすごい膨大な知識が必要ですよね。仕事も忙しく考えることも多くて、大変じゃないですか?

 

:でも先生はいつでもリラックスしてる感じがします。

 

:虫の居所が悪い時とかもありますよ(笑)

 

:先生でもあるんですか!意外ですね!

 

:よく言われます。大学ではあんまりないですかね。虫の居所というよりも、失敗したあとのショックが大きいので、些細な失敗のダメージが影響している時に、ほかのことも全部立て続けに失敗しますね。

 

:そういう時はどうやって立ち直るんですか?

 

:一番いいのは時間が経つのを待つこと。もう一つは、失敗したことよりもヘビーな問題を抱えることです。その瞬間に前のことを忘れるから。ある時に受けたダメージというのは、その時の自分の心持ちとの相対関係でダメージを受けてただけじゃないか、ってなったりする。ものごとは、絶対にいつでも自分にダメージを与えるような大きなものじゃないっていうのが後からわかるというか。これは立ち直るっていうか、忘れてるっていう言い方かもしれないけど。ダメージは誰にでもあるし、失敗も誰でもすると思うんだけど、そこからうまく回復するようなやり方を自分なりに知っとくといいですよ。あ、あとは運動をすること!

 

:運動は何をされてるんですか?

 

:走ってますよ。あとジム行ってウェイトやってますよ。

 

:えー!!!!意外!!!!

 

:意外とこんなことやってますよ!(ウェイトトレーニングの動きをしながら)

 

:健康のためですか?ストレス解消ですか?

 

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:というか運動しないと体の具合が悪くなるんですよ(笑)一人で黙々とやるのが好きなので、無になってやってます。人によってはゲーム性がないと運動が長続きしない人もいて。たまたま一緒に始めた友達はそれでやめちゃったんですよね。

 

:都築先生には作業的なことが合ってるんでしょうか。

 

:そうですね。単純作業は素晴らしいですよ。頭を空っぽにしてやるのは良い。一定の動きをしたり、一定の動きを見ることって、脳の変な水垢みたいなものを落としてくれるような気がしてサッパリするんだよね。そうすると全く違うところから自分の昔の記憶が立ちのぼってきて、ピッと結びついたりしますね。運動してると特に。

 

:じゃあそういう時にアイデアが出やすくなるんですか?

 

:出ますね。運動してると出てくるのがわかってるから、ジムにある紙切れの裏とか、借りた鉛筆を側に置いてやってます。あとは歩いたりもします。絵を書いたり本を読んだりするときって、だいたい深く一つのことを掘り下げて集中するじゃないですか。でも最初は結びつかなかったものが結びつくタイミングって、その深く掘り下げている時じゃないんだよね。そこが不思議なんだけど。体を動かしたり全然違うことをやってる時に、深く掘り下げたものごと同士がくっつく。だからこの大学の授業でやってることは結構理にかなってるんだよね。みんなで楽しく音楽をかけたり、体うごかしたりする、結びつく環境を作ってる時だと思う。掘り下げたものが一気に解きほぐれてぶわ~っと広がるような空間ですね。その一方で掘り下げる時間も作る。この二つを行ったり来たりすると、あるアイデアが思わぬアイデアに繋がって、それが思わぬことに役立つことがわかると、どんどん連鎖が生まれる。そうなると制作がラクだし、楽しくなりますよ。まだみんなはあんまり実感ないかもしれないけど。

 

:イラストのお仕事の話をもう少しお聞きしたいです。ボツの絵とキメの絵ってあるじゃないですか、先生の場合、あれはどう違うんですか?

 

:自分が決めるよりも人が決めますね。クライアントとかデザイナーやディレクターが。自分はこっちの絵の方がいいなとか、あるいはデザイナーと僕はこっちの方がいいんだけどなと思っても、クライアントの判断は別の方だったというのはよくありますね。こういうことは授業でもみんなに伝えたいですね(笑)

 

:自分が良いと思ってた方が選ばれなかったときは、我慢してるんですか?

 

:最初は我慢でしたけど、今はそれも含んで全部やってる。そうくるだろうなっていうのも予想がつくし。却下されるための絵ともう少し無難な絵をわざと両方描くことによって、それ以上は無難にしないようにする。つまり、あて馬のようなものを作ったりしますね。

 

:あて馬が採用されることは?

 

:ありますあります!気が狂ったような色合いのものが採られることもありました。いずれにしても一番前衛的というか、自分のやりたいものをちゃんと描くことは描く。それが採ってもらえたらラッキーですね。

 

:そういうのは選ばれにくいんですか?

 

:そうですね。でもエポックなことがしにくい仕事ほど報酬がいいんですよ。

 

:自分の気持ちと報酬が反比例してしまうんですね。

 

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:だから以前は相当なやみましたね、「イラストとは何だ」って。ところが、ある時からそうじゃなくなったんです。イラストレーターをなんでこれだけ長く続けられてるかっていうと、自分の価値観とかも含めて変化するからですね。適度にどうでもよくなってくる(笑)

 

:どうでも(笑)

 

:イラストレーターの仕事には、絵を描く以外のことがたくさんあるんです。営業やプレゼン時に備えて、過去の作品データや履歴を更新、制作費の記録も含め整理しておく等、これらは仕事の初期段階に必要な情報ですよね。それに事業税を納めるための確定申告は一人では大変です。あとなんと言っても、人と話すことが多い。スケジュールの相談や制作料などの交渉ごと、デザイナーやアートディレクターとのミーティングが何段階もあるし、ライターや編集者、直接クライアントとのやり取りもあります。そういうのが楽しくないと続けていけないと思いますよ。絵を描くことは、仕事全体の中の一部でしかないかも知れません。だから絵を描くことが好きなだけでは、心が折れちゃうでしょうね。

 

:なるほど・・・リアル

 

:もっともっとお話の続きを聞きたいのですが、今日はこのあたりで。また授業の時にお話を聞かせてください!

 

:ぜひ!

 

:今日はありがとうございました!!!

 

記事/右松・正木

写真/吉本和樹

 

 

《 都築先生に聞いた!  20歳のときに読んでおきたかった本  3選 》

17歳のための世界と日本の見方

「17歳のための世界と日本の見方-セイゴオ先生の人間文化講義」松岡正剛著 (春秋社、2006年)

 

 

進化しすぎた脳_池谷

「進化しすぎた脳-中高生と語る「大脳生理学」の最前線(ブルーバックス)」池谷裕二著(講談社、2007年)

 

痛快!憲法学

「痛快!憲法学-Amazing study of constitutions & democracy 」 小室直樹著(集英社インターナショナル、2001年)

 

 

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あまりに面白い都築先生の答えに、笑いと質問がやまないインタビューとなりました。

 

笑いのなかにある都築先生の鋭い考察を理解しようと、

じっくり噛み砕くように話を聞く学生二人の表情もとても印象的でした。

 

最前線の現場で働く都築先生のお話から、いい刺激をいただけましたね!!

 

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この企画は、約ひと月に1回のペースで更新する予定です。

次回もぜひご期待ください!

 

◉ 過去のインタビュー記事はこちら↓

【教員紹介】① 見増勇介 先生(情Dブログ新企画!!!)

【教員紹介】② 都築潤 先生(前編)

 

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7月12日は一日体験入学の日!

情報デザインコース・イラストレーションコースの普段の授業の

雰囲気が体験できるこの機会に、是非参加してみよう!

詳しくは京都造形芸術大学 ホームページで。

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