- 2015年5月18日
- 日常風景
【教員紹介】第1弾:見増勇介先生(情Dブログ新企画!!!)
今回から、情Dブログの新企画がはじまります!!!!
「情Dにはどんな先生がいるんだろう?」
「先生と学生は普段どんな感じで接してるんだろう?」
「そもそも、このブログを書いているのはどんな人?」
そんな疑問にお応えします!
この企画では、先生方の教育への熱い思いや
プロフェッショナルとしての考えを読者の皆さんに沢山お届けする予定です。
ぜひぜひ情報デザイン学科をもっともっと知ってくださいね!!
まず第一弾は、この春に着任された
”グラフィックデザインの次代を担う情Dのプリンス”、見増勇介先生をご紹介します。
主な授業:情Dコース2年次「思考・発想・表現力基礎」
主な授業:情Dコース3年次「総合演習—グラフィックス—」
デザイナーとして学内外で活躍され、朗らかな人柄で学生にも大人気の見増先生に、
情報デザイン学科3年生の2人組がインタビューしました。
学生時代にデザインへ興味を持ったいきさつや、現在の幅広いご活動だけでなく、
現役学生たちとの楽しげな会話の雰囲気も想像していただけると思います!
(見増先生の詳細なプロフィールはこちらからご覧いただけます。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
話し手|情デザイン学科 専任講師 見増勇介先生
インタビュアー|情Dコース 3年生 井澤 真優さん(写真右)
井澤さんのお友達|情Dコース 3年生 長野 葉月さん(写真左)
井澤(以下、い):まず、学外ではどんなお仕事をされていますか?
見増(以下、み):いろいろやってますよ。主に美術館やアートセンター、アーティストの方々とお仕事をしています。昨年だと、愛知県美術館で行われた『これからの写真展』のアートディレクションやデザイン、ほかには、横尾忠則現代美術館の広報物のデザインをしたりね。本学の教員でもある名和晃平さんや八木良太さんといったアーティストともお仕事をさせていただきました。
い:先生はアーティストとしても活動されていますよね?
み:僕は個人でデザイナーをしているけれど、『intext』っていうグループでも活動しています。メンバーは僕を含めて3人。intextでは、デザインの仕事の中で解決できない興味や問題に挑んでいます。たとえば授業では、コンセプトや、丁寧に情報を伝えることが大事、っていうことをみんな学習してるよね? もちろんそれはとても大切なんだけど、情報を別の角度から見てみること、たとえば、文字を斜めから読んでみる、とか、グラフィックデザインのプロセスを、映像や音響など、別のメディアに置き換えてみる、とか。あるいはもっと直接的な、好奇心を浮き彫りにするような表現を探ってみたりね。そこにコミュニケーションの新しい可能性があると思う。そんなことをデザインの延長線上でやってたら、自然とintextの活動がアートフィールド寄りになっちゃったのかな。
い:先生の展示パフォーマンスを拝見しましたが、いつもの印象とちがって、すごくクールな展示でしたね。
み:ありがとう。僕だっていつもチャラチャラしてるわけではないんですよ!笑
い:授業ではどんなことを教えていらっしゃいますか?
み:今年度から専任講師になったんだけど、それまではグラフィックデザインの基礎と応用を教えていました。たとえば、基礎として文字の組版やレイアウトの仕方、グリットとは何かを教え、それを応用して新しい本やプロダクトを考える、といった授業ですね。
い:『瓜生通信』* ではアートディレクションをされていますね。
瓜生通信*・・・京都造形芸術大学が発行している学園通信広報誌、年4回発行
み:『瓜生通信』は、2013年に、先生としてではなく、デザイナーへの依託としてお話をいただいたんですが、最初はすごく悩みました。でもお話をしていく内に、大学の「良いものを作りたい」という想いがすごく伝わってきた。そういうことなら、やってみたい!と思い至って、仕事を受けました。でも、実際に『瓜生通信』のディレクションをやってみると、学生の意識が高く、そのおかげで僕も高いモチベーションでこの仕事を進めることができてます。逆に僕が学生から教えてもらうことも少なくない。監修の門崎敬一さんの編集の考え方もおもしろくて、とても勉強になっています。
い:「学生から教えてもらうこと」ってどんなことですか?先生になられてからの考え方の変化についても聞きたいです。
み:みんなと僕は世代が離れていて、見ているものや感じていることはかなりちがう。こういうことを実感できるのが、みんなと関わっていて有意義に思うことの一つです。大学のような幅広い世代の人々がいる中でコミュニケーションをとり、自分の意思を伝えることの大切さとおもしろさはいつも感じています。今の学生が何を考えているのか知りたい。そして自分も新しいことに貪欲でありたいなと思うんです。
「最近の若者は…」って、言う人がよくいるけれど、それはちがうなと思います。常に変わり続けるモノやコトや環境の中では、価値観や年代のちがう人たちに、自分から歩み寄ってみることが大切だと、先生になったからこそ思うことができた。これは外の仕事にも活かされています。
い:学生と接する上で気をつけていることはありますか?
み:いわゆる先生と生徒、といった関係には、あまりなりたくないですね。教える、教わる、という一方向的な関係。そういうことも、あるときは大事だと思うんだけど、すべてがそうだと、僕自身もおもしろくないなと思って。いろんなものをみんなと共有したいし、本音で話せる関係でいたいなと思ってます。
い:その感じは先生と話していると感じますよ。
長野(以下、は):うん。
み:ほんとに?でも長野さんはまだ壁を作るよね。
い:先生鋭いですね。笑
み:なんかそういうのはわかるんだよね。僕も昔そんなだったから。
は:じゃあ私も34歳になったら先生みたいになるんですかね!
み:そうだよ、34歳になったら長野さんも僕みたいに横文字使ってるよ!笑
でも本当に、みんなにはがんばってほしいから、時には厳しくすることも必要で、そのバランスはむずかしいですね。
い:でも先生のその感じ、わたしは好きですよ。
み:そう?笑 そうですね〜。僕ももっとみんなと話がしたいし、大学以外の現場でも、もっとみんなと会いたいな。
い:ところで、どうして専任の先生になろうと思われたんですか?
み:実のところ、すごく悩みました。ありがたいことに、個人の仕事が順調だということもあってね。非常勤と専任の先生では責任の重さがちがうだろうなというのは想像できたし。それでも決断した理由のひとつは、これが結構単純で、大学が楽しいから 笑
仕事とグループでの活動と同じくらい楽しい。世代のちがういろんな人たちとコミュニケーションがとれる、っていうこともあるかな。同世代だけだと、その中の物事しか見えないっていうこともよくあるけど、世代が離れていると、いろんな考えや思想の人たちがいる。社会を広く見渡してみても、大学というところはとても興味深い場所だからね。
い:「大学が楽しいから」笑
み:うん、だから誰かのため、というより自分のためです。笑
でも、これって大事なことだと思うんです。まず最初に自分が楽しまないと、誰かのために作ったモノの良さは伝えられないですからね!自分が楽しくないことを、人に楽しいって言えない。
僕が大切にしている言葉があってね。「Stay positive Stay gold」 常にポジティブ、常にキラキラっていう意味。
い:先生、キラキラしてますもんね!
み:ほんと?40歳になってもキラキラできるようにがんばります!笑
みんなは、30代ってどう思いますか?
い:おじちゃんおばちゃんだと思ってます。笑
み:そうなのか!30歳って、学生の時はおじさんおばさんって思うかもしれないけど、全然そんなことないですよ。
い:20代から30代になるのは早かったですか?
み:すごく早かった! 20代はすごく大事!みんな今何やるかですよ。
20代で頑張っている人たちは世の中にたくさんいますよね。デザインやクリエイティブをやっていく人は、20代の内にどれだけ動いて、やっていくかが大事。勝負は常に「いま、ここ」です。
い:ところで先生は、高校時代はどんな子でしたか?
み:僕は帰宅部だったけど、充実した高校生活を送っていましたよ。
高校は進学校でしたが、実のところ、入試の結果、補欠入学で入れた。つまりビリ。スポーツもできない、部活にも入っていないダメなやつだったんです。笑
でも友達には恵まれて、それがすごく幸運でした。高校のすぐ横の丘の上に神社があってね。授業が終わると、そこで集まってダラ〜っとしたり、本を読んだり。毎日、友達とデザインや音楽やいろんな趣味の話を夜遅くまで延々とやってた。その頃はそれがあたりまえの日常だったけど、何がおもしろくて、何が大切なのか、話したり考えたりしながら過ごしたその時間は、今考えると僕にとっての部活だった。大分県竹田市の田舎で、それが繰り広げられていたということも良かった。なんでもない日常がすごくドラマチックでしたね。それが僕のルーツにもなっています。
勉強ももちろん大事だけれど、僕が学んだことはそれ以外の部分が大きかったから、いま高校生活を送っているひとたちも、いろんなことにアンテナをはって、興味のあることはとにかくやってみるといいですね。
い:ということは、デザイナーになろうと思ったのも高校生の頃ですか?
み:そうです。最初はデザインって言葉も知らなかった。海外のCDジャケットや雑誌のデザインが良いなと思って、どうやったら作れるんだろう?と思ったところから入りましたね。ほかには、アーティストからも影響を受けました。
長野さんはアウトドアが好きって言っていたよね。自分の好きなことと職業がつながることはすごく素敵だと思いますよ。
は:特にスキーが好きなんです。
み:じゃあ、スキーとデザインと就職が結びつくとベストですね。そういうことが、今はできると思う。
井澤さんは好きなことはある?
い:海外のデザインや雑貨や建物が好きです。お父さんがチェコのプラハに単身赴任していることも関係してますね。
み:そうなんだ。プラハには行ったことないけど、行きたい! 親族が海外にいるなんて特権ですよ! ほかの文化圏のモノ・コトを経験すると視野が広がるし、大切なことです。デザイナーとしても、「デザイン+何か好きなこと」があるというのは大事だと思う。
は:ホームステイしたらいいやん。
み:英語は喋れるの?
い:いや、あんまり喋れないです。先生は英語は喋れますか?
み:カタコトだけどがんばって喋ってますよ。笑 仕事で喋らないといけない時があるから。
い:やっぱり仕事で英語を使いますか?
み:使います!みんなが社会に出る時には、もっと使うようになってますよ!英語をおぼえたら絶対楽しいよ!!
い:先生はどうやって覚えたんですか?
み:パッション!
い/は:笑
み:情熱ですよ!
は:英語に触れる機会が多かったんですか?
み:そういう機会に触れるように自分から動くようにしました。海外の仕事は待っていても来ないからね。
は:英語を喋るのが得意だったとかじゃなくて?
み:英語が喋れないときから動いてましたよ。どんどん動かなくちゃ! やってみればどうにかなる!って思って。好きなことだったらどうにかなるもんですよ。パッションがあればなんとかなる!笑
み:最後にみんなに聞きたいことがあるんだけど、大学は楽しい?
い/は:楽しい!
み:どんなところが?
い:いろんな人がいるから、刺激されたり、知らないことを知れたり、そうゆう機会がいっぱいあるところかな。自分が変わるきっかけを与えてくれるのもありますね。
は:私の出身高校は農業高校で、高校時代はニワトリや野菜を育てていたんですけど、そのときから趣味みたいな感じでデザインが好きで、大学に入ってからアンテナがビュンビュン伸びました!
地元ではそういう話を共有できる友人がいなかったけど、大学に来るとデザインやアートについて勉強したい人たちが集まっているから、自分は後ろの方に居るような気もする。でも、みんなを追いかけるのが楽しい。
み:なるほどね。よかった。楽しいって言ってくれて。もし、後ろから追いかけている状態の自分に劣等感を感じることがあったとしてもね、将来、それはきっと力になりますよ。僕なんて劣等感のかたまりだからね。でも、それを武器に変えていくことはとても大切なことですよ。
い:先生はそんな感じに見えないですね。
み:そんなことないよ〜僕はダメな人間ですよ…
い:そんな蔑まないでください。笑 もし、劣等感を感じて、凹んでしまうときはどうすればいいですか?
み:どうやってもうまくいかない時は何もやらないとか、まったく別のことをするようにしています。最近はなかなか行けなくなっちゃったけど、旅に出るとか、釣りに行くとか。一回離れてまたそこに戻ってきた時に、ああ大した問題じゃなかったなと、別の視点から見れる感じがあるんですよね。そういった意味では、思考や構想の段階で、逃げることやあきらめることも、一概にわるいことではないと思います。どの程度までがんばるか、というバランスは必要だけどね。
い:なるほど。
み:僕もうまくいかない時だってありますよ。それが思考の段階なら、あきらめて別の手段を選んだりもします。もちろん究極のところまで粘りもしますけどね。
い:実際に悩んでいる時は、「あきらめる」っていう決断をするのも結構むずかしいと思うんです。あとから考えて、その判断を後悔したことはないですか?
み:ないです。自身の表現を信じているし。
制作に関して言えば、直面している物事に向かって、自然と集中している状態が理想です。でも、もちろんそういう都合のいいことばっかりではない。好きなことをやり遂げるためには、やりたくないようなことでもやらなければならないことが確かにあります。けれど、それが自身を育ててくれていたりもするんですよね。なにより好きなことをするためですから、余裕で乗り切れます。
い:何かをやり遂げる時に、そういう葛藤は一度は経験しますよね。やりたいことをするためなら力が湧く!自分の好きなことは大切にしたいです。それではこのあたりでインタビューを終わります。今日はありがとうございました!
記事/井澤
写真/吉本和樹
《 見増先生に聞いた! 20歳のときに読んでおきたかった本 3選 》
「不在への問い」 高松 次郎 著 (水声社、2003年)
「ブック・アートの世界―絵本からインスタレーションまで」 中川 素子 編、坂本 満 編 (水声社 、2006年)
「メディアはマッサージである」 マーシャル・マクルーハン 著 (河出書房新社、1995年)
ーーー
お茶目なお兄さんのような、尊敬できる先輩のような、頼れる見増先生。
学生に負けないくらいキラキラした顔で色々なお話をしていただき、
インタビューにのぞんだ二人も感心と爆笑の連続でした。
情Dブログでは、これからも先生方や研究室のスタッフをどんどんご紹介していきます!
乞うご期待ください!!!!!
↓先生方の公式プロフィールは、こちらからご覧頂けます
情報デザイン学科専任教員一覧
https://www.kyoto-art.ac.jp/info/teacher/?subjectCd=4#teacher-search
スタッフ:モリカワ