- 2015年7月3日
- 日常風景
【特別講義レポート】『不良盲人と呼ばれて~アイデンティティを作る旅』ゲスト:白鳥健二さん
特別講義『不良盲人と呼ばれて~アイデンティティを作る旅』が、7月1日(水)に開催されました。
タイトルにある“不良盲人”とは、ゲストの白鳥健二さんが、全盲である自身を表すものとして用いられている言葉です。
今回は「障がい者」「社会的弱者」として扱われてしまうことへの反骨心から始まった、白鳥さんの「アイデンティティ」を作る人生の旅について、ASP学科の伊達先生との対談形式でお話しいただきました。
白鳥さんは美術館での作品鑑賞を趣味とされています。
美術館によっては、作品に手で触れて鑑賞をする“タッチツアー”を実施していることもありますが、白鳥さんの場合は、一緒にまわる美術館スタッフに、言葉でその作品について説明してもらって鑑賞をされます。その時の説明とは、作品の“解説”ではなく、作品から受ける印象や率直な感想、雰囲気なのだそう。
そうした人と対話をしながらの作品鑑賞を続けていくうちに、ある時「目が見えるからといって、完全なものを見ているとは限らない」ということに気が付いたといいます。そして次第に「見える人」と「見えない人」の間に感じていた壁のようなものが気にならなくなっていったとおっしゃっていました。
白鳥さんの体験は、「目が見える/見えない」という話を超えて、「ものを見る」とはどういうことかということを、私たちに投げかけておられるように感じました。
「見えない分みえるものがある」ように「見える分みえないものがある」ということでしょう。
作品を鑑賞するということを通して私たちが見ているのは、作品の外にある自分自身の価値観や考え方なのかもしれません。
■以下、学生レポートから抜粋■
・“障がい者に優しい世界”として扱うことによって健常者との壁をつくってきたのは私たちなのではないか。健常者も障がい者もお互いに遠慮しあって、白鳥さんのいっていたような“見えない壁”を作り上げてしまっているように感じた。
・目が見えなくても美術館で鑑賞することができる。だから目が見えないことは辛いことではなく、一番辛いのは「想像できない」ということなのかなと思いました。
・目が見えている人の見えているものは完全ではないことに気付かされました。実際に自分も作品などをみるときに、目に映るすべてのものを見れているか?と疑問に思いました。芸術鑑賞は視えるものが全てだと思っていましたが、視的なものでなくても楽しめるということが聞けて、芸術は万人が楽しめるものなのだと感じました。
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