アートプロデュースコース

【特別講義レポート】『写真がうつす過去―写真と記録―』ゲスト:林田新さん

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12月02日の特別講義は、京都市立芸術大学芸術資源研究センター研究員の林田新さんにお越しいただき『写真がうつす過去―写真と記録―』というテーマでご講義いただきました。

 

ASP学科には写真に関心がある学生が多く、難解なテーマながらも林田さんのユーモアも交えつつのとても分かりやすいお話に熱心に耳を傾けていました。

写真には「現実を忠実に記録する(べき)もの」であるという考えと、「嘘をつく」という対立する考えとが存在するといいます。この「写真=記録」なのかという写真の根本に迫る問いについて、プリクラやアプリによるいわゆる「サギ写」、SNSや宣伝広告など他者にイメージを伝えるために演出された写真、何か特別に体験したことの記録としての記念写真、亡くなっても存在をそばに感じるための遺影などの例をあげて解説いただきました。

それについて林田さんは、写真と記録の関係については「真」か「嘘」の二元論で考えるのではなく、その時に見ている人との関係に起こる現象(再生)としてとらえ考えることが重要だと述べられていました。

 

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■以下、学生レポートから抜粋■

 

・私達の身の周りのポスター、FacebookなどSNSにあげられている写真は、どうやったら見る人に良く見えるのか工夫がされていて、現実と比較するとある意味で「詐欺」。他者の評価を気にしなければ投稿ができないのはなんだか怖い。自分を日々作っているのだと考えると、本当の自分は何だろうなと思いました。

 

・写真とは機械的に自然の状態を撮ったものだ。しかしながら、カメラはある意味では撮影する人間の「主観」によって扱われるものであり、できた写真はみる人の「主観」によって解釈されるものでもある。

主観ということは、当人にとっては「ほとんど真実」ではあるけれども、一方では他者にとっては「嘘」あるいは腑に落ちる内容ではないかもしれない。真実を生み出しているのは写真をみて、想像している私たち自身なのだ。

 

・写真の虚実は理性や理屈としては分けることは出来るけれども、感性の部分ではどこか嘘だということは出来ない。ただ正しいものを記録するための装置ではない。記録を再生するもの、それは再生者に依存するものだと思った。

 

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