こども芸術学科

基層文化映像鑑賞会開催のお知らせ:12月22日(金)鑑賞無料!

基層文化映像鑑賞会

 日本における基層文化の記録映像鑑賞会を行います。映像は、民族文化映像研究所が(主に所長だった故・姫田忠義)1960年の初頭から日本列島の農山漁村を訪ね、その地の人びとの生活と生活文化を映像手段で記録したものです。今回は、その中の民俗学シリーズ・日本の姿、第一集の椿山 −焼畑に生きる(高知県池川町椿山)と、山に生きるまつり(宮崎県西都市銀鏡)の2本を鑑賞いただきます。

 人と自然が互いに尊重して生きるその光景は、瑞々しく感じます。今の時代だからこそ見るべき映像であり、自然と共に素直に生きる根源的な在り方は、私たちに様々な気づきを与えてくれるはずです。

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 今回の基層文化記録映像の上映は、こども芸術学科教員であり美術家の村山修二郎が2012年に東京の3331アーツ千代田ではじめて見た時の映像の衝撃と感動から、今回民族文化映像研究所の映像を見ていただく機会を大学内外にむけてつくりました。2012年は、まさに東日本大震災後にこれからの人と自然との関係を見つめ、未来に向けてどう生きるのか?と自身と他者に投げかけ問う機会であったかと思います。

 ただ単なる甚大な自然災害ではなく、原発等の人が人工的につくり出したエネルギーにおける様々な諸問題が人と自然とのこの背景を、ややこしくしてしまったのだと思います。

 

日時:2017年12月22日(金曜日)14時50分から16時10分(14時45分までにお越しください。終わりの時間が多少前後することもあります。)

場所:京都造形芸術大学・至誠館4階(S-41

鑑賞料:無料(だれでも自由にご覧いただけます。ただし、途中入室は出来ません。前半のみ、後半からなど、一つだけの観覧も可能。)

主催:京都造形芸術大学こども芸術学科(企画担当教員・村山修二郎)

 

タイムスケジュール:

○14時45分までにS41の会場に集合してください。

○14時50分から55分映像会の説明

○14時55分から15時25分 椿山焼畑に生きる

 休憩

○15時30分から16時00分 山に生きるまつり

○16時00分から16時10分 感想とアンケート

※終わりの時間が多少前後することもあります。

 

基層文化と民族文化映像研究所について確認しておきましょう。

「基層文化(きそうぶんか)」とは:

ある民族の文化の根底にあってその文化の存立を支えている部分をいう。土壌の分析における表土に対する底層、道路舗装における表層と区別される基盤的な層を基層とよぶことがあり、文化の構造にも似たことがあると考える立場から出たことば。表層文化に対置する。社会の階級や身分には、上層・下層があり、文化もそれに結び付くことが多いが、それとは別に、どの民族にも、高度の価値発揮に連なり個性的・創造的で、多く時代性を伴う文化があるとともに、集団的・類型的に一般化して長い世代にわたり持続し伝承される文化が認められる。ハンス・ナウマンHans Naumannは、前者を表層文化、後者を基層文化と命名した。上層文化・下層文化の概念とはいちおう区別され、後者が、身分・階級にかかわらず、日常的に営まれる伝承的・慣行的文化として存在することに注目するのである。したがって今日、ある民族の基層文化は、伝承文化、民俗文化、常民文化などといわれるものとほぼ一致する。萩原龍夫

[基層文化 コトバンク 小学館 日本大百科全集(ニッポニカ)https://kotobank.jp/word/基層文化2017.12.18]

 

民族文化映像研究所:

 民族文化映像研究所とは、1961年の設立以来、日本の基層文化を映像で記録・研究することを目指して出発した民間の研究所です。北緯20度から北緯45度に到る、約3000キロメートルにも及ぶ長大な「日本列島」。そこには何十万年という長い「歴史時間」の中で培われた「自然との深い対応と共生」の人間生活・文化があります。
 その「自然との深い対応と共生」のありようを、見つめることによって、映像により明らかにしようとしてきました。そしてその作業は日本にとどまらず、フランスなど世界諸民族の地へも拡がりつつあります。        これまでの40年以上の活動から、118本の映像作品と、150本余りのビデオ作品を生み出しました。

 

姫田忠義映像民族学者・民族文化映像研究所所長の話:

「深く、豊かなものを」

私たちの活動の初源は、1961年(昭和36年)でした。
 以来、ひたすら日本列島の特に農山漁村を訪ね、その地の人びとの生活と生活文化を映像手段(映画フィルム、近年はビデオ)で記録する作業をつづけてきました。
 志すところは、日本列島で培われ伝えられている深く豊かな人間の生活と生活文化のありようを、可能なかぎり明らかにするということでした。日本の基層文化を明らかにする、そういう言い方をしてきました。
 今ではなくなってしまった自然や生産のかたち、姿を変えてしまった風俗や技術。
 ときあたかも日本が高度経済成長期に突入していった時代でした。そしてそれにつづくバブル経済の露呈・崩壊の時代でした。私たちが出会う深く豊なものが、次次つぎに、無惨に壊され、消されていきました。
 はからずも私たちの活動は、この国の自然の中で育まれた豊な生活文化をぎりぎりのところで記録していくことになったのです。

[社会教育|日本の文化 制作・配給・販売 岩波映像株式会社http://www.iw-eizo.co.jp/sell/society/06/so_06_nihonnosugata.html 2017.12.18]

 

 

最後に、村山が京都で見た日本におけるささやかな生活の中の基層文化の源流を少しだけ紹介します。

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今宮神社にて:野菜を改めて見ると美しいものですね。

 

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上賀茂神社にて:水と空気と植物により、人が洗われるようです。

 

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こちらも上賀茂神社。何か地のエネルギーを感じますね。

 

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藁縄、石、木。自然で出来たものの形は、完全に均一化されていないところが美しいですね。

 

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平野神社にて:こちら茅の輪つくりの現場に遭遇。京都の6月は、茅の輪を沢山見ることが出来ます。円形は基本ですが、つくり方や形は様々です。

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白峰神社:

 

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建勲神社:

 

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くぐり方:八の字をえがいてくぐります。

 

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人と自然とのささやかな対話のような気もします。そんな人と自然との素直な関係が、だいぶ崩れている今の時代を危惧しています。

若い学生の皆さんは、自然から遠く離れた場所で生きてきているので、自然との記憶がたどれない世代になっていますね。それでも、太古以来、人と自然が密に関係し生きてきた遺伝子は受け継いでいます。

今回の、基層文化の記録映像はとても貴重なものです。若い方、年配方含め皆さんがどのように感じてもらえるのかとても楽しみにしています。

 

(教員/村山)

 

 

 

 

 

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