- 2018年2月19日
- イベント
【卒業展】論文発表会、授与式を行いました
2月17日(土)、18日(日)の2日間、卒業論文発表会が開催され、会の最後には授賞者発表と授与式が執り行われました。
卒業生が卒業制作として執筆した論文の目的や内容、研究の意義を発表し、会場には1~4回生の在学生と今年度もたくさんの卒業生にご参加いただきました。
ゲストには次年度より授業をご担当いただく山下晃平さんをお招きし、発表について適宜コメントをいただきました。
質疑応答の時間は、多角的な視点でさまざまな質問や感想が飛び交う場となりました。意見のひとつひとつが卒業生それぞれにとって、新たな発見があり、これまでの研究を顧みるものであり、次のステップに進む大きな活力にもなったのではないでしょうか。
これから論文を執筆する下級生たちにとっても、有意義な発表会になったと思います。
今年度は学長賞、優秀賞、奨励賞、同窓会特別賞に加え、発表会の内容に対して観衆の投票で決めるASP学科オーディエンス賞、卒業制作展の展示内容に対して来場者の投票で決まる「卒展賞」を計4名が受賞しました。
●【学長賞】【オーディエンス賞】 : 中原 桜子
『学生能基礎研究――喧噪社会から戦時体制下へと移りゆく世で学生を誘う能――』
[教員コメント]
戦前・戦中の関西では、学生を対象とした能の観賞会が開かれていた。この学生能の実態は能楽研究の中でも詳らかに
されてはいない。学生能とは、どのようなもので、なぜ行われたのか。山本能楽堂アーカイブプロジェクトへの参加を
契機に学生能の存在を知った筆者は、多量な資料を根気よく渉猟し、同時代の文化的・社会的状況に目を配りながらそ
の実態を解き明かしていく。その考察の歩みは堅実かつ愚直であり、そのことが本論の学術的な価値を確かなものにし
ている。しかし、それが学生能への強い知的好奇心に駆り立てられたことの帰結であることは強調しておきたい。
●【優秀賞】【卒展賞】 : 耕三寺 顕範
『合掌と眼差し――宗教施設としての耕三寺、観光地としての耕三寺――』
[教員コメント]
自らの実家という私的な考察対象を扱いながらも、宗教と観光をめぐる普遍的な問題圏へと肉薄しようとする意欲的な論文である。本論を執筆したことが、いずれ実家を継ぐこととなる筆者の糧となることを願ってやまない。
●【奨励賞】【同窓会賞】 : 石山 浩美佳
『演劇的手法を用いた弱者の権威の見直し』
[教員コメント]
現実の人間関係に生じる問題を演劇という視点から捉え直し、超克しようとする意欲作。私たちが無自覚に内面化する権威や役割意識を演劇的手法で解きほぐす本論には、筆者の人と演劇への期待と信頼が底流している。
●【奨励賞】 : 水田奈穂
『「ひきこもり」が「私」に投げかける問い』
[教員コメント]
「ひきこもり」を本人とその家族の問題に閉じ込めず、同級生や教員をふくめた「私」への問題提起であると提示。
一昔前の共同体幻想に頼らず、不在の者(ひきこもり)に意識を注ぐことが「私」たちの共同体になりうると希望
を引き寄せた。
みなさん、おめでとうございます。
論文発表会までそれぞれが感じた苦しさも喜びも、4年間を通して得てきたものは今後生きていく中で力になってくれると思います。
そうした経験を活かして、今後またそれぞれの分野で人生をサバイブしていってもらえたらうれしいですね。
発表会にご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!