文芸表現学科

「ことばの葉っぱ」で詩をつくろう!

 
現代詩をワークショップ形式(演習)で学ぶ授業、「創作ワークショップⅣ/創作Ⅰ」。
この授業では、1,2年生が先輩・後輩の垣根をこえて詩の創作に挑戦しています。
 
担当してくださっているのは、比較文学・日本文化・日本語表現を専門に研究されている君野隆久先生。
普段はひょうひょうとしたお茶目な先生ですが、
詩や文学の話となると研究者としての熱い一面がのぞきます。

君野先生。お写真撮らせてくださいとお願いしたら、「照れちゃうなぁ」とこのポーズ。

君野先生。お写真撮らせてくださいとお願いしたら、「照れちゃうなぁ」とこのポーズ。


 
そんな君野先生との授業ですが、10月4日(木)の授業では、
グループごとに1つの詩をつくる「ことばの葉っぱのワークショップ」が行われました。
これは和合亮一さんの『詩の寺子屋』の中で紹介されているものです。
 
 
まず、グループに分かれて、それぞれに10枚ずつ配布された緑色の紙を葉っぱの形に切っていき、
そこに自分の好きな言葉を書いていきます。
葉っぱの切り取り方も様々です。

葉っぱの切り取り方も様々です。


どんな言葉を書くのかな。

どんな言葉を書くのかな。


 
 
完成したら、グループごとにそれぞれの葉っぱを並べて、言葉の組み合わせを考えていきます。
ほかの人の言葉や感性にふれることで、小説やレポートを書くときには思いつかないような、
おもしろい言葉の組み合わせができてきます。
組み合わせに正解はありません。みんなが好いと思う組み合わせを考えていきます。

組み合わせに正解はありません。みんなが好いと思う組み合わせを考えていきます。


 
 
 
組み合わせができたら、詩になるよう組み合わせの順に文章を考えていきます。
変わっていても、意味がつながらなくても大丈夫。
このワークショップで大切なのは、みんなでワイワイしながら詩について考えるのが大切なんだそう。
このグループは、それぞれで文章を考えてから、1つの詩にしていったようです。

このグループは、それぞれで文章を考えてから、1つの詩にしていったようです。


 
 
そのなかで、特に話し合いが盛り上がっていたグループの詩をご紹介します。
 
 
葉っぱ1班
「光栄の行ったきり」
 
バイト先のネットカフェにはゴルゴ13の14巻だけない
夕焼けの帰り道にろうがふうふうけんの練習
干さない洗濯物が鼻をかすめる
さしずめ威力55命中率95
 
廃校に佇む
死にそう
いや生きろよ
 
窓から眺める青空は群青。
HERO 翡翠の狼
ランダムリピート
 
真夜中のプール
充電中につきコントロールは不能ニナッテオリマス
気づいたら雨上がりの空
黒字の白(あか)全て正解
ひとりきりの教室で赤い月を見る
シックないすに腰掛けて、虹の行く先は職員用トイレ
吐くだけ吐いたら空の身体
7.0GBは泡沫に消える
これは僕の経験則
 
葉脈
蛙の子守唄
ランダムリピート
 
あ+うん=指某
 
 
暗い昼
チェックアウトはあなたで最後。
音を消し
光も消し
 
戸締り確認
しめて電気代は1512円也
元気百倍動植物
 
ところで、君の足は細いね。
スピニングカット
 
 
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一緒に詩をつくるという初めての体験に四苦八苦しているグループもあったようですが、
完成した作品には、独特な表現の文章が並んでおり、読みごたえのある作品になっていました。
 
 
文章を書き上げる作業は1人で行うことが多いですが、そこに書かれている言葉は、
何かで聞いたり読んだり教えてもらったりと、初めは自分の「外」にあったものです。
学生たちにとって「ことばの葉っぱのワークショップ」での体験が、
幼かったころのように、外から言葉を取り入れることや、
外に向かって伝えることのおもしろさを思い出すキッカケになってくれていれば良いなと思います。
 
 
 
 
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この授業を受講している学生たちには、
10月25日(木)に開催する「多和田葉子 詩のワークショップ」に参加してもらいます。
世界で活躍する小説家であり詩人の多和田葉子さんから、学生たちはどんな言葉を吸収するのか。
今から楽しみです。
(文芸表現学科の学生は聴講自由ですので、授業のないみんなは参加してね〜)
 
 
tawada
「多和田葉子 詩のワークショップ&朗読と講演」
開催日 2018.10.25(木)
第一部 詩のワークショップ(文芸表現学科学生のみ
    15:00-17:00/NA207教室
第二部 朗読と公演(一般聴講可
    18:00-19:30/NA401教室
    ※お申し込みは不要です。
共催 文芸表現学科/大学院
問い合わせ office@creativewriting.jp(担当:竹内・大賀)
      606-8271 京都市左京区北白川瓜生山2-116
      075.791.8039(平日:09:00-17:00)
      
 
多和田葉子(小説家/詩人)
1960年、東京生まれ。早稲田大学文学部卒。1982年、ドイツ・ハンブルクへ。
ハンブルク大学大学院修士課程修了。チューリッヒ大学大学院博士課程修了。
1991年「かかとを失くして」で群像新人賞、1993年「犬婿入り」で芥川賞、2000年『ヒナギクのお茶の場合』で泉鏡花賞、2002年『球形時間』でドゥマゴ文学賞、2003年『容疑者の夜行列車』で谷崎潤一郎賞、伊藤整文学賞、2011年『尼僧とキューピッドの弓』で紫式部文学賞、『雪の練習生』で野間文芸賞、2013年『雲をつかむ話』で読売文学賞と芸術選奨文部科学大臣賞(文学部門)を受賞。近著に『献灯使』などがある。日独二ヶ国語で作品を発表しており、1996年にドイツ語での作家活動によりシャミッソー文学賞、2016年にはドイツで最も権威のある文学賞のひとつクライスト賞を受賞。2006年よりベルリン在住。
 
 
 
(スタッフ・大賀)
 
 
 
 
 

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