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2019年2月15日  ニュース

卒業展|卒業論文 受賞者発表!

みなさん、こんにちは。アートプロデュース学科です。

2月9日(土)にオープンした卒業展も残り3日となりました。平日もたくさんの方にお越しいただけて、嬉しいです。

 

さて、先週末の9日、10日の二日間で「2018年度 アートプロデュース学科 論文発表会」を行いました。

26名の4回生それぞれが、数年かけて書き上げた論文の研究テーマについて発表を行い、最終日に7名の受賞者が発表されました。

以下、受賞者と担当教員のコメントをご紹介します!

 

同窓会賞 : 西 沙矢子

カッコよくて野暮ったいひらパー兄さん —標準性と土着性の間で苦悩した、ひらかたバーク100年の歴史から生まれた男一

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受賞コメント

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「ひらパー兄さん」で知られる「ひらかたパーク」は、日本に現存する最古の遊園地である。枚方に住む筆者は、この遊園地のおよそ100年続く歴史を、時代の流行を柔軟に取りこみながらそれを土着化してきた過程として丹念に記述したうえで、「ひらパー兄さん」という奇妙なキャラクターのヴァナキュラーな性格を析出していく。多様な資料を精緻に読み解くことで歴史を紡ぎ、それを「ひらパー兄さん」へと修練させていく手付きは繊細かつ大胆である。このようして筆者が描き出そうとしているのは、遊園地の客観的な歴史というよりはその「生き様」なのであり、そのことが本論をより魅力的なものにしている。(林田 新)

 

 

田川とも子特別賞 : 栗田 野乃花

戦略としての16世紀イエズス会茶の湯 —巡察師ヴァリニャーノの日本人理解からの再考―

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受賞コメント

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歴史は、単に過去の事実の静的集積ではない。それは出来事の動的な関係性であり、現在に問われて更新され、未来に開かれた案件である。そのことをあらためて教えてくれる、骨のある論文。

本論執筆者は、16世紀に来日したイエズス会宣教師が布教に際して日本の茶の湯を取り入れたという史実に着目、当時の巡察師ヴァリニャーノが残した記録を軸として緻密な調査分析を施した。そして、先行研究における定論を打破し新しい見解を確立している。茶の湯の精神に通じる透徹した清浄さと、遠く未知の異国へと乗り込んだ当時の宣教師にも通じる気概を併せ持ったような、地味ながらホットな佳文である。(田川 とも子)

 

 

奨励賞 : 平下 弥優

がんじがらめのマリオネットからの解放
――TV番組「山田孝之の東京都北区赤羽1(2015年)からみるオリエンタリズム的自分探しとその終焉――

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受賞コメント

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「自分探し」に悩む人は多い。「自分探し」とは何をすることなのか。それは有効なのか。本論は、俳優山田孝之が赤羽に「自分探しの旅」に赴くTVドラマ『山田孝之の東京都北区赤羽』(2015)の分析を通じてこうした問いに取り組むものである。エドワード・サイード『オリエンタリズム』を糸口にした考察を通じて、筆者は「自分探し」に潜むご都合主義的で非対称的な「他者」探しの構造を析出し、最終的に「自分」とは探すものではなく自らプロデュースするものであると主張するに至る。山田の旅路と誠実に向き合うことで導き出されるこのテーゼは、「自分探し」に悩む多くの人に力強く響くことだろう。(林田 新)

 

 

奨励賞 : 原田 遊歩

信頼のレッスン ー関係の固定化をときほぐす、共同体からの一時的な離脱としての観光客的振る舞い―

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受賞コメント

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気心の知れた人たちと過ごすいつもの場所の、安心感と息苦しさ。旅先で見知らぬ人に接する緊張と開放感。実体験から得たその差異を出発点に、筆者はいつもの場所=共同体の構造を明らかにしようと格闘する。社会心理学者の山岸俊男の理論をベースに、共同体を維持するための構成員同士「安心」が個人にはしがらみに変容する様を明らかにした。そして安心に慣れた私たちが共同体に属しない者を「信頼」する練習として、東浩紀の観光客論を下敷きに共同体からの一時的な離脱としての観光を提唱する。しがらみから逃れられない現実と折り合いをつけながら、新たな世界との接触を諦めない希望を描いた労作。(山下 里加)

 

 

奨励賞 : 金森 一晃

日本国憲法(大日本帝国憲法)「再定」論

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受賞コメント

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改憲か護憲かで意見が割れる現行の日本国憲法。しかし、筆者はその議論の手前に横たわる「日本国憲法の決定権者は誰なのか」という問題に着目すべきだと言う。現行憲法は国民主権を謳っていながら、天皇主権を掲げるかつての大日本帝国憲法の影響を脱しきれていないのである。主権者をめぐるこのねじれを解消すべく、筆者は、日本国民が自らの憲法を引き受けるのか否かをあらためて決定すべきであると訴える。ルールの決定者を明確にし、決定者はその決定権に自覚的であるべきだというこの問題提起は、たんなる憲法論の枠を超えて、他者とルールを作りながら生きること一般について考え直させる力を持つ。(阿部 将伸)

 

優秀賞 : 中川 恵理子

「ゴット」は存在し続けるのか —展覧会「ゴットを、信じる方法。」から考えるメディアアートの新たな保存—

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受賞コメント

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匿名のコレクティブ「ゴットを信じる会」を有志で結成し、二台の光学マウスが起こす現象に想いを馳せるメディア・アート作品 エキソニモ《ゴットは、存在する。》(2009)を、再制作・検証するプロジェクト。近年、ニューメディアを用いた美術作品の保存修復への議論が高まりを見せている。筆者は、メディア・アートにいとっての「再制作」という行為そのものをテーマとし、2018年におけるメディア環境に対応する形で当作を再考した。そのプロセスや、当時の展示鑑賞者へのインタビューなど調査記録までを含めた展覧会を実施し、ニューメディアによる美術作品の、新しい保存方法について提案した。(山城 大督)

 

 

学長賞  :  川名 佑実

衣服における「第二の皮膚」概念の系譜とその更新のあり方 ―ISSEY MIYAKE〈TattooBody〉から〈A-POC〉、そしてSOMARTA〈Skin〉へ—

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受賞コメント

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1980年代から1990年代の日本では、ファッションを批評する言葉の一つとして「第二の皮膚」という概念が鋭い切り口を提供していた。その後この概念はいかなる意味内容の変遷を遂げ、今でもなお批評言語として有効なのか。筆者は「第二の皮膚」を語る言説と「第二の皮膚」を体現した衣服との間を往還しつつ、現在におけるこの概念の限界と可能性を剔抉する。ファッションを語る言葉の窮状を打破せんとする批評意識にも貫かれた意欲的な学術論文である。とりわけ、SOMARTAの《Skin》を実際に身につけその肌触りから説き起こしたことは、観念的な議論に走りがちな筆者にとって大きな挑戦だったにちがいない。 (阿部 将伸)

 

 

以上、7名の学生が受賞しました。

みなさん、おめでとうございます!!!!

とても嬉しそうな7人。今後の活躍にも期待です。

とても嬉しそうな7人。今後の活躍にも期待です。

 

発表会に参加できなかった方も、卒展会場で論文をご覧になれます。

最終日は2月17日(日)18時までです。ご来場お待ちしています!

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