情報デザイン学科

【情デの卒展】Tsutaeメンバーが選ぶ卒業展の作品!VCDコース編

 

みなさんこんにちは、すっかり春が目の前まで来ていますね。

大学の桜はとても綺麗なので咲くのを密かに楽しみにしています。

 

さて今回は2月9日から17日まで行われた卒業展のインタビューです!

今回の記事はビジュアルコミュニケーションデザインコースとイラストレーションコースに分かれ、

各領域ごとで実際に展示を見てまわりました。

 

そこで私たちtsutaeメンバーが同じ学科で学ぶ後輩としてぜひ紹介したいと思い、

選んだ作品を紹介していきます!

 

 

 

 

まず最初に【A領域(グラフィック)】。その人ならではのグラフィックを追求し実験しているような作品が数多く並んでおり、多様な表現を見ることができました。

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その中で私たちが選んだのは、岡田摩耶さんの作品『Jugendgedenken』です。

この作品はヘルマン・ヘッセの『少年の日の思い出』を題材として

主人公に芽生えた消滅の美を表現したもので、

インクではなく粉末で印刷された蝶たちは動かすとその形は崩れてしまいます。

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まるで博物館のように並ぶ美しい蝶たちは、教室の外からでも興味を惹き、

より近くで見たくなります。ひと目見た時の美しさに加え、近づいた時の発見。

そしてコンセプト文を読んだ時にすべての表現がつながる気持ち良さがありました。

それでいて“粉末でのシルクスクリーン”だったり、動かすと崩れてしまうという表現のユニークさもあり、岡田さんの作品をぜひ紹介したいと思いました。

 

作品を紹介するにあたり、岡田さんにコメントをいただけたので紹介します。

 

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1. 作品のコンセプト・意図について教えてください。

 

「この作品は、ヘルマン・ヘッセの小説『少年の日の思い出』を題材に、

作中に描かれる主人公の蝶に対する偏愛や、蝶を壊してしまったことによって芽生えた

“消滅の美”を表現しました。その脆さ・儚さを表現する手段として用いたのが、

シルクスクリーンを使用した粒子のグラフィックです。

この作品は、シルクスクリーンを使った版表現のひとつでありながら、

インクの代わりに粒子を使用することで、簡単に崩壊してしまいます。

《情報を定着させ、保存していく》という印刷の前提に反して、

《定着しない・残らない》表現に振り切ることで、

崩壊する寸前の緊張感や、脆さ、危うさのなかにしか見れない美しさを表現しました」

 

 

 

2.作品を作るに至った経緯、制作する上で苦労したことは?

 

「もともと、作り始める前に完成形が想像できないものや、

言葉で説明しても伝えきれないような作品をつくるのが好きで、

実験のように制作を楽しんでいました。

《説明書どおりに道具を正しく使うこと》にこだわらない性格のおかげで、

《シルクスクリーンにはインクを使わなくてはいけない》という概念に囚われることなく、

結果として独自の技法に出会えたように思えます。

実験を実験で終わらせないように、そこからどうやって表現を自分のものにするか。

一時期思い悩んでいましたが、数年前に読んだヘッセの小説の記憶と結びついてからは、

悩むこともなく淡々と形創られていきました」

 

 

 

 

次に、【B領域(エンターテイン)】では、

今あるものやことを違うメディアを絡めて楽しませる表現をした展示が多くあるように感じました。卒展では「こうあったらいいな」とか「これって綺麗だよね」などよりも、

個人の心の感性が出ているように感じてデザインっていいな!と思う展示でした。

 

その中で私たちが推したい展示は伊藤瑞希さんの『てんじってなんだってんじ?
』です。

 

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〜【GIF動画】〜

 

 

 

自分で見たい文字を選ぶと実際にその文字についてのモーショングラフィックが表示されます。

展示空間には実際に点字を体験できるブースも併設されています。

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誰しもが一度は授業や表示として見たことがある点字。でも読める人は少ない。

その問題をモーショングラフィックと『あいうえお表』を組み合わせて表現している作品です。

知ってるようで知らないものを楽しませる。楽しんで知ってもらうためには?

デサインを考える時に根端にあるものを、

伊藤さんのオリジナルの方法で表現しているのにとても惹かれたので選ばせていただきました。

 

 

以下は伊藤さんへのインタビューです。

 

 

1.点字を取り上げた意図もしくは経緯を教えてください。

 

「B領域共通テーマの『エンターテイン』から、

触るためにデザインされたものに焦点を当てリサーチした結果、点字にたどり着きました。

点字を見たことやなんとなく触ったことがある人は多くても、

読めたりかけたりする人は少ないと思います。

日本点字図書館さまへのリサーチの中で、盲目の方は後天的盲目の方が多く、

点字の普及率は非常に低いということを知りました。

目の見える私たちがいま点字を学ぶきっかけがあればいいのにと考え、

楽しく点字を学ぶコンテンツを作りたいと思いました。」

 

2.点字を扱うメディアとして『さわってんじおぼえてんじ表』というあいうえお表のようなものにした理由は何でしょうか?

 

「私の作品は、主に観覧者が自由に映像を選んで視聴できるという、

視覚に特化した作品です。実際の点字は視覚ではなく触覚に訴えかけるものなので、

この矛盾をきちんと点字本来の目的へと落とし込むために『あいうえお表』を作成しました。

映像を見て、実際の点字を触って、《点字ってこんなに小さいんだ》と作品を見る人の視覚、

触覚の両方に訴えかける作品にしたいと思いました。

また、50音全てを制作することによって、

自分の名前や書いてみたい言葉を探しやすくしたいという意図もありました。」

 

このように見て触れる、そして多くの人に体験してもらえる卒業展だからこそできることですね。

インタビューを経てさらに伊藤さんの作品の良さ考えることができました!

 

 

 

 

最後に、【C領域(リアライズ)】の展示は、一年間先輩たちが卒業制作で考え、

感じた情報を伝えることに重きを置いた落ち着いた空間になっています。

 

今回私たちが選んだ作品は、同窓会賞を受賞した木村菜穂子さんの作品『ご当地のお土産』です。

各地の指定のゴミ袋を集めてトートバッグにすることで、

その土地ならではのお土産に変えるという作品です。

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見た目のインパクトに惹かれ近づいてみると、

カラフルなゴミ袋の形をしたトートバッグがたくさんあり、とってもかわいい作品でした!

思考のプロセスも面白く、今回選ばせていただきました。

そのアイデアを出すところから制作、完成までの経緯を直接お話ししていただけましたので、

C領域はインタビュー形式で聞かせていただきました!

 

 

Tsutaeメンバー(以降T): まず最初に、この作品を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

 

木村さん(以降K): 東京に行ったときにお土産を買ったんですけど、東京ならではの物を買ったはずなのにそれが東京以外の所やネットでも売られていて、現代のお土産の価値ってなんなんだろうと思ったのがきっかけです。

 

T : ほー、なるほど…。確かに最近はネットでも買えますもんね。では次に作品の意図を教えてください。

 

K : お土産ってやっぱり旅先の空気に触れて、そこのお店に出会って、そこで見つけたものだからこそ愛着が湧いたり、いいなと思ったりするから買うのかなって思うから、それならお土産として普段は成り立たんけど、もっとローカルな地域ならではのものの方が現代のお土産には適してるのかなと思って… 。

 

そこから、その地域の人にしか価値がないしお土産としては絶対に成り立たないものだけど、指定ゴミ袋の形のトートバッグをその地域ごとのお土産にしたらどうかなという提案した作品です。

 

T : この作品はどのようにつくられたんですか?

 

K : まずゴミ袋を集めるところから始めて、そのデザインを全部データにして、ここが1番大変でした…。それからトートバッグ一つ一つにシルクスクリーンで刷る作業をして完成しました。

 

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今回同窓会特別賞を受賞するまでの経緯をを先生にお伺いしたところ、木村さんの作品はテーマにしたお土産から問題提起をするまでのコンセプトの良さと、落とし込んだデザインに親しみやすさがあったなどのことから票が集まり受賞まで進んだそうです。

 

私たちも実際インタビューを行なって木村さんのお土産に対するお話は、なるほどと思うことや考えさせられることばかりでした。

 

 

 

 

 

 

ここまでが3領域、情報デザインコースの卒業展の取材でした。今回ひとつずつの紹介でしたが、どれも素敵な作品ばかりでひとつに絞るのはなかなか大変でした…。私たちも先輩のように良い作品を作れるように頑張ろう、と改めて感じる良い機会になりました!

 

次の記事はイラストコースの紹介です!情報デザインコースとはまた違うイラストならではの作品が出てきますので、ぜひ見てくださいね!

 

 

 

 

【Tsutae取材班】

鬼川 いおり(ビジュアルコミュニケーションデザインコース2回、大阪府立枚方高等学校 出身)

杉山 桃華(ビジュアルコミュニケーションデザインコース2回、滋賀県立草津高等学校 出身)

谷 琴音(ビジュアルコミュニケーションコース2回、高知県立岡豊高等学校 出身)

竹内 佐代子​(ビジュアルコミュニケーションデザインコース2回、香川県立高松工芸高等学校 出身)

藤賀 日菜(ビジュアルコミュニケーションデザインコース2回、兵庫県立西脇高等学校 出身)

藤原 ゆい(ビジュアルコミュニケーションデザインコース2回、高知県立高知小津高等学校 出身)

 

 

 

 

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