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(大学院)文芸領域 香月 順子

飛鳥・奈良時代の権力闘争を研究する
飛鳥・奈良時代に親しみをもつ端緒となるエンターテイメント小説を目指して

<作品名>
天の海に月の船

万葉集の相聞歌を下敷きに、飛鳥時代(593〜710 年)の実在人物である弓削皇子(ゆげのみこ)と紀皇女(きのひめみこ)の恋愛の顛末を描く歴史小説。
飛鳥浄御原帝(あすかきよみはらのみかど)(天武天皇)の子・弓削皇子は、二十代の凛々しい好青年だ。
父帝崩御後、仕官せず詩歌を愛し暮らしていた。同じく飛鳥浄御原帝の娘である紀皇女は、女帝(持統天皇)の治世下で次期帝の皇后候補として母親に厳しく教育されてきた。当時の慣習では、異母兄妹の弓削皇子と紀皇女は婚姻相手として適切だった。696 年二人は市場で会い、楽しく過ごす。
だが紀皇女は、孝行心から母の望み通り年若い甥の軽皇子(文武天皇)の后となる。弓削皇子は恋を諦めたが、宮中で冷遇される紀皇女を見て悩む。弓削皇子は憔悴する紀皇女を宮中から連れ出す決心をした。698 年の暮れに二人は宮中を脱走、周囲の協力で太宰府までたどり着くが発見され、半年で逃避行は終わる。699 年 7 月弓削皇子は死に、やがて紀皇女も薨じた。自らの地位を安泰にすべく権謀術数を巡らせる少年帝に翻弄され、引き裂かれる弓削皇子と紀皇女の悲恋を万葉集にある七夕の歌になぞらえて描いた宮廷群像劇。
第一章から第二章 弓削皇子は市場で紀皇女と語らう内に、紀皇女が皇后候補として厳格な教育を受けていると知る。紀皇女の母は、娘を皇后にと熱望し 14 歳の少年の軽皇子との婚姻話を進める。
第三章から第四章 弓削皇子は心から大切だと思える人でなければ妃にしたくなかった。紀皇女と弓削皇子は七夕の夜を楽しむ。だが弓削皇子は恋を打ち明けなかった。
第五章から第六章 697 年 8 月に軽皇子が即位した。紀皇女が皇后として入内するも、帝は夫人・宮子だけを寵愛する。紀皇女は得意の琵琶を取り上げられ、居心地の悪い宮中生活に悩む。
第七章から第八章 弓削皇子は、帝に冷遇される紀皇女を想って歌を詠む。紀皇女は弓削皇子の身を案じて好意を受け入れなかったが、自分を救い出す為に忍び込んできた弓削皇子と心を通わせ、ついに宮中から逃亡する。
第九章から終章 帝は、紀皇女を虐げて弓削皇子を挑発し、弓削皇子が皇后を拐かすように企んでいた。弓削皇子と紀皇女は捕らわれて都へ送還される。699 年7月弓削皇子は幽閉され、紀皇女は皇族の石田王に預けられた。紀皇女は三年前の七夕の逢瀬を思い出し、弓削皇子を想って琵琶を奏で続けた。

香月 順子

(大学院)文芸領域

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