ラオスにいったい何があるというんですか?
共食の非言語的価値の構造解明
食文化デザインコース 木川 祐子
デジタルブック、全52ページ
「ラオスにいったい何があるの?」 卒業研究でラオスに行くと話したとき、多くの友人がこの問いを返してきました。私自身もその答えが知りたくて、食のレンズを携えて答え探しに出かけました。
【比較の鏡に映る現代日本の食卓】
出発点にあったのは、現代日本の食に対するささやかな違和感です。複雑化した日本の食とは対極的な食文化を持つラオスには「もち米」と「やさしさ」があるというのです。
手で丸めて共に食べるという単純な身体的行為の中に、私たちが見失った食の本質的な価値があるのではないか。興味と大きな好奇心とともに文献を調べ、専門家へのインタビューを経て、2025年11月に10日間の現地でフィールドワークを実施しました。
【二つの「やさしさ」の構造 】
現地での様々な体験の先に「やさしさ」の正体を二つの回路として見出しました。 一つは、もち米という「聖なる媒介」です。喜捨の際の祈りの動作と、日常の食事で丸める動作。この身体的動作の一致が、聖と俗を繋ぎ、人々の精神的な安定を支える回路となっていました。
もう一つは「身体的継承」です。文字による伝承が少ないラオスでは、共食の場そのものが文化を保存する「外部装置」として機能しており、人々は共に食べることで文化と安心を身体に刻んでいました。
【社会へ繋ぐデザイン】
これらの発見のプロセスを自身の言葉と現地の写真や動画とともに全52ページのデジタルブックとして視覚化しました。これを卒業制作の一部である「作品」として位置付けています。
そしてこのデジタルブックを用いたワークショップや読後アンケートを実施して「社会実装」を試みました。そのフィードバックの分析からは、読者に新たな「食のレンズ」を提供できたと同時に、私自身気づかなかった視点を得ることができました。
個人的な小さな問いと興味から始まったこの一連の取り組みの道筋を「食文化デザイン」のひとつの形と捉え、卒業制作としました。
木川 祐子
食文化デザインコース
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