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『Dai豆コーヒー』パッケージデザイン

親しみと安心で新しい飲料文化を伝える視覚デザイン

食文化デザインコース 増田百合

クラフト紙に4Bの鉛筆を使用し、手描きで制作したラベルと、A4サイズの成分表チラシを組み合わせたパッケージデザイン。温かさと安心感を伝える仕様とした。

『Dai豆コーヒー』のパッケージデザインは、気候変動や健康上の理由から「好きなのに飲めない」状況が広がる中で、誰もが安心して選べる一杯を届けることを目的に制作した。大豆は国内で安定して栽培でき、耕作放棄地の活用にもつながる素材であり、環境・健康・地域資源といった複数の課題に応える可能性を持つ。本プロダクトでは、大豆コーヒーを『Dai豆コーヒー』と表記し、大豆を“畑に眠るDAIYA(ダイヤ)”のような存在として捉え、土地と人、飲料文化を未来へつなぐ象徴として名づけた。
パッケージはクラフト紙を基調に手描きで制作し、初めて手に取る人にも親しみを感じてもらえるよう、柔らかな質感と素朴な表現を大切にした。また、大豆の栄養やカフェインレスの利点をまとめた成分表チラシを別途制作し、安心して選べる根拠を視覚的に示している。未知の飲料に対する不安を和らげ、日常の中で自然に受け入れられるデザインを目指した。
本プロダクトは、パッケージ制作にとどまらず、試飲体験やワークショップ、インタビューを通じて「人と場のつながり」を育む役割も担った。妊娠中の方や高齢者、カフェインを控える人々からは「安心して飲める」という声が寄せられ、コーヒー愛好家やバリスタからは「文化としての広がり」への期待が語られた。こうした声は、飲料が単なる嗜好品ではなく、コミュニティをつくり、記憶を育む媒介となり得ることを示している。
『Dai豆コーヒー』のパッケージデザインは、Dai豆コーヒーを知ってもらい、手に取ってもらうための入口となるツールである。1日数杯のコーヒーのうち、1杯を大豆コーヒーに置き換えるという小さな選択が、環境負荷の軽減や地域資源の活用につながり、持続可能な飲料文化の芽を育てていく。人が集い、安心して選べる一杯を共有することで、やわらかなコミュニケーションが生まれ、その体験が次の実践へとつながっていく。本プロダクトは、未来に向けた小さな提案である。

大豆を散りばめ、素材の世界観を視覚化。パッケージが伝えたい"親しみと素朴さ“を補強するイメージとして使用。

パッケージと成分表チラシを並べ、デザインの意図である"親しみと安心“を具体的に示す。初めて飲む人への情報補完として機能した。

実際の試飲ワークショップ風景。パッケージが安心して選べる一杯を支えるツールとして機能したことを表す。受容性の広さを可視化した。

増田百合

食文化デザインコース

CONTACT

東京都出身。現在まで東京在住。立教大学大学院社会デザイン研究科修了。自らを「つながりを育む暮らしの案内人」と位置づけ、世代・地域・身体的多様性に寄り添うケア実践やコミュニティ形成に関わる活動を続けている。二人の息子の子育て、父母の在宅介護の経験を基盤に、高齢者や障害のある人々との交流や支援のあり方を探ってきた。修士号取得後は日本語教師として、区内在住の外国籍住民に日本語と文化を伝え、多文化共生に携わっている。小学校の寺子屋では、おやじの会の一員として茶道・華道教室の運営や季節行事を担当し、地域の学びと交流の場づくりに関わっている。また、グリーフケアの場や医療機関でのボランティア活動を通じ、多様な文脈で人と場の関係性を育んでいる。ケーキやソフトクリーム、そしてコーヒーが好きで、作ること・食べること・淹れることを通して、食文化と記憶のつながりにも関心を寄せている。

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