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Miss SAKE オリジナル日本酒&甘酒セット「未来への乾杯」

分断された食卓を「麹」で繋ぎ直す。世代と心を繋ぐ、新しい乾杯のデザイン。

食文化デザインコース 大西美香

サイズ: 500mlボトル × 2本セット
素材: ガラス瓶、和紙ラベル、化粧箱、メッセージカード
点数: 1点(セット)

本作品は、現代の食卓における「分断」を解消し、日本酒文化を次世代へ継承するための「対(つい)のプロダクト」のデザイン提案です。

【背景と課題:二つの分断】 企画の出発点は、私自身が感じた強い「危機感」と「痛み」にあります。 一つは「縦の分断」です。核家族化と酒蔵の減少により、祖父母から孫へ、稲作や発酵といった食の身体知が受け継がれる機会が失われつつあります。 もう一つは「横の分断」です。かつて妊娠中に感じた、乾杯の輪に入れない疎外感。そして現在、10歳の息子とあと10年は乾杯できないというジレンマ。「同じ場にいるのに、味わいを共有できない」。このアルコールの壁によるもどかしさは、多くの人が抱える課題でした。

【コンセプト:麹で繋ぎ直す】 そこで私は、日本酒を単なるアルコール飲料としてではなく、「麹(Koji)が生み出す文化財」として再定義しました。アルコールが入る前の「麹」の段階であれば、大人も子供も、飲める人も飲めない人も、同じルーツを共有できます。 京都・洛中に残る唯一の蔵元「佐々木酒造」様との協業により、全く同じ米、同じ麹、同じ仕込み水から、大人のための「日本酒(純米吟醸)」と、子供やノンアルコール派のための「甘酒(無添加・米麹100%)」を作り上げました。

【デザイン戦略:文化の翻訳】 デザインにおいては、伝統的な「和」のコードを、現代のライフスタイルに馴染む「ポップで親しみやすいコード」へと翻訳しました。日本酒は新緑のグリーン、甘酒は麹のピンクと、パステル調の色彩を採用し、心理的なハードルを下げています。 パッケージの核心は、「注ぎ合う手」のアフォーダンスです。二つのボトルを並べると絵柄が繋がり、「乾杯の手」が完成します。これは単なる装飾ではなく、言葉を介さずとも「相手に注いであげたい」「一緒に並べたい」という行動を自然と誘発する、コミュニケーションのデザインです。

【社会的意義と展望】 実証実験では、日本酒好きが下戸の友人に甘酒を注ぐ「逆・酌み交わし」や、祖父と孫の間で「20歳になったら本物を一緒に飲もう」という未来の約束が生まれました。 本作品は、日本酒を「大人の嗜好品」から、誰一人取り残さない「絆のメディア」へと昇華させる試みです。2026年の一般販売に向け、次世代アンバサダー「Miss Amazake」プロジェクトと共に、食の循環モデルを社会実装していきます。

背景には、前述の「縦の分断」と「横の分断」がありました。オリジナル酒を作る仕事は長きに亘って行ってきましたが、この「分断」を解消し日本酒文化を次世代に継承する企画を生み出すための模索が始まりました。

そこで「日本酒」を「麹が生み出す文化財」として再定義しました。「麹」の段階であれば大人も子供も飲める人も飲めない人も、同じルーツを共有でき誰もが同じテーブルで笑い合える未来をつくるプロジェクトです。

京都の蔵元「佐々木酒造」様と協業し、同じ米、同じ麹、同じ仕込み水から、大人のための「日本酒」と、子供や飲めない人向けの「甘酒」を作り上げました。

従来の「重厚な筆文字」や「和の色彩」は若者や女性にとって心理的なバリアになりがち。日本酒は新緑のグリーン、甘酒は麹のピンクと、パステル調の色彩を採用し「ポップで親しみやすいコード」へと変換しました。

二つのボトルを並べると、絵柄が繋がり「乾杯の手」が完成。これは単なる装飾ではなく、言葉を介さずとも自然と「相手に注いであげたい」「一緒に並べたい」という行動を誘発するコミュニケーションデザインです。

単なる商品開発に留まらず「身体知」の獲得を重視しMissSAKEメンバーが実際に体験。彼女達は単なるPR担当から熱量を持った「文化の翻訳者」へと成長しこのプロセス自体が次世代への継承活動となっています

祖父と孫が同じデザインのボトルで一体感が生まれ「おじいちゃんのお酒も僕の甘酒と同じ麹から出来ているんだね」という会話から「20歳になったら本物を一緒に飲もう」という未来への約束が生まれました。

「インクルーシブな食卓」が実現。ノンアルコール派へ、日本酒好きが甘酒を注ぐ「逆・酌み交わし」が自然発生。アルコールの有無によるヒエラルキーが解消し、全員が対等に乾杯を楽しめることが実証されました。

この企画と連動して「Miss Amazake」プロジェクトを新たに立ち上げ、2026年5月の販売開始に向けてプロモーションを展開していきます。

日本酒を大人の「嗜好品」から、誰一人取り残さない「絆のメディア」へ。 この「未来への乾杯」セットが、世界中の食卓で、世代や国境を超えた対話を生み出すことを願っています。

大西美香

食文化デザインコース

CONTACT

海外での日本酒販売、新潟佐渡の酒蔵勤務を経て、現在は一般社団法人Miss SAKEの代表理事を務める。年間400件に及ぶ国内外でのMiss SAKEの日本文化発信活動を通じ、「食の背景にある歴史や想いを知ることは、世界を深く理解すること」だと確信。その経験知に、本コースで学んだ多角的な「デザイン思考」を統合し、日本の食文化を未来へ繋ぐ「食の循環」のデザインに取り組んでいる。 本卒業制作では、自身の原体験に基づき、商品開発からプロモーション、教育プログラムまでを一貫したシステムとして設計。伝統文化の「保存」ではなく、現代社会における「活用と更新」を目指して活動している。

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