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不在の存在――ポストコロナの未来を思考する創造のかたち

オンライン・レジデンスによる制作の記録

アートライティングコース 本間 真理

 本作は、コロナ禍にオンラインで台湾と日本を繋ぎ、「オンライン・レジデンス」という新たな試みで展覧会の開催を目指した制作の記録である。2022年11月、台湾の台南市にあるアーティスト・イン・レジデンス(以下「AIR」)事業を運営する「Absolute Space for the Arts(=絕對空間)」で、北海道在住のアーティストによる展覧会が開催された。当初は、アーティストが台南に滞在し、地域の人々と交流を深めながら制作する構想が立てられていた。渡航準備を進めていた矢先、世界中でコロナウィルスの感染が拡大し、他者との交流が断絶され、展覧会の開催も延期を余儀なくされた。二度の延期を経た2022年、台南と北海道の二つの地をオンラインで繋ぎ、新たなAIRを導きだし、展覧会の開催を目指すこととなった。
 コロナ禍という危機的な社会状況は、創作の衝動をさまざまな形で表出させ、その手立てとしてデジタル技術が活用された。コロナ禍における社会の分断をオンラインで繋ぎ、さまざまな手法で境界線を押し広げ、制作に新たな展開を生み出した。先の見えない状況のなか、社会と徹底して向き合い、与えられた環境のなかで生み出された創造のかたちである。キュレーターとしてアーティストと併走した3ヶ月間の軌跡を記し、未来と共有する場となるアーカイブを試みた作品である。

本間 真理

アートライティングコース

札幌を拠点に、展覧会やワークショップの企画運営、家具メーカーのショールームや飲食店などのアート作品のコーディネートなど、個人の立場で活動している。企画した主な展覧会に「知覚されるアート」(モエレ沼公園、札幌市、2015年)、「Through the Eyes of Hokkaido Artists」(Absolute space for the arts、台湾/台南、2022年)、「景色と住まう」(カンディハウス道央支店、札幌市、2025年)など。

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